今日は歯科医院の成長に必要な「患者視点(サービス向上)」。
1.オペレーション視点(業務効率化)
2.患者視点(サービス向上)
3.歯科医療としての視点(医療の質)
4.5S視点+安全視点(職場環境・感染対策)
5.マーケティング視点(集患・認知・ブランディング)
カウンセリング導入は「スタートライン」に過ぎない
近年、患者対応の一環としてカウンセリングを導入する歯科医院が増えてきました。特に中規模以上の医院では、治療コーディネーターを配置し、カウンセリングルームを設けている例も珍しくありません。
しかし、実際の現場を見ていると、まだまだ“納得できる説明”の水準には達していないと感じることがあります。なぜなら、説明する側の知識レベルと、患者の理解レベルには大きなギャップがあるからです。一方的な説明で終わってしまい、患者は内容を「理解したフリ」でその場をやり過ごしていることも多いのです。
「先生の医院では、患者が治療に納得する仕組みをどのように整えていますか?」
小規模医院でも「説明の質」を仕組みにできる
ユニット3台の小規模な医院でも、患者が納得できる説明を行うことは可能です。確かにカウンセリング専用スペースや専任スタッフがいないと、分業は難しいかもしれません。しかし、説明の「タイミング」と「方法」を見直せば、日常の診療時間内で納得度を高める工夫はできます。
たとえば、初診時に短時間でもビジュアル資料を使って「治療の全体像」を見せるだけで、患者の安心感と信頼度は格段に向上します。ユニット横でiPadを使って症例写真や動画を見せる。あるいは、受付後すぐに簡単な問診票をベースに、診療スタッフが診療前のプレカウンセリングを行うなど、仕組み化の可能性は十分あります。
「説明」はタイミングと役割分担がカギ
説明が不十分になりがちな医院の多くに共通するのは、「誰が・いつ・何を・どうやって説明するか」が曖昧である点です。これでは、どれだけ資料を用意しても属人的な運用に終始してしまい、再現性がありません。
そこで必要なのが、説明のプロセスを明文化した「カウンセリング・オペレーション」です。たとえば次のような形で整備していきます:
・初診:治療コーディネーターが全体の流れを説明し、患者の希望をヒアリング
・診断後:検査結果をもとに診断し治療計画を作成。必要に応じて説明ツール・動画・過去症例などを活用
・治療中:各ステップの前に「今日の治療の目的」「選択肢がある場合のメリット・デメリット」などを説明
・治療後:終了カウンセリングで重症化予防やリスク管理の必要性を説明
このように、説明を「点」ではなく「線」にすることで、患者との信頼関係もより強固になります。
「一方的な説明」から「納得の会話」へ
カウンセリングがうまくいかない原因の多くは、「説明」が「対話」になっていないことにあります。説明資料を提示するだけでは、患者の理解は浅いままです。重要なのは、患者の反応に応じて会話の方向性を柔軟に調整できるスキルです。
このためには、治療コーディネーターやスタッフへの定期的なトレーニングが必要です。心理学やコミュニケーション技法の要素を取り入れた研修やロールプレイングを継続して行うことで、「相手の理解を確認しながら話す」力が育まれます。
また、スタッフ自身が治療内容をきちんと理解していることも前提条件です。内部研修で症例を共有しながら、説明の「深さ」と「共通言語」を持つチームを育てていきましょう。
納得が医院経営にもたらす価値とは?
患者が本当に納得した上で治療を受けると、以下のような効果が現れます。
・治療中の離脱が減る
・自費率の向上(必要性を理解した上で選択される)
・家族や知人への紹介が増える
・口コミ評価が向上する
つまり、「納得できる説明」は、患者にとっての安心だけでなく、医院経営にとっての持続的な成長にも直結するのです。
説明の質は、そのまま医院の信頼の質を示します。患者が「ここまで丁寧に話してくれる医院は初めて」と感じたとき、そこに選ばれる理由が生まれます。
まとめ
治療説明は、単なる“義務”ではなく、医院の信頼と差別化を生む“資産”です。小規模でも中規模でも、説明のタイミング・手段・人材育成を仕組み化し、「納得」を提供できる医院を目指しましょう。
先生の医院では、患者に“心から納得してもらえる説明”ができているでしょうか?
それをスタッフ全員で、どのように実現していきますか?