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◆歯科医院経営ブログ

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歯科医院でミスを責めない文化はどう作る?信頼を育てる対応術  [2025年07月23日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
しかし、答えは書きません。院長によって経営状況は違いますのでスタッフと一緒に考えて頂きたいからです。
もちろん、経営のサポートのご依頼は喜んでお引き受け致します。
では、本日のブログもご自分の医院の状況に照らして考えてみてくださいね。
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はじめに:ミスを責める文化が医院にもたらす弊害とは?

「何でこんなことしたの?」
「前にも言ったよね?」

このような言葉が院内で日常的に交わされていないでしょうか?
もしそうであれば、スタッフの主体性・成長意欲・信頼関係は、少しずつ損なわれているかもしれません。

特にスタッフ数が10名を超えたあたりから、院長がすべてを細かく把握することは難しくなり、「誰かが何かをミスしたとき」にどう向き合うかが、医院組織の風土を決定づけます。

今回のブログでは、スタッフのミスを「責めない」文化をどう育てるかについて、具体的な視点と行動例を交えてご紹介します。

 

 

ミス=能力不足ではないという視点を持つ

歯科医院で発生するミスは、大きく以下の3つに分けることができます。

・知識・経験不足によるもの
・確認不足や焦りによるもの
・仕組み・情報共有不足によるもの

つまり、ミスの多くは「個人の能力の低さ」ではなく、「仕組み」や「組織運営上の課題」から生じるものです。

特に新人や異業種からの転職者にとって、歯科医院の現場は専門用語・判断スピード・対応の正確性が高く求められ難易度が高い。そこに「一発で完璧にやれ」という空気があると、学ぶ機会が失われてしまいます。

また、歯科医院によって治療の流れやオペレーションは違いますので、前職も歯科医院勤務だからと言ってすぐに業務を覚えられると考えるのも正しくはないのです。

先生の医院では、ミス=指導機会と捉える文化は育っていますか?

 

 

「責める」より「振り返らせる」ことで人は成長する

「反省文やヒヤリハット報告書を書かせる」「叱る」「無視する」などの対応では、スタッフは一時的に従順になっても、本質的な改善にはつながりません。

懲罰的な対応は自分の腹立ちを癒す為の行為であり、そういう人はルールを追加するなど問題解決とは逆方向に進めやすいのです。

 

代わりに効果的なのが、経験学習モデル(コルブ理論)の応用です。これは以下の4ステップで構成されます。

1)具体的経験(ミス)
2)内省(何が起きたかを言語化)
3)概念化(他のケースに応用できる学び)
4)試行(次にどう対応するか)

例えば、受付スタッフが予約ミスをした場合、「なぜ間違えたの?」ではなく、「どういう流れで起きたのか一緒に振り返ろう」と声をかけることが重要です。

このステップを踏むことで、自己肯定感を保ったまま、改善に向けて動けるようになります。

そして振り返ることでミスが起こり易い仕組みであることにも気づくことができる。ミスの責任を個人に押しつけるのではなくミスが起こりにくい仕組みを作る事の方が大切なのです。

 

 

ミスが続くスタッフへの対応は「原因の構造化」から

同じスタッフが複数回ミスを繰り返す場合、その背後にある原因を構造的に分析する視点が必要です。

・役割が曖昧で自信がない
・業務手順が属人化している
・メモや引き継ぎの仕組みが不十分
・診療後に十分な振り返りができていない

このような要因が重なっていることが多いため、「本人が悪い」と決めつけるのではなく、業務フローや教育制度、アプローチ方法に再点検ポイントがないかを見直すことが大切です。

私は上手く出来ないスタッフに腹を立てる幹部や先輩スタッフにこう話します。「〇〇さんの仕事は自分の健康の為に必要な行動が上手く出来ない患者を視点変換と行動変容に導くことでしょ」「上手くいかないなら、後輩指導のアプローチ方法を変えてみたらどう」「必要なら相談してね」

 

原因志向で対応するから「犯人探し」をしてしまう。しかし、ミスの原因を個人に押しつけてもミスは減らないのです。

 

 

再発防止策を「萎縮させず」共有するコツ

再発防止のためにミーティングで全体共有をする際、言い方やタイミング次第で、スタッフが委縮してしまうこともあります。

ポイントは次の3点です。

・「個人名」ではなく「ケース」として扱う
・「どう防げたか」より「どうすれば防げるか」に焦点を当てる
・「責任追及」より「再発防止に役立つ学び」の姿勢で共有する

例えば、「Aさんがミスした」という言い方ではなく、「このような予約間違いが起きた際、どうすれば次の発生を防げるか意見を出してください」といった形が望ましいです。

ミスは個人の課題ではなく医院としての課題。犯人探しをして懲罰を課しても「ミスを減らす」という目的は達成されないのです。

 

 

患者対応ミスを医院全体の学びに変える方法

ミスの中でも特に注意が必要なのが患者対応に関するミスです。信頼関係に直結するため、対応を誤ると医院全体の評価にも影響します。

そのため、ミスを“全員で考える教材”として扱うことが重要です。

・ケースレビュー会(簡易な症例検討会のような形式)
・「これは〇〇さんならどう対応したか?」の問いかけ
・「ベストな対応マニュアル」をスタッフと一緒に更新

このようなプロセスを通じて、ミスが「個人の失敗」ではなく「チームの成長機会」へと昇華されていきます。

 

 

おわりに:ミスにどう対応するかが組織文化を決める

「ミスが起きない組織」など存在しません。重要なのは、ミスが起きたときにどう向き合うか、どう再発防止を仕組み化するかです。

先生の医院では、ミスが共有され、学びに変わる空気があるでしょうか?
それとも、「言ったら怒られるから言わない」文化が残っていませんか?

信頼が育つ医院には、「責めない」だけでなく、「受け止め、育てる」仕組みがあります。

そして心理的安全性が保たれており、院長であっても自分のミスを自ら報告し再発防止に繋げているのです。

 

もしスタッフ育成やミス対策の仕組みづくりでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。先生の医院に合った最適な支援をご提案いたします。

 
 
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