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OKRから学ぶ歯科医院の目標管理 ― スタッフが目標を自分事として持てる組織になるために  [2026年04月10日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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目標は立てているのに、なぜ達成されないのか

「年度の始めに経営目標を設定するが、気づけば年度末になっている」

「スタッフに目標を持たせようとするが、自分事として受け取ってもらえない」。

こうした声を、院長からよく聞きます。

中には経営計画立案のセミナーにも参加して経営計画を立てたなんて院長もおられます。

しかし、多くの場合その計画目標は達成されることはないのです。

目標が達成されない理由は、目標設定そのものの問題であることが多い。

目標は立てたが、それをどう実現するかのアクションプランがない。

数字の目標はあるが、その数字に向かって何をすべきかがスタッフに見えていない。

あるいは、目標と日常の業務がつながって見えないため、スタッフにとって目標が「月次の報告で使う数字」に過ぎなくなっている。

先生の医院では今期、どんな目標を立てていますか。そしてスタッフはその目標を、自分の仕事と結びつけて理解できていますか。

 

OKRとは何か ― 大きな目標と測定可能な成果指標を結びつける

OKR(Objectives and Key Results)は、Googleが採用したことで広く知られるようになった目標管理のフレームワークです。

Intelで生まれ、Googleに持ち込んだジョン・ドーアが、その普及に大きく貢献しました。

OKRの構造はシンプルです。

Objective(目標)は、「どこを目指すか」を示す定性的で意欲的な目標です。

「この医院を地域で最も患者に信頼される予防型歯科医院にする」といった、方向性と意志を示すものです。

Key Results(主要成果指標)は、その目標に向かってどこまで進んだかを測るための定量的な指標です。

「チームの一人当たり生産性を〇〇に引き上げる」

「歯科衛生士枠の1年後継続来院率を〇%にする」

「ドクター毎の治療中断率を〇%以下にする」

「予約確定率を〇%以上にする」

といった形で、達成度が客観的に確認できるものです。

OKRがMBO(目標による管理)などの従来型目標管理と異なる点は、目標が「測定可能な成果」と直接結びついていることと、スタッフが目標設定のプロセスに参加することです。

上から与えられた数字ではなく、自分たちが議論して決めた目標だから、自分事として受け取られやすくなります。

 

日本の歯科医院の目標管理にある三つのギャップ

OKRを歯科医院に導入しようとするとき、いくつかの現実的な壁に当たります。

私が歯科医院の現場で観察してきた限り、大きく三つのギャップがあります。

一つ目は、目標とアクションプランが分離していることです。

年度目標を立てても、それを実現するための具体的な行動計画(アクションプラン)が設計されていない医院が多い。

目標は「何を達成するか」を示しますが、それだけでは動けません。

「そのために今月何をするか」「誰が何を担当するか」「いつまでに」という行動レベルへの落とし込みがなければ、目標は絵に描いた餅に終わります。

二つ目は、PDCAが回っていないことです。

計画を立て(Plan)、実行し(Do)、結果を確認し(Check)、改善する(Act)。

このサイクルを意識的に回している歯科医院は限られています。

月次や週次で数字を確認し、目標との差を分析し、対策を打つという習慣がなければ、目標管理は「設定したら終わり」になります。

三つ目は、部門ごとの現状が定量的に見えていないことです。

大きな医院では経営計画やアクションプランを作成しているところも増えてきていますが、それが部門単位にまで落とし込まれ、部門長が自部門の数字を把握して対策を打てている医院は限られています。

訪問診療部門・予防管理部門・治療部門それぞれの稼働率・患者単価・来院率を把握し、どの部門にどの問題があるかを分析して手を打てる体制は、中規模以上の医院でも整っていないことが多い現状があります。

 

歯科医院でOKRを活かすための現実的な設計

OKRをそのまま歯科医院に移植しようとすると難しくなります。

現実的には、OKRの本質である「大きな目標と測定可能な指標を結びつける」という考え方を取り入れながら、歯科医院の規模と文化に合った形に設計することが重要です。

まず医院全体のObjectiveを、院長が明確な言葉で示します。

「治療中心の医院から、地域の健康を生涯支える長期管理型医院へ」といった方向性です。

次に、その方向性に向かうためのKey Resultsを、部門ごとに設定します。

歯科衛生士部門であれば「定期管理患者の継続来院率」、受付部門であれば「次回予約取得率」、訪問部門であれば「紹介された施設数」といった具合です。

重要なのは、この数字を院長だけが管理するのではなく、各部門が自分たちの数字として把握し、日次・週次・月次で確認する習慣をつくることです。

「先月の次回予約取得率は〇%だった、今月はどう改善するか」をチーフや部門長が自ら考えて動けるようになったとき、初めて目標管理が機能し始めます。

先生の医院のスタッフは今、自分の部門の数字を把握して動けていますか。

 

目標管理が苦手な院長に、これからの経営は難しくなる

ここで一つ、正直にお伝えしておきたいことがあります。

今後、企業の目標管理にはAIの活用が本格的に入ってきます。

売上予測・スタッフの生産性分析・部門別の課題抽出。こうした分析がAIによって自動化され、より精度の高い意思決定を支援するツールが普及していきます。

歯科医院においても、この流れは例外ではありません。

しかし、どれほど優れたツールがあっても、数字を見て判断し、方針を決め、スタッフに伝えるのは院長です。

部門ごとの現状を定量的に把握し、何が問題かを読み取り、対策を指示できる院長でなければ、AIが出した分析も活かせません。

逆に言えば、目標管理の習慣がある院長は、AIツールが充実するほど経営判断の精度が上がっていきます。

目標管理が苦手なまま、日常診療をこなすことだけに集中し続ける院長と、数字を見て動くことを習慣にしてきた院長の差は、今後ますます広がっていきます。

ロジカルシンキングやPDCA・OODAといった思考フレームは、使い続けることで身につくものです。

最初から使いこなせなくても、小さく始めて試行錯誤することでしか能力は育ちません。

 

まとめ

OKRの本質は、大きな目標とそれを測るための具体的な指標を結びつけ、スタッフが目標を自分事として持てる仕組みをつくることです。

歯科医院にそのまま移植するのではなく、医院の規模と文化に合った形で、「目標→指標→アクションプラン→確認」のサイクルを回す習慣を育てることが出発点になります。

まず院長が部門別の数字を定期的に確認する習慣をつくること。

次にチーフや部門長が自部門の数字を把握して動けるようになること。

この二段階が整ったとき、医院の目標管理は本当に機能し始めます。

目標管理の仕組みを一緒に設計したい院長は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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