おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
今日は、
①採用戦国時代
②低収入高コスト時代
③メイン歯科医療需要の成熟期⇒衰退期=収益力の低下
④人口動態と少子高齢化
⑤保険医療制度の転換期と医療費抑制政策
の2番目、「低収入高コスト時代」についてです。
私はクライアントの院長に「自費治療も含めた患者単価とLTVを上げていきましょう」と話します。
それ位、保険診療における平均治療点数は下がってきているのです。
もちろん、「過剰診療」「不正請求」「不当請求」は駄目なのでルールに従って診療をおこなっての話です。
保険診療において点数が下る一番の要因は「歯冠修復及び欠損補綴」の平均点数が下ってきていることです。
そして平均点数が一番高い都道府県と一番低い都道府県の差は約300点もある。
別に平均点数が高い地域が濃厚診療をしているという訳ではなく、へき地や島などとの健康指数の違いや地域性、人口動態、患者との関係性の違いが平均点数の違いになっていると感じるのです。
例えば高齢者が多い地域の平均点数が高いのは自然なことだと思うのです。
平均点数が高くても患者数が少なければ保険医療機関の収入は上がらない。
だから「平均点数」や「一人当たり医療費」にフォーカスした国の主張は「医療費抑制」を前提としており正当性がないと思うのです。
しかし、財務省の「令和7度予算の編成等に関する建議」では、賃上げをする為の診療報酬の引き上げを含めて反対しており、令和7年の夏以降に始まる令和8年歯科診療報酬改定の駆け引きは予断を許さない。
もし、来年の診療報酬改定がベースアップ分を含めて低く抑えられることがあれば、戦略的に賃金を引き上げていく必要がある保険医療機関にとって大きな負担となるのです。
歯科医院経営は四則演算なので、「保険診療の平均点数が下り」「一人当たり実日数が下り」「若年層のう蝕治療の患者が減少」することは保険医療を維持する上で大きな負担となる。
だから診療報酬改定でコストの上昇に見合う引上げがなければ、コロナ期以降の物価上昇や人件費の高騰によって更に営業利益が圧縮されるのです。
そして個人開業の歯科医院が売上げを落す傾向にあり、医療法人が売上を増やす傾向にある。
最近は「医療機関経営の見える化(把握)」が進められており、ベースアップ評価料なども職種別の給与を見える化することに繋がっています。
保険医療機関の経営状態が見える化された先に待っているのは、診療報酬のアップではなく医療機関の経営状態を細分化して把握した上での医療費の抑制。
そういう意味で売上を伸ばしている医療法人が安泰であるとは言えないのです。
国の投資は「ワイズ・インベスティング(賢い投資)」から「EBPM(根拠に基づく政策立案)」に移行しつつあり、介護が「エビデンスに基づく科学的介護」に移行しつつあるように、保険医療も投資効果が立証できない分野(投資効果のエビデンスがない)や治療へは診療報酬改定の予算が配分されることはなくなって、他の重点項目に配分されていくのです。
そして、改定予算の一部は既存の点数を引き下げて確保されていく。
問題なのはプライマリケアを担う同じ保険医療機関であっても置かれている経営環境が大きく違うことです。
「医師の偏在化」の検討会では根本的な解決方法を見つけられておらず、それは歯科医療にとっても同じだからです。
保険のう蝕治療においては低収入高コストの状態は今後も続く。
だから「収入面」と「支出面」をちゃんと見ながら3年後、5年後の対策をしていかなければ気づいた時にはジリ貧となっており打てる経営対策もなくなっている。
そうならない為に収益モデルの選択と営業利益の確保を重視して頂きたいと思うのです。
先生の医院で3年後も営業利益を伸ばし続けられている根拠はありますか?
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00