Q1.「うちのスタッフ、なかなか成長しない…」と感じたことはありませんか?
スタッフの成長が止まっているように見えると、院長としては焦りや不満を感じることもあるでしょう。
しかし、それは本人の“やる気”だけの問題ではありません。
多くの歯科医院でスタッフの成長が鈍化するのは、次の3つの仕組みが整っていないからです。
要因① 理念が現場に落とし込まれていない
医院の理念(ミッション・ビジョン・バリュー)が院長の頭の中だけにあり、日々の診療や育成に反映されていないケースが多く見られます。
→スタッフは「なぜこれを学ぶのか」「どんな歯科医療を目指しているのか」がわからないまま、目の前の作業だけをこなすようになってしまいます。
【改善策】
・理念を現場の行動レベルで言語化し、朝礼や面談で定期的に共有する
・教育内容を理念にひもづけて設計し、「〇〇のスキルは△△という理念に基づいている」と説明する
要因② 成長を支える「仕組み」がない
教育マニュアルや育成カリキュラムが整備されておらず、育成担当者が“自己流”で新人指導をしていると、教える内容にばらつきが出て、スキル習得に時間がかかります。
→現場は忙しいので、育成は後回しにされがち。「いつか覚える」では成長は望めません。
【改善策】
・段階的な育成カリキュラムを整備する(知識・技術・接遇の各レベル)
・チェックリストとスキル評価制度を連動させ、進捗と課題を可視化する
・定期的に経験学習(振り返り)を取り入れる体制をつくる
要因③ 個別の目標と“ステップアップ育成制度”がない
スタッフが「自分が次に何を学ぶべきか」「どのスキルを身につければ評価されるのか」が見えていないと、やる気があっても成長にはつながりません。
→特にZ世代・α世代は“見える成長実感”を重視します。
【改善策】
・義務教育のように段階的にレベルアップしていける「ステップアップ育成制度」を導入
(例:「歯科助手ベーシッククラス」「TBI指導 初級」「自費説明レベル1」など)
・面談で個人の目標を設定し、評価と連動させる
・動機づけ面接を通じて「やらされ感」ではなく、自発的な成長意欲を引き出す
よくある“育成の失敗例”
・まだ何も知らない段階の新人にコーチングで気づかせようとして、かえって混乱させる
・「できていないこと」ばかりに注目し、原因追及ばかりしてしまう
・育成担当が忙しさを理由に指導を後回しにし、新人が孤立してしまう
→こうした誤った育成法は、やる気のあるスタッフのモチベーションも下げてしまいます。
スタッフが成長しない理由は「仕組み」と「目的」の欠如
歯科医院のスタッフが成長できないのは、「本人の努力不足」ではなく、医院側の育成環境の設計に原因があることがほとんどです。
【理念の明文化と共有】
【育成カリキュラムと経験学習の設計】
【個人目標+ステップアップ制度の導入】
この3点が機能してはじめて、歯科医院のチームは自律的に育ち始めます。
▶先生の医院では、スタッフが「自分は今どこにいて、どこを目指すのか」が見えていますか?
▶動機づけとスキル評価がセットになった育成制度、構築できていますか?
医院の未来を担うチームの成長には、設計された“教育の仕組み”が不可欠です。
まずは、今ある制度の見直しから始めてみてください。
自力での仕組み構築が難しいのであればご相談ください。