院長の「つもり」が信頼を失う原因になる
歯科医院の院長先生は、治療技術を学び、臨床経験を積んで独立開業された方がほとんどです。
しかし、スタッフマネジメントや組織運営について専門的に学ぶ機会がないまま、いきなり“経営者”として組織を率いる立場になります。
そのため、「よかれと思ってやっていること」がスタッフにとっては【理不尽】と感じられてしまうケースが少なくありません。
→スタッフが「理不尽」と感じると、信頼が薄れ、やがて離職やチームの崩壊につながる可能性があります。
Q. 歯科医院で「理不尽」が起きる瞬間とは?
次のような院長の言動に、スタッフは強く違和感を抱きます。
・プロジェクトの失敗をスタッフの責任にする
・院長の失敗は有耶無耶にして謝らないのにスタッフの失敗は厳しく追及する
・言葉では良いことを言うが、院長の行動が伴っていない
・スタッフを怒る理由に正当性がなく、感情的
・スタッフによって態度を変える(「私には厳しい」など)
・達成困難なタスクをスタッフに強引に押しつける
・院長の言っていることがコロコロ変わる
・スタッフに法的、コンプライアンス的にグレーなことをさせようとする
→これらに共通するのは、「院長の判断基準や価値観がブレる」「スタッフに感情的に接する」「価値観、行動規準が院長のその時の気分」であることにより、スタッフが納得感を持てないことです。そして、驚くことに院長自身は問題がある言動をしているとは気づいていないのです。
Q. なぜ院長の“正しいつもり”が伝わらないのか?
経営判断においては、ときにスタッフの反対を押し切ってでも進めなければならない施策があります。
しかし、その際に院長が「目的」や「全体戦略」を説明せず、トップダウンで進めると、スタッフは背景を知らないまま指示を受け入れさせられ、「理不尽だ」と感じてしまうのです。
→《本質》人は“納得できない指示”に対しては動きたくありません。
「なぜそれをやるのか?」という共通の視点を持てていないチームでは、指示は単なる命令となり、不信の温床になります。特に、売上には繋がるが患者にとってマイナスだと感じる指示には不信感を覚えるのです。
Q. 理不尽を感じさせないマネジメントとは?
1.【判断基準・評価軸を明確にしチームで共有する】
「何を大切にしている組織か」「理念に基づきどういう行動が評価されるのか」を明文化し、スタッフと共有しましょう。
理念・行動指針・評価項目などがこれにあたります。
2.【目的を先に説明し、役割を紐づける】
「この取り組みは医院の〇〇という方針に基づいている」「△△さんにはこういう役割を期待している」など、個別に伝えることで、スタッフが“自分ごと”として行動できるようになります。
3.【言動の一貫性と公正さを大切にする】
言うことが変わる、人によって対応が違う――これはスタッフの信頼を最も失う要因です。
「判断基準を一貫させる」「説明責任を果たす」「自分にも厳しくある」ことがリーダーには求められます。
4.納得していないスタッフの言い分を徹底的に聴く
最終的に院長がどういう判断をするのかは別にしても、納得していないと感じるスタッフの言い分を徹底的に聴いておくことが重要です。意見を聴いた上で判断することが大切であり、スタッフが自分の意見が尊重されたと感じることで、また自分の意見を言おうと思うのです。反対意見が表に出てこない組織はリスクが大きい。不満は裏で回りますので、スタッフが数人退職して初めて院長が問題に気づくということになり易いのです。
Q. 院長として今すぐ見直すべき点は?
【先生の医院では、組織内に共通の視点や行動基準はありますか?】
【スタッフに目的や理由を伝えずに、指示や指導だけが先行していませんか?】
医院の理念や行動規範、評価制度があっても、それが日常のマネジメントに生きていなければ「意味がない」。理念が存在しないのと同じです。
理不尽ではなく、“納得できる組織”をつくるには、院長が率先して信頼構築の土台を整えることが必要なのです。
まとめ:理不尽の根本原因は「共有不足」
スタッフが「理不尽だ」と感じる瞬間の多くは、
▶判断基準が見えない
▶目的が説明されていない
▶態度や言動が一貫していない
という3点に集約されます。
逆に言えば、
・行動指針と評価軸の明文化
・目的の共有とコミュニケーション
・リーダーとしての誠実な姿勢
これらを徹底することで、理不尽は減り、信頼に基づいたチーム運営が可能になります。
院長の言動がスタッフにどう映っているか、対話と仕組みで見直してみませんか?
共通視点でチームが動ける歯科医院づくりを、今こそ始めるときです。
ご要望があれば、理念が現場に落とし込まれた医院づくりをサポートさせていただけます。
チームのベクトルを一致させ生産性が高く歯科治療品質の高い医院を作りませんか。