歯科医院の経営を改善したいと考えたとき、「スタッフ育成」や「仕組みづくり」などに注目が集まりがちですが、実は院長自身の診療力こそが最も根本的な経営資源となります。
なぜなら、診断力や治療の引き出しの多さが、患者満足や単価、リピート率、自費率に直結するからです。今回は、歯科医院経営成功の本質③「歯科治療としての品質向上」について掘り下げていきます。
経験の差が診断と治療提案を分ける
同じ患者、同じ症例でも、治療経験や技術研鑽の有無によって、診断や治療方針は大きく異なります。
例えば、自費補綴全般・義歯・インプラント・矯正などの治療技術が高く、様々な症例を経験し関連知識が深いドクターは、多様な選択肢をもとに、患者に最適なプランを提案できます。一方、知識と経験が浅いと、できる治療の範囲も限られ、結果として患者に「自分の治療の引き出しの範囲」でしか治療提案ができないのです。
また、治療の引き出しが多ければ多いほど、複雑な症例や自費治療の提案にも自信を持て、結果として治療単価が上がります。患者の為に磨いた治療技術が結果として医院の単価向上や経営の安定にもつながるのです。
治療品質が患者の信頼と紹介を生む
そして治療品質は、治療結果だけでなく、患者への治療プロセスの説明や信頼関係の質と一体のものだと感じます。
いくら治療技術が高くても治療計画が適正なものであっても、患者が感じる品質は治療技術の高さだけではないからです。実際に治療技術が高いのに経営が上手くいかない院長からもご相談いただきます。
患者は「この先生なら安心できる」「ここでしっかり見てもらえる」と感じたときに、継続通院を決め、周囲に医院を紹介したくなります。
つまり、診断力や治療技術だけでなく、医療面接や説明力も含めての「治療品質」が医院のブランド価値を支えているのです。
技術研鑽は、経営にも還元される
勉強会やセミナーへの参加、症例検討、外部講師を招いての院内研修など、治療技術向上のための投資は、決して「コスト」ではなく「未来への先行投資」です。
医院の収益を安定させ、スタッフに安心して働いてもらうためにも、まずは院長自身が「技術を磨き続ける姿勢」を持つことが重要です。
スタッフは院長の背中を見ています。真摯に学び続ける院長の姿は、それ自体がスタッフの育成にもつながるのです。
ただ、スタッフが「休日の勉強会に出席してくれない」「MFTなど新たな分野の導入に消極的(忙しい、人が足りない)」というお悩みを抱えておられる院長もおられるでしょう。
そうなる理由は「提案の仕方」です。スタッフにやる気がないのではなく、院長がやる気をおこさせる提案ができていないのです。また、機会があればブログで書きますね。
まとめ:治療品質の向上が、すべての成果の土台になる
医院の経営を安定させたいなら、まずは治療技術と診療力を磨くこと。そして臨床で活用し提案力を磨くこと
(理由)
・診断力や治療引き出しの多さが治療計画を厚くすることに繋がる
・治療提案力を高めることが患者の納得を生む
・総合的な患者満足が紹介率、リピート率の向上に直結する
・技術への真摯な姿勢は、スタッフの成長意欲にも波及する
経営を支える最大の資産は、やはり院長自身の治療品質にあるといえるでしょう。
先生は、いまどんな形で自己研鑽に取り組まれていますか?そしてその技術力は臨床でどう活かされているのでしょうか?
先生が磨いておられる治療技術は医院の未来を作る治療コンテンツとして成長していますか?
医院全体の成長のために、どんな「技術投資」を計画されているでしょうか?
そこにスタッフは参加できているでしょうか?
スタッフを巻き込んで治療品質を高めたい、磨いている治療技術を経営にも活かしていきたいとお考えの方はご相談くださいね。
次回は、本質④「数値による現状の見える化と改善計画」についてお届けします。