今日は歯科医院の成長に必要な「患者視点(サービス向上)」。
1.オペレーション視点(業務効率化)
2.患者視点(サービス向上)
3.歯科医療としての視点(医療の質)
4.5S視点+安全視点(職場環境・感染対策)
5.マーケティング視点(集患・認知・ブランディング)
なぜ今、ホスピタリティを見直す必要があるのか?
どれだけ治療の技術力が高くても、患者が「通いたい」と思うかどうかは、医院全体の“雰囲気”に左右されます。特に郊外の歯科医院では、患者が選択肢を持っている分、通院継続の意思決定においてホスピタリティ(接遇)が大きな影響を与えます。
例えば、受付での第一声、診療中の表情、会計時のひと言——こうした何気ない瞬間の積み重ねが、医院のブランドイメージそのものになっていきます。
先生の医院では、「通いたくなる医院」になるための接遇の再訓練を、計画的に行っていますか?
特に中規模以上の歯科医院では、スタッフの入れ替わりやライフイベントによる体制変更が避けられず、接遇のレベルがバラつきやすい状況にあります。だからこそ、「当たり前」を定期的に見直す仕組みが不可欠です。
カスタマージャーニーを活かした「感情設計」とは
医院経営において近年注目されているのが、「カスタマージャーニーマップ」の活用です。これは、患者が医院と出会い、通院し、帰るまでの一連の流れを“感情”の動きとともに可視化する手法です。
たとえば——
・来院時:「初めての場所で不安」→受付の明るい挨拶で安心へ
・診療中:「緊張している」→アシストスタッフの声かけでリラックスへ
・帰り際:「治療は良かったけど対応が無機質だと残念」→笑顔と感謝の言葉で満足感へ
このように、患者の「感情の変化」を前提に設計された接遇こそが、再来院を促す体験価値につながります。ただ業務をこなすのではなく、「どう感じてもらいたいか」を設計することがポイントです。
品質を保つには“再訓練”と“フィードバックの仕組み”が要
実際の歯科医院では、日々の忙しさの中で接遇の質が形骸化していくことがあります。特に、新人スタッフが現場に慣れる過程では、「診療オペレーションを覚えることで精一杯」になり、ホスピタリティの意識が後回しになるケースも少なくありません。
そこで有効なのが、接遇の再訓練(リトレーニング)と観察・フィードバックの習慣化です。
たとえば、
・月1回、ロールプレイ形式の「接遇練習会」
・管理者やリーダーによる「同行・観察・振り返り」
・カスタマージャーニーを元にした「感情チェックシート」の運用
こうした仕組みが整えば、「接遇も業務の一部」として定着していきます。教育コストはかかりますが、長期的には医院のブランド価値と患者定着率を高める重要な投資です。
医院の価値は「治療」だけでは測れない
患者は必ずしも治療の専門性だけで歯科医院を評価しているわけではありません。特にSPTや定期健診に通うフェーズでは、「気持ちよく通えるか」「居心地が良いか」といった感情的な価値が大きく関与します。
つまり、医院の「ソフト面」が強くなればなるほど、1年後継続来院率も上がりやすくなるのです。
「ここはいつ来ても笑顔で迎えてくれる」「説明が丁寧で安心できる」「治療だけでなく人間関係も心地よい」「早く歯科衛生士さんに話を聞いて欲しい」——そんな印象が積み重なることで、患者の心に“推奨したい医院”として残るのです。
組織全体でホスピタリティを高めるために
最後に、院長だけが接遇を重視していても、現場が追いついていなければ意味がありません。大切なのは、スタッフ全員が「自分たちが医院の顔である」と自覚できる文化を育てることです。
そのためには、
・定期的に接遇の目的を言語化し共有する
・患者からの声(ポジティブ・ネガティブ)をチームで学びに変える
・「うまくできた接遇」の共有を称賛文化に取り入れる
といった取り組みが有効です。
先生の医院では、患者にどんな感情で帰ってもらうことを目指していますか?
その感情が、医院全体で“共通認識”として持たれているでしょうか?
「三方よし」の視点で見れば、患者の満足はそのままスタッフの誇りと医院の成長に直結します。技術と同じくらい、ホスピタリティにも「再現性のある仕組み」を整えていきましょう。