今日は歯科医院の成長に必要な「歯科医療としての視点(医療の質)」。
1.オペレーション視点(業務効率化)
2.患者視点(サービス向上)
3.歯科医療としての視点(医療の質)
4.5S視点+安全視点(職場環境・感染対策)
5.マーケティング視点(集患・認知・ブランディング)
医療インシデントは「見える化」できていますか?
歯科医院でも、医療事故に繋がる可能性のある「医療インシデント」は日常的に発生しています。しかし、インシデントを組織として見える化し、改善につなげている医院は、まだまだ限られているのが現状です。
患者さんに害が及ぶ前に、つまりアクシデントになる前に、リスクの芽を摘み取る仕組みが今こそ求められています。
まず必要なのは、インシデント発生を未然に防ぐ「仕組み化」です。安全基準をマニュアルで明確に定め、必須の作業ステップを誰もが省略せずに実行できる状態にすること。これが欠けると、忙しさや慣れによって、無意識のうちに安全性が損なわれてしまいます。
現場に合った安全品質を保つためには、専門家の指導を受けながら、医院のステージに応じたオペレーションを整備していくことが不可欠なのです。
先生の医院では、医療インシデントを組織的に共有・改善する仕組みが整っていますか?
安全品質は「維持と進化」が求められる
一度整えたマニュアルも、その後の運用と定期的な見直しがなければ形骸化してしまいます。人はどうしても自分のやりやすい方法に流れがちであり、特にマンパワーが不足すると、安全に必要なステップが省略されやすくなるため注意が必要です。
また、新しいスタッフが入職した際、きちんと安全基準に基づく教育を行わなければ、医院全体の安全品質が低下してしまいます。
ベテランスタッフ自身が安全基準を厳格に順守し、なおかつ新人にもその重要性を徹底指導する。この文化がなければ、安全品質は守れません。
「安全」は、医療に限らず、すべての組織活動において最優先されるべきものです。
効率を追求するあまり、安全が犠牲になってしまうようでは、本末転倒なのです。
「ヒヤリハット」の共有で終わらせない
一部の歯科医院では、院内ミーティングで「ヒヤリハット(ヒヤッとした、ハッとした事例)」の共有が行われています。これは素晴らしい取り組みですが、「今後は気を付けましょう」で終わってしまうケースが多いことも事実です。
本来、インシデント共有の目的は、個人の注意力に頼ることではなく、仕組みそのものを改善することにあります。
とくに「レベル0インシデント(患者に影響はないが手順の逸脱があった状態)」の段階で、エラー発生を防ぐ仕組みを作り上げることが重要です。
たとえば、ある医院では、レベル0インシデントの発生をきっかけに「器具セット時のダブルチェック」を導入し、マニュアルに反映しました。さらに、その後の実施状況を月1回のミーティングで振り返り、運用のズレを早期修正しています。
このように、ミスを防ぐ仕組みを作り、改善内容をマニュアルに明記し、スタッフ全員が新しい基準に沿って動けているかを確認すること。このプロセスこそが、真の安全文化を根付かせる鍵なのです。
安全基準の遵守は人材育成の土台になる
安全基準の維持・進化は、単なるリスク管理ではありません。それは、歯科医院における人材教育の「土台」です。
なぜなら、安全基準が守られる環境こそが、スタッフ一人ひとりが歯科医療従事者としての基礎意識を身につける場になるからです。
基本的な安全確認を徹底できない状態で、より高度な診療技術やホスピタリティを教えようとしても、土台が脆いため、効果が上がりません。
スタッフ教育の初期段階で「安全にこだわる文化」をしっかり体感させる。これができる医院ほど、チームの一体感が高く、成長スピードも速い傾向があります。
安全教育は単なるルール遵守ではなく、人間教育そのもの。
そして人間教育ができている安心安全な歯科医院に患者が集まるのです。
先生の医院では、安全基準をどのように人材育成の中に組み込んでいますか?