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◆歯科医院経営ブログ

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「地域のニーズ」と「医院の強み」を重ねる ― 歯科医院マーケティングの出発点 ~マーケット需要と経営資源のマッチングが医院の未来を決める~  [2025年11月08日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
しかし、答えは書きません。院長によって経営状況は違いますのでスタッフと一緒に考えて頂きたいからです。
もちろん、経営のサポートのご依頼は喜んでお引き受け致します。
では、本日のブログもご自分の医院の状況に照らして考えてみてくださいね。
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今日から「院長のリーダーシップ」の話の予定でしたが、予定を変更して「歯科医院マーケティングの基本」で記事を書いていきます。
 

いま、多くの院長先生が「若い患者の減少」や「都市部の新規開業の競合増加」を肌で感じています。

けれども、その原因を人口減少他院の広告力に求めるのは危険です。

なぜなら、成功している歯科医院は同じ環境の中でも「自院の強み」と「地域ニーズ」をぴたりと重ねている」からです。

マーケティングの本質は、「誰に、どんな価値を、どのように届けるか」を設計すること。

つまり、地域に求められる医院を構築するための設計図づくりです。

 

1.「診療圏分析」だけでは足りない ― “生活動線を読む時代へ

従来の診療圏分析は、

「半径1km、3km圏内に何人住んでいるか」「競合医院が何軒あるか」

という静的なデータが中心でした。

しかし、今必要なのは人の流れを読む視点です。

・どこで働き、どこで買い物をし、どんな時間帯に移動しているか

・近隣のドラッグストアやカフェの立地はどこに増えているか

・保育園・高齢者施設・フィットネスなどの新設動向

これらの情報は、「地域住民の生活動線」を示しています。

つまり、「人がどこでどう生活し、どんな健康行動を取っているのか」を理解することがマーケティングの第一歩なのです。

 

2得意分野好きな治療は違う

ここで多くの院長が誤解しやすいポイントがあります。

それは、「院長の好きな治療」と「地域の人から医院が選ばれる分野」は必ずしも一致しないということ。

例えば、

・審美治療が好きでも、地域人口が減少し高齢化していれば需要が限られる

・インプラントに力を入れたいが、富裕層が住む地域なので需要が限られる

・小児歯科に熱意を持っても、若年層人口が減少している

このように、地域が求める価値医院が提供できる価値が重なる部分にこそ、持続的な成長が生まれます。

つまり、院長の理想を「地域の課題解決」に翻訳することがマーケティングの本質なのです。

 

3.マッチングの具体例 ― “地域特性別モデル医院を描いてみる

地域タイプ

主なニーズ

強化すべき医院戦略

大都市中心部

時間効率・審美・メンテナンス志向

自費率強化・予約最適化・夜間診療導線

郊外住宅地

予防・小児・家族単位での健康管理

家族導線設計・コミュニティ連携・教育型予防、昼間の来院強化

高齢化地域

訪問・口腔機能管理・摂食嚥下支援

多職種連携・訪問チーム設計・口腔機能評価

新興エリア

健康意識の高い若年層・審美需要

SNSブランディング・自費メニュー設計・ライフスタイル訴求

このように「地域ごとに勝ち筋を変える」ことが大切です。

全国どこでも同じ経営戦略では、地域特性を活かせず埋没してしまいます。

 

4.「地域ニーズ×医院資源」チェックリスト

ステップ:地域を知る

・近隣住民の年齢構成・世帯収入・生活動線を把握しているか?

・周辺に新しい施設(商業・介護・教育)が増えていないか?

・患者アンケートや会話から未充足ニーズを拾えているか?

ステップ:自院を知る

・医院の強み・弱み・得意領域をスタッフと共有できているか?

・「誰に」「何を」「どのように」提供するかを言語化できるか?

・医院の理念と地域ニーズの重なりを説明できるか?

ステップ:戦略を描く

・「地域課題を解決する医院像」を設定しているか?

・来院導線(Web・紹介・口コミ)のボトルネックを把握しているか?

3年後・5年後の地域変化を予測して準備しているか?

 

5.今日からできる実践:

3つのマッチング質問」をチームで話し合ってみてください

(1) 地域の人が本当に困っていることは何か?

(2) その中で、自分たちが一番得意に解決できるのは何か?

(3)それを、どんな体験を通して伝えるのか?

この3つの問いをスタッフと共有することで、医院の強み地域の価値に変わります。

 

まとめ

マーケティングの基本とは、「地域に必要とされる存在になること」。売上を増やす手段ではありません。

マーケット需要と経営資源のマッチングができている医院は、広告を出さなくても自然に選ばれる

そして、それが地域から信頼され続ける歯科医院の第一歩です。

 

 次回予告

第2回:「競合調査とポジショニング ― “差別化ではなく選ばれる理由を設計する」

次回は、他院との比較ではなく、患者にとって意味のある違いをどう設計するかを解説します。

 

★こちらもご覧ください。
 
 
 
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