売上を支えていた“当たり前”が崩れはじめている
令和8年の診療報酬改定に向けた攻防が激しくなっています。
中医協の議論では、歯科医院の「過剰利潤」が資料内で指摘され、ベースアップ評価料の届け出医院、加算点数の算定数が少ないことから歯科医院は経営に余裕があるという主張がされています。人材不足と人件費高騰、経営コストの上昇の中、今後の駆け引きでで財務省の主張が取り入れられることになると、歯科医院経営がかなり厳しくなってくと感じるのです。
特に健康指数が高い都市の医院では、若年層のう蝕患者の減少、健康志向の高まりにより、患者構成が変化しています。「今まで通りのやり方」では売上が維持できない状況に直面しているのです。
ユニットの「稼働時間」と「稼働内容」を見直す
歯科医院経営においては、ユニットの稼働率がそのまま売上に直結します。しかし、単にユニットを多く回すだけではなく、「誰が・どのような診療で・どれくらいの価値を1台のユニットで生み出しているか」という視点が必要です。
これからの時代は、国家資格者である歯科医師・歯科衛生士が限られた時間内でどれだけの付加価値を提供できるかが問われます。たとえば、歯科衛生士が45分で平均10,000円分を売上げる場合と、8,000円を1時間で売上げる場合とでは、ユニットの生産性が大きく異なります。ユニットが10台あったとして、ドクターと歯科衛生士でそれぞれ何台のユニットを使用するのかでも売上と利益は変わるのです。そして予約枠の稼働率も売上に大きく影響します。
近年では、長時間勤務の制約や働き方改革により、診療時間自体が縮小傾向にあるため、1日あたりの売上を確保するには「時間当たり生産性」「ユニット1台当たり生産性」「一人当たり生産性」を最大化する戦略が不可欠です。
先生の医院では、歯科衛生士枠1列で1日に何枠の予約をいれていますか?ユニットの稼働状況と一人当たりの時間生産性を数値で把握していますか?
スタッフの離職が「経営リスク」になる時代
人材の確保が困難になりつつある今、スタッフの離職は単なる人手不足にとどまらず、医院の存続にも関わるリスクです。特に、国家資格者の退職は診療体制そのものを崩壊させます。
働き方改革の流れもあり、「長時間・低賃金・不明確な評価制度」といった旧来型の経営スタイルでは、スタッフの定着は見込めません。現場からは「人間関係のストレス」や「成長実感の欠如」による退職も多く聞かれます。
ある歯科医院では、スキルアップ評価制度と育成カリキュラムを再構築し、リーダーによる面談と技術指導を月に数回実施。その上でスタッフ主導の目標管理を導入したところ、1年間で離職者ゼロ、ユニットの稼働率も20%向上しました。人が辞めずに育ち、活躍することが、最大の「コスト削減」であり「収益向上策」になるのです。
働き方改革と高稼働ユニットは両立できるか?
一見矛盾するように見える「働き方改革」と「ユニット稼働率の最大化」。この両立は可能なのでしょうか。
答えは「YES」です。鍵となるのは、業務の仕組み化・見える化・再分配です。具体的には以下のようなアプローチが有効です。
①治療の流れやコンサルの流れなど、オペレーションを見える化して分析、効率アップできる方法に再構築
②歯科医師の診療時間を「診断・治療・説明」に集中させ、それ以外を歯科衛生士、治療コーディネーター、診療スタッフ、医療クラークに移行(分業化)
③カウンセリング業務をバージョンアップしてからマニュアル化し、患者との信頼関係をスタッフ主導でも築ける体制に
④電子カルテや予約管理システムの活用で、1日あたりの業務効率を向上、キャンセル治療中断率低減
⑤毎日、予約表を見直すことで予約枠の稼働率アップ
働き方改革は必要ですがそれによって売上が下るのはNG、生産性を上げていく事なしに働き方改革は成功しないのです。
もちろん、取組の成果は数値で管理して改善を続けていくことが必要であることは言うまでもありません。
戦略的に「誰が、何を、どのくらいの時間で」行うかを決める
これからの歯科医院経営は、もはや「なんとなく予約枠を回す」時代ではありません。
限られたユニット、限られた人材、限られた時間の中で、最大の価値を提供する診療体制=戦略的稼働率をどう実現するかが生き残りの鍵です。
売上は最大に、コストは最小に。そのバランスを達成するためには、感覚や経験ではなく、数値に基づいたマネジメントが必要です。
先生の医院では、数値管理によって生産性を向上させ、収益確保による働き方改革を実施できていますか?
これからの時代、「辞めないチーム」「生産性の高いユニット」「低コストな仕組み」をどうやって実現していきますか?
「もっと詳しく知りたい」「自院の稼働率をどう改善すべきか知りたい」「予約枠を埋める方法を知りたい」とお感じになった先生は、ぜひ一度ご相談ください。先生の医院の診療体制に応じた改善提案をさせていただきます。