歯科医院経営で最も重要なことは、診療を続けるために十分な利益を確保することです。
どれだけ患者のために質の高い治療を提供したいと考えても、キャッシュフローがショートすれば医院経営は立ち行かなくなります。
つまり、経営者としての院長に問われるのは、
・どの収益モデルを選ぶのか?
・そのモデルを経営的な成果につなげられるのか?
この2点です。
表面上は勢いがあるように見える歯科医院でも、実際には高い収益性を維持できていないケースもあります。したがって、安易なモデリングは危険だと認識する必要があります。
医院を大きくしていく上で多角化は必要ですがブランド構築におけるシナジー効果があり、範囲の経済性に繋がるのかを慎重に見極める必要があるのです。
1. 環境変化を直視する
国の医療政策や歯科医療需要はジワジワと変化しています。
さらに、地域ごとに
・医療需要の変化スピード
・経営コストの上昇率
・人口動態や患者層
が異なるため、地域特性に合った戦略を考えることが不可欠です。
法人ならば十分な役員報酬を得た上で経常利益をいくら積むことが出来るのか?が大切であり、「経営対策(投資)=経常利益の増加」になるのかを慎重に判断する必要があるのです。
とくに「便利(楽)にはなるけれど、利益増にもコスト減にも繋がらない投資(人材採用を含む)」には要注意です。
2. 強者か弱者か ― 経営戦略の選択
歯科医院の経営戦略は大きく分けると「強者の戦略」と「弱者の戦略」に分かれます。
・強者戦略
人材を確保し続け、拡大・多角化しながらマーケットシェアを取り続ける道。そのためには、採用力とブランド力が必要であり、継続的な拡大への覚悟が求められます。
・弱者戦略
固定費を抑え、ビッグマーケット内のニッチなニーズに対応して差別化する道。身の丈に合った投資を心がけ、地域で独自のポジションを築くことが重要です。
中途半端な拡大は、経営コスト増大のリスクだけを背負いかねません。
3. 流行に流される危険性
近年では「自費治療強化」や「アライナー矯正強化」に取り組む医院が増えています。
しかし、治療において成果を出せない医院が表面的にやり方を真似をしてもうまくいかない。
患者から選ばれるにはブランド力の構築が絶対条件になるのです。
流行に乗って成功できるのは、治療成果を証明できる専門性を持った医院とブランド力がある大型歯科医院だけ。
華やかに見える戦略を選んで成功できる院長は全体の1割にも満たないでしょう。
4. 生き残る歯科医院に必要な条件
15年後(2040年)に生き残る歯科医院には、共通する条件があります。
・国の医療政策の流れと地域のマーケットニーズの変化を把握していること
・医療の本質を追求し続け、チームメンバーを鍛えていること
・治療品質を高め続けること
・令和時代の保険診療の在り方を理解し対応できていること
・経営スキル・マネジメントスキルを院長自身が磨き続けること
・決断力と行動力で変化に素早く対応できること
でしょうか。
昨日、ブログで書きました様に医療改革はこれからが本番です。医療DXの推進によって医療費削減政策において国が打てる手が増えるからです。
そんな中で、2040年に向かうことが出来る医院共通の収益モデルは「長期管理連携型」です。
私は以前から「長期管理型」に移行することが必要だとブログで書いてきましたが、国の医療政策(特に医療DX)を分析する中でそこに「連携」を加えることが必要不可欠だと感じたのです。
小規模なら小規模なりの、中規模・大規模なら大規模なりの「長期管理」と「連携」の形がある。それは1医院としての戦略というより地域の医療システムの構築のなかで先生の医院がどういうポジションで役割を果たすのかという事なのです(ポジショニングが大切)。
まとめ
15年後に歯科医院が発展を続けているかどうかは、院長の選択と努力次第です。
収益モデルの選択は院長ごとに異なりますが、どんなモデルを選んだとしても避けて通れないのは、
「医療の本質を追いかけ、治療品質を高め続けることによって収益性もアップする経営構造を構築すること」
この一点です。
多くの院長は治療品質を高めることを収益アップに繋げられない。
しかしそれでは、設備費や人件費だけでなく運営費が高騰を続ける時代を乗越え2040年に向かうことは出来ないのです。
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