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【第3章】歯科医院で個人面談を機能させる ― スタッフの声を経営に活かす仕組み  [2026年04月27日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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個人面談はなぜ形骸化するのか

定期的な個人面談を導入している歯科医院は増えています。しかし「面談をやってはいるが、何かが変わった実感がない」という院長の声もよく聞きます。面談が形骸化する原因は、目的が曖昧なまま始めてしまうことにあります。

面談の目的が「評価の場」になると、スタッフは本音を言えません。評価される側は、自分をよく見せようとします。「指導の場」になると、スタッフは一方的に聞かされる時間として受け取ります。どちらの場合も、スタッフの声は院長に届かず、面談は「やっているだけ」の行事になっていきます。

個人面談を機能させるためには、まず目的を正しく設定することが必要です。

個人面談の目的は三層構造で設計する

個人面談には、三つの階層の目的を持たせることが有効です。

第一の目的は「心理的安全性の確保」です。スタッフが日々感じている懸念、ヒヤリハット、改善のアイデアを、不利益を恐れずに話せる場をつくることです。院長や担当幹部が「自分も間違えることがある」という姿勢を見せることで、スタッフは「ここでは正直に話していい」という感覚を持てるようになります。この土台がなければ、他の目的はすべて機能しません。

第二の目的は「相互理解と関係性の調整」です。スタッフ一人ひとりの行動特性や価値観を理解し、コミュニケーションのズレを修正することです。行動特性の分析を活用すると、論理的な説明が響くタイプか、感謝や承認の言葉が力になるタイプかを把握できます。この理解をもとに、スタッフごとに関わり方を調整することが「個別化」です。

第三の目的は「組織の学習と改善」です。現場で起きた複雑な問題や新しい挑戦から生まれた失敗を、非難ではなく「次への学び」として共有する場にすることです。これにより、面談が組織全体の改善サイクルの一部として機能し始めます。

頻度・時間・構成の具体的な設計

個人面談は月に一回、一人あたり十五分から三十分が目安です。半年に一回や年に一回では「評価の場」という印象が強まり、スタッフは本音を出しにくくなります。短時間でも「定期的に確保されている」という事実が、院長とスタッフの間の信頼をつくります。

面談の進め方は四つのステップで構成します。

ステップ1はチェックインです。「最近、体調やプライベートで変わりはない?」という軽い問いかけから始めます。いきなり仕事の話に入るのではなく、スタッフの状態を確認することで、話しやすい空気をつくります。

ステップ2は現場の共有です。「この一ヶ月でヒヤリとしたことや、こうすればもっと良くなると思ったことはある?」と問いかけます。ミスや改善点を責める場ではなく、現場の実態を教えてもらう場として機能させることが重要です。ここで「教えてくれてありがとう」という反応を続けることが、次回以降のスタッフの発言を引き出します。

ステップ3はスタッフの特性に合わせた支援です。スタッフ個々の行動特性を参考に、そのスタッフにとって力になる関わり方でフィードバックを行います。論理的なタイプには事実ベースで話し、共感を大切にするタイプには感謝の言葉を添えます。

ステップ4はアクション確認です。「来月に向けて、私がサポートできることは何かな?」と問いかけて締めます。院長からの一方的な指示ではなく、スタッフ自身が次の行動を考える問いで終わることで、主体性が育ちます。

面談の中に「勇気づけの時間」を組み込む

歯科医院で働く若いスタッフの多くは、「自分は医院に必要とされているか」「自分の仕事が患者さんの役に立っているか」「ここに自分の居場所はあるか」という問いを、日常の中で感じています。こうした不安は、些細なことをきっかけにメンタルダウンにつながることがあります。

面談の後半五分から十分を、この「勇気づけ」に意識的に充てることをお勧めします。院長が教えるのではなく、スタッフ自身が自分の貢献に気づける問いかけを使います。

たとえば「この一ヶ月で、患者さんから言われて一番うれしかった言葉は何?」「〇〇さんがいてくれることで、僕は〇〇において助かっているんだけど、患者さんや他のスタッフに〇〇さんが貢献できたと感じた場面は?」という問いかけです。院長が「あなたはよくやっている」と言うより、スタッフ自身が自分の貢献を言葉にする経験の方が、自己効力感(自分にはできるという感覚)を高めます。

完璧主義になりやすい慎重なタイプのスタッフには、結果だけでなくプロセスへの肯定を届けることが有効です。内向型のスタッフには、大人数のミーティングよりも一対一の面談の方が本音を出しやすい。行動特性を理解した上で関わることで、同じ面談が人によって全く異なる効果をもたらします。

面談は「点」、日常の関わりは「線」 ― 両方がそろって機能する

個人面談は月に一度の「点」です。しかし面談だけでスタッフの居場所感や貢献実感は育ちません。日常の診療の中での関わりという「線」とセットになることで、初めて機能します。

日常の中で有効なのは、スタッフ同士が「助かったこと」を伝え合う文化をつくることです。サンクスカードのような形で感謝を可視化したり、朝礼や終礼の一分間で「この二十四時間で良かったこと」を一人ずつ話す場をつくったりすることで、スタッフが「自分はここで必要とされている」という感覚を日常的に受け取れる環境が生まれます。

こうした日常の積み重ねが、面談での発言の質を高めます。日々の関わりの中で「ここでは正直に話していい」という経験を積んでいるスタッフは、面談でも本音を話せます。逆に日常の関わりが薄いまま面談だけを設けても、スタッフは「また評価される」という感覚で臨むことになります。

先生の医院では今、スタッフが日常の中で「自分の貢献が見えている」と感じられる場面はどのくらいありますか。

幹部スタッフが面談を担当する場合の注意点

医院規模が大きくなると、院長がすべての個人面談を担当することが難しくなります。チーフや幹部スタッフが面談を代行する場合には、いくつかの注意が必要です。

最も気をつけるべきは「誘導」です。面談に慣れていない幹部スタッフは、無意識に自分の価値観や答えにスタッフを誘導してしまうことがあります。「こうすべきだよね?」という問いかけは、スタッフの本音を封じます。「どう思う?」「どんな気持ちだった?」という開かれた問いを使うことが基本です。

また、内向型のスタッフには沈黙の時間を許容することが重要です。問いかけてすぐに返答を求めず、考える間を与えることで、内向型のスタッフは自分の言葉を整理して話せるようになります。

そして最も大切なのは「話してくれたことを罰しない」という姿勢です。面談でスタッフが懸念や不満を話した後に、それが後で問題視されたり、冷たく扱われたりした経験が一度あるだけで、スタッフは次から本音を話さなくなります。幹部スタッフがこの姿勢を保てるかどうかが、面談が機能するかどうかを決めます。

まとめ

個人面談を機能させるために必要なことを整理します。目的を「評価」ではなく「心理的安全性の確保・相互理解・組織学習」の三層で設定すること。月一回・十五分から三十分の定期開催を継続すること。四ステップの構成で進め、後半に勇気づけの時間を組み込むこと。そして面談という「点」と日常の関わりという「線」をセットにすること。

スタッフが「ここに自分の居場所がある」と感じられる組織は、離職率が下がり、スタッフが自ら考えて動くようになります。個人面談は、その組織をつくるための重要な仕組みです。

次章では、スタッフが「何をすれば認められるか」「成長を確認できるか」を明確にする評価制度の設計をお伝えします。

 

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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