おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
患者満足度を簡単に言えば、患者が理想としている扱いを医院メンバーから受け、治療説明や治療そのものにも満足している状態。
ただし、患者が満足しているから患者の健康が守られるかと言えばそうとは限らない。
主訴のみの治療を希望した患者に主訴のみを治療すれば患者はその時は満足しますが、将来的に未処置の箇所が悪化してしまえば患者の未来の満足は得られないからです。
一方、従業員満足は「仕事内容」「待遇」「福利厚生」「人間関係」に対して従業員が満足することによって患者の幸せに目がいき、そのことによって組織内の調和や患者サービス、アイデア提案、自主性などに繋がることによって患者とのエンゲージメントが高まり経営的にも上手くいく様になること。
ただ、「患者満足度」と「従業員満足度」の両方を歯科医療の現場に当てはめて考えてみましたが、両方ともどうもしっくりこないのです。
まず患者満足度ですが、医療においてラポールを形成するには患者と歯科医療従事者が対等の立場において「治療」「管理」という手段を提供し、「健康」という共通目標の達成を目指します。しかし、一般的に言われる患者満足度を目指す時点で対等の立場ではないし、医院の目的が「経営的成果」だけでなく「患者の健康」であるならば一時的な患者の感情的満足だけでは目標を達成できないと思うのです。
患者と対等の立場に立ち、「健康」という共通目標を達成する過程において患者に生じる「不安」「イライラ」「経済的困難」に対しては、ソーシャルワークやカウンセリング、コンサルティングの技術を駆使して寄り添っていく。
そのことによって患者は10年後、先生の医院に通い続けてきて良かったと感じるのだと思うのです。
患者に必要なのは自分の健康と正面から向き合う「覚悟」であり、医療機関が一時的に患者を満足させたとしても患者の未来の健康が守られなければ本末転倒になるのです。
「患者満足」を短期的な動機づけ(外発的動機づけ)として使うのは有効ですが、「生涯、健康であり続ける」という長期的な動機(内発的動機)を患者自身が育て維持していく事に寄り添っていくことが本当の「患者満足」だと思うのです。
次に従業員満足ですが、組織は理念(ミッション、ビジョン、バリュー)を達成する為に社会的に存在しており、そこで働く従業員はその目的を共有し自分が身につけたスキルと経験値によって組織の目標達成において成果を出すことによって賃金を得る存在です。
組織の目的を達成する事業に参加することによって自分も他者貢献による満足を得ることができ、その目標達成の為に自ら人間関係を構築し、自分が成果を出すことによって賃金を上げていくことが本来あるべき姿勢だと思うのです。
だから従業員とも歯科医療従事者として対等な立場で接し段階的に保護される存在から抜け出すことを求めていかなければ、歯科医療におけるプロフェッショナルには育たないのです。
いま社会で一般的に理解されている「患者満足度」も「従業員満足度」も対象への一方的なサービスの提供を表しており、対等な立場には立っていない。
だからそれを追求し続けても医療機関としての使命が達成できるとは思えない。
過度のサービスは相手に「自分が上の存在」だと勘違いさせ、「依存」はされても「自立」には導けません。
それであっても、「患者が満足して経営的に安定する」「従業員が満足して退職者が減る」ことで満足と言われる方にはこれ以上お伝えすることはないですが、何かが違う気がするのです。
スタッフも患者も誰かに保護を求めるだけでなくどこかで「自立⇒自走」しなければ人生は切り拓けない。
そして、患者とスタッフを覚悟⇒自覚⇒自立⇒自走に導くことによって医療機関として院長としてのミッションが達成できるのだと思うのです。
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テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00