今日は歯科医院の成長に必要な「歯科医療としての視点(医療の質)」。
1.オペレーション視点(業務効率化)
2.患者視点(サービス向上)
3.歯科医療としての視点(医療の質)
4.5S視点+安全視点(職場環境・感染対策)
5.マーケティング視点(集患・認知・ブランディング)
医療の質を高めるために、今求められる「エビデンスに基づく治療」
「エビデンスに基づく治療を徹底する」と言うのは簡単ですが、それを習得するにも院内にその考え方を根付かせるのも、簡単ではありません。
とはいえ、私たちは医療機関である以上、「勘や経験」だけでなく、科学的根拠に基づいた「診断」「治療計画」「説明と提案」を行うことが不可欠です。
保険診療においても同様です。ドクターがエビデンスに基づいた治療計画を立て、その上で選択肢を提示することで、治療の透明性と信頼性は飛躍的に高まります。そして同じ保険治療であっても、エビデンスを理解して治療にあたるドクターと、そうでないドクターとでは、治療の精度・結果・説明力に大きな差が出てしまいます。
先生の医院では、診療方針や治療の根拠についてスタッフとどの程度共有できていますか?
高い医療品質の追求がチームの志を育てる
質の高い歯科医療を追いかけることは、単なる技術的向上にとどまりません。これは、スタッフのモチベーションや組織文化を育てる重要な要素でもあります。
志の高いスタッフは、自らの成長が見込める職場に惹かれます。そして、理想を追いかける過程で仲間と困難を乗り越えることで、チームとしての一体感や成長実感を得ることができます。「なぜこの治療をするのか?」「どうすればもっと良くなるのか?」という問いを日常的に交わす職場は、自然と自律型組織へと進化していくのです。
また、院長自身が「エビデンスを重視した診療方針」を明確に掲げることで、方向性のブレが少なくなり、スタッフも判断に迷いにくくなります。
経営視点でも求められる「エビデンス志向」の医院づくり
現在、保険点数の加算要件や評価基準の中に「治療の質」を評価する動きが少しずつ広がっています。つまり、エビデンスに基づく治療の追求が、経営的な成果にもつながる時代に入ってきているのです。
さらに、患者側も医院選びの際に「治療の考え方」や「わかりやすい説明」「一貫性のある診療体制」を求めるようになっています。医院のブランドコンセプトが明確であり、それが診療や院内のコミュニケーションにまで反映されているかどうかが、選ばれるかどうかの分かれ目になってきているのです。
ですから、どれだけ質の高い治療をしていても、その価値を伝える仕組み(マーケティングや説明資料)、継続的な見直しと改善の仕組み(経営指標の可視化)がなければ、経営としては成立しません。
院内にエビデンス志向を根づかせる7つのステップ
現場で実際に成果を出すためには、以下のような段階的アプローチが有効です。私が医院のチームビルディングをお手伝いする際にも、常にこの流れを意識しています。
ステップ |
目標 |
実施例 |
STEP 0 |
改革プラン |
ブランドコンセプト策定、医院としての改革プランの明文化 |
STEP 1 |
マインド改革 |
院内MTGで現状を可視化し、改革の方針を打ち出す |
STEP 2 |
情報収集 |
抄読会の実施、学会参加、文献の共有 |
STEP 3 |
標準化 |
クリニカルパスの作成、診療フローやオペレーションの改善 |
STEP 4 |
チーム共有 |
スタッフ向け研修を定期開催し、全体の知識を底上げ |
STEP 5 |
説明力強化 |
患者向けリーフレットの整備、説明動画やカウンセリング強化 |
STEP 6 |
継続改善 |
定期的な振り返りと見直し、KPIや指標による進捗確認 |
このステップのどこかが抜けていると、せっかくの取組みも定着せず、成果に結びつきにくくなってしまいます。また、これを継続的に進めるためには、計画的な採用と育成が欠かせません。医院の理念に共感し、共に成長を目指せるメンバーを迎え、チーム全体で「医療の質」を高めていく姿勢が必要です。
院長の「診療の哲学」が医院を導く
最後に大切なのは、院長がどんな「診療の哲学」や「医院の理想像」を持ち、それをいかに日々の診療やチームマネジメントに落とし込んでいるかという点です。
理念は掲げるだけでは伝わりません。それをどう行動に落とし込むかが問われますし、そこにこそチームの結束力や医院のブランド力が宿ります。
さて、先生はどんな方針を掲げ、チームメンバーを鼓舞しながら臨床を進化させておられますか?
ぜひ一度、医院の診療方針や共有の仕組みを見直してみてください。それが、患者・スタッフ・医院の三方にとって最善の未来を築く第一歩になります。