はじめに:新患は来るのに、なぜ定着しないのか?
「広告を強化して新患は増えたのに、リピートされない」
「定期メンテナンスの予約が入らない」
「紹介患者が思ったほど増えていない」
こうした悩みを抱えている歯科医院は少なくありません。
集患は“外”の仕組み、定着は“内”の仕組みです。
つまり、“外部施策”で新患を集めても、“内部満足度”が設計されていなければ、医院は成長しない構造になっているのです。
私は「バケツの穴」に例えてクライアントの院長に話しますが、バケツの穴が少なく小さい歯科医院がこれからは上手くいく。
国も歯科医院の「管理」と「連携」を重視して「かかりつけ機能」を強化しようとしているのです。
外部集患は初回来院まで。その先は「内部満足度」がすべて
WEB広告やMEO、SNSなどの外部マーケティング施策は、
・認知を広げる
・医院の価値を伝える
・来院のきっかけをつくる
という点で非常に効果的です。
しかし、患者が来院してからは、医院の内部体験がすべてを決めます。
実際、ある医院では広告費を抑えても、初診→定着→紹介が循環し、自費率も高い安定経営を実現しています。
その差を生むのが、“内部の満足設計”です。
初診時対応で「リピートの8割」が決まる
人は、最初の体験で医院の印象をほぼ決定します。
それがリピートや継続治療の意思決定に大きく影響します。
具体的な初診対応のポイントは以下の通りです。
・受付対応:笑顔・アイコンタクト・名前呼び
・診療前:不安を聞き取る簡単なヒアリング
・診療後:初回処置内容の説明+今後の治療の全体像提示
・再予約の声かけ:次回の目的を明確に伝える
とくに重要なのが、「次回の治療内容の説明」です。
“続きの治療”なのか、“口腔ケア”なのか、“経過観察”なのか、理由が明確で重要性を伝えるほど再来院率は高くなります。
治療コーディネーターと歯科衛生士の連携が定着率を変える
初診カウンセリングや治療説明を治療コーディネーターが担い、
歯周基本治療、安定期治療やOHIを歯科衛生士が担う。医院によってはそこに管理栄養士の指導も加わる。
この役割分担と連携がしっかりしている医院は、定着率が高く、紹介も多い傾向にあります。
・治療コーディネーター:治療の全体像、期間、費用の説明
・歯科衛生士:予防の大切さ、生活習慣改善の提案
・管理栄養士が栄養指導、献立提案、口腔機能育成について説明
これらの連携により、患者は「任せられる」「通う価値がある」と実感できます。
さらに、再来院のハードルを下げることにもつながります。
先生の医院では、説明や提案がスタッフ任せになっていないでしょうか?
「次回の来院理由」を明確化するアナウンス設計
再予約の確率を高めるには、「なぜ次回来院が必要か」を患者が理解できる説明が必要です。
・「次回は〇〇の処置をします。これを遅らせると〇〇のリスクがあります」
・「今回見つかった歯周病の基本治療をむし歯治療の前にしておく必要があります。理由は・・・」
・「次回は仮歯を外し作成した本歯をセットします。仮歯のままだと〇〇などのリスクが高いので・・・」
このように、“来院しないと困る理由”を伝えることで、患者の行動が変わります。
また、歯科衛生士による施術と管理では、
・「今回、プラークの付着度合いの数値が悪化し、奥歯の所に出血や歯の動揺もみられました。次回、精密検査をして治療計画を見直したいと思います」
など、再評価した結果と今後の対応を患者にしっかり伝えることが必要です。
おわりに:「集患」だけでは、医院は成長しない
“来て終わる医院”と“また来たいと思われる医院”には、
初診対応から再来促進までの「内部の流れ」があるかどうかの違いがあります。
・患者の不安を取り除く丁寧な初診設計
・治療コーディネーターと歯科衛生士の役割明確化
・再予約を促す明確な来院理由の提示
これらは、すぐに見直せる“定着率改善のカギ”です。
先生の医院では、「集める仕組み」と同じくらい、
「育てて定着させる仕組み」が整っていますか?
今こそ、「来てもらう」から「また来てもらう」へ。
医院成長の真の基盤を作るチャンスです。
仕組みづくりに興味がありましたらご相談くださいね。