「もうすぐ一人前」と思った頃に、スタッフが辞めてしまう理由とは?
せっかく育ったスタッフが、3年目を迎える頃に「退職させて頂きたいのですが・・・」と言ってくる
そんな経験をされた先生も多いのではないでしょうか?
この“3年目の壁”には、ただの気まぐれではない、いくつかの共通する原因があります。
・【労働環境が改善されないまま我慢が限界に達する】
・【人間関係が固定化・悪化し、職場に安心感が持てない】
・【一人前の扱いをされることへの不安】
・【スキルアップや役割拡大の道が見えない】
・【給与や待遇が期待と乖離している】
・【目標や評価が不明確で、成長実感がない】
これらが複合的に積み重なった結果、「ここにいても将来が見えない」と感じてしまうのです。
歯科衛生士の場合には学校の同期が働く歯科医院との違いも大きな要因だと感じます。
→《注目》3年目の離職は、早期退職とは違い、【現場経験を積んだ上での“見切り”】であることが多いのです。
育成のカギは「役割変化」と「キャリアの可視化」
3年目のスタッフには、「任せられる仕事は増えたが、評価されていない」「新人以外は個別の育成プランが無く、これ以上成長できるイメージが持てない」という不満が生まれやすいです。
だからこそ必要なのは、以下のような“役割の変化”と“キャリアデザイン”です。
【3年目前後に意識したい役割設計】
・3年目スタッフとしての在り方教育とキャリアプラン面談
・新人育成のOJTリーダーとしての役割
・改善プロジェクトリーダー補助による経験値アップ
・サブリーダーへと成長させる為の育成カリキュラム
・院内研修や症例検討会への参加・発表
→【責任のある仕事を教えながら任せ、信頼と期待を伝えることで、本人の自信とやりがいを引き出せます】
さらに「5年目には治療チームのリーダーの役割を担って欲しい」「治療コーディネーターとしての道もある」など、【中長期的なキャリアの可視化】が、定着の要となります。
一方、現状維持を良しとするスタッフもいます。期待されることが重荷になり自分のペースで半歩づつしか成長できない場合です。そんな時にはそのスタッフのペースに合わせたキャリアプランを本人と相談しながら準備しましょう。
半歩づつでも前に進むことで自己効力感が満たされ、ある時突然スイッチが入ることもあるからです。3年目までは頼りなかったスタッフが10年目に医院を支える中心メンバーになっていたという事例は少なくないのです。
育成だけでなく“働く環境”の整備も必要不可欠
成長環境を用意しても、労働環境や人間関係が悪ければ離職は防げません。
以下の要素は、3年目以降のスタッフが「続けたい」と思うための土台です。
【労働環境】
・予約オーバーによる休憩時間の削減が慢性化していないか?
・診療スタッフや受付スタッフ、歯科衛生士に過度な業務負担がかかっていないか?
・院長がスタッフに法的にグレーなことをさせていなか?
・退職者の補充がされずに特定のスタッフに負担が集中していないか?
→診療効率化やタスク分担、法令順守、増員などの見直しが重要です。
【人間関係・心理的安全性】
・「ちょっとしたこと」が言いにくい職場ではないか?
・リーダーや院長がスタッフの声を拾えているか?
→月1の面談や、朝礼でのフィードバックタイムなど、対話の仕組みが鍵になります。
【教育制度・スキルアップ】
・院内勉強会や外部研修への参加機会があるか?
・学んだことを「活かせる場」があるか?
→教育と実践の循環を仕組み化し、“学びが仕事に反映される実感”を大切にしましょう。
辞めない職場は「育つ余白と、働く安心感」がある
「育てても育てても辞めてしまう」
その背景には、仕組みや関係性の“ほんの少しの足りなさ”が潜んでいることがあります。
中堅層が育ちにくい医院と、育ちやすい医院の差は、単なる運や個人差ではなく、
・成長の余白(任せる・引き上げる設計)
・安心して働ける環境(休憩・対話・関係性、ライフイベントへの対応)
・将来の道が見える育成戦略
にあるのです。
【先生の医院では、3年目以降のスタッフが“この医院で長く働ける”と感じられる設計ができていますか?】
医院全体の定着率と生産性を高めるためにも、今こそ育成デザインと職場環境を見直すタイミングかもしれません。
ご希望があれば、育成ロードマップ作りや面談システムの整備支援、リーダーへの教育も可能です。お気軽にご相談ください。