今日は歯科医院の成長に必要な「患者視点(サービス向上)」。
1.オペレーション視点(業務効率化)
2.患者視点(サービス向上)
3.歯科医療としての視点(医療の質)
4.5S視点+安全視点(職場環境・感染対策)
5.マーケティング視点(集患・認知・ブランディング)
患者さんからの貴重な声を医院の「気づき」に変え、継続的な改善につなげることは、成長を目指す歯科医院にとって不可欠です。今回は、患者視点のサービス向上の中でも、特に「フィードバック導線の整備」に焦点を当てて解説します。
なぜ「フィードバック導線」が必要なのか?
多くの医院で患者アンケートを実施していますが、その内容が現場で活かされていないケースが少なくありません。アンケートの目的が「やっている感」になってしまい、改善アクションに結びつかないまま終わるのは非常にもったいないことです。
患者さんの声は、医院の改善ポイントを教えてくれる「現場の鏡」です。どんなに理念を大切にしていても、それが実際に患者さんに伝わっていなければ、片手落ちの経営になってしまいます。だからこそ、フィードバックを受け取るだけでなく、それを医院全体の気づき・行動に変えるための「導線=仕組み」が求められます。
また、ヒヤリハットもそうですが患者アンケートの回答を個々人や特定の部署が改善するべき問題となりがちです。
例えば、「受付の事務的な対応を改善して欲しい」とアンケートに書かれていた場合、受付が注意して改善するべき問題となりやすい。
しかし、実際には受付担当が注意するべき問題ではなくオペレーションや仕組みの問題など全体の問題であることも多いのです。だから改善するのならば同様の問題が発生しない仕組みにする為に何が必要か?を話し合わなければまた発生する可能性があるのです。
アンケートを「使える情報」に変えるプロセス
例えば、ある郊外の中規模歯科医院では、患者満足度向上を目的に月1回アンケートを実施していました。しかし、結果を院長や該当部署の担当者が個別に読んで終わっていたため、スタッフにとっては「自分ごとにならない」という課題がありました。
そこで改善策として、アンケート結果の要約(ポジティブ・ネガティブ両方)をチームで共有し、「気づき→理想の状態と現状との差⇒差を埋める為の行動の見える化→改善アクション」を話し合う時間を月1回設けることにしました。さらに、タスク管理ボードを設置し、「◯月の改善目標」として掲示することで、スタッフ全体の意識も変化。結果的に、患者満足度だけでなくスタッフのエンゲージメントも向上しました。もちろん、定期的に改善が定着しているのかをチェックしています。
先生の医院では、患者さんからの声をどのように組織で共有し、活かしていますか?
スタッフが主体的に受け取る環境づくり
アンケートや口コミの内容がネガティブなものであっても、それを「責められている」と受け取ると現場は萎縮してしまいます。そこで重要なのは、心理的安全性の高いチームづくりです。
「患者さんの声は、改善のための宝物である」という共通認識を持ち、あくまで“プロとしてより良いサービスを目指すための視点”として扱うことで、スタッフは安心して意見を受け取ることができます。
また、「ありがとうの声」などポジティブなフィードバックも必ず受け取れる質問項目にし、結果を共有することが大切です。そうすることで、スタッフが自分たちの仕事の価値を実感でき、モチベーションの維持にもつながります。
実際に、ポジティブなフィードバックを受取ったスタッフは更に患者に喜んでもらう為のアイデアを実行するようになりました。
やはり、患者からの承認の言葉は内発的な動機にも繋がるのです。
「行動に落とし込む」ための工夫とは
どんなに良いフィードバックも、共有するだけで終わってしまえば意味がありません。そこでおすすめなのは、小さなPDCAサイクルを組むことです。
たとえば、「受付での案内がわかりづらかった」という声があった場合、それを単なる注意喚起で終わらせるのではなく、
・Plan(計画):案内表示を見直す・説明文を追加する
・Do(実行):1週間テスト的に変更する
・Check(評価):再度アンケートやスタッフの声で確認する
・Act(改善):良ければ正式に採用・悪ければ再検討
というように、実際の行動に落とし込むサイクルを組むことで、「気づきが医院の成長につながる実感」が生まれます。
三方よしの視点でのフィードバック導線
患者さんの声を取り入れることは、当然ながら患者満足度を高める第一歩です。そしてそのプロセスにスタッフが関与することで、スタッフの働きがい・やりがいの向上にもつながります。さらに、改善されたサービスが医院の信頼性を高め、結果的に経営的な成果(リピート率や紹介数の向上)にも結びつくのです。
つまり、患者・スタッフ・医院の三方すべてにとってプラスになるのが、フィードバック導線を整備する本当の価値です。
先生の医院では、患者の声を「気づき」に変える仕組みができていますか?