おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
医療経済実態調査によると歯科医院で個人医院の売上は4600万円、医療法人は1億円です。
これは昔はう蝕治療のニーズが多くドクターが一人でユニット3台の医院が多かったこと、租税特別措置法適用の保険売上の上限が5000万円であることが影響していると私は考えています。
初診から補綴物セットまでの期間を短縮して新患を多く受入れることで十分経営は成り立っていたのです。
しかし、現在では、
・人件費の高騰
・その他経費の高騰
・歯冠修復及び欠損補綴の平均点数の低下
・実日数の短期化
・金属価格の高騰
によって保険のう蝕治療の採算性は低下してきています。
だから、なんとかしようと経営対策を打たれるのですが、その対策が逆に経営の体力を奪うことに繋がり易いのです。
ハッキリ申し上げると、開業して10年以上ユニット3台で経営されているなら、院長の力で規模の拡大や新たな治療コンテンツの導入を成功させられる可能性は低いと思います。
だから拡大によって経営の体力を奪われるよりも現在所有している医院の経営資源を活かす方法を考える方が良いのです。
ユニット4台以上の経営は収益モデルが変わり人材の安定的確保が必要になる。
小規模零細歯科医院は人材の確保において圧倒的に不利なので、リピート型の収益モデルに踏み出すのならば相当の覚悟が必要なのです。
ユニット3台の院長に必要なのはランチェスターの弱者の戦略です。
・数少ない応募者を大切に扱い、スタッフにできるだけ長く働いてもらえる様に配慮する。
・スタッフの昇給と待遇改善に可能な限り配慮する
・現在の医院の強みを見つけ出して、そこを徹底的に磨く
・大きな歯科医院が狙わないニッチな市場を狙う
・設備投資を極力抑える
・医院の設備は古くても院内をピカピカに磨く
・ドクターやスタッフの清潔度を意識する
・広告新患より紹介新患の数にこだわる
・算定すべき点数は面倒がらずに着実に算定できるようにする
・経費を抑え措置法差額を最大化させる
・節税は考えない
・院長はマーケティングと管理会計について学ぶ
・院長の給料を取りすぎないで医院に資金のダムを築く
・ハード面ではなくソフト面を磨いて患者が離れなくなる「密着軸」の戦略を取る
・離脱する患者を徹底的に減らせるよう数値分析をおこなう
・持ち患者数を増やせるよう工夫する
・院長は得意な自費のコンテンツを一つだけ磨いて収益の柱とする(インプラントとアライナー矯正以外)
などをお考えください。
私の母がお世話になっている歯科医院では、母を治療に連れていくとスタッフが待合室に出てきて「森脇さん、元気やった?今日は暑かったね」と笑顔で話しながら足腰の悪い母を待合の椅子に座らせてくれます。
すると母は嬉しそうにスタッフに最近の出来事を話すのです。
小規模零細歯科医院の戦略は大きな歯科医院ではやれないことを徹底的にやることです。
その為に、院長はまずは自分が徹底的に実践しスタッフを巻き込んでいく必要があるのです。
そうです、スタッフに求めるより院長の実践が先なのでくれぐれもご注意を!
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00