歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科医院の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)は限られます。
だからそれらの経営資源をどこに投下するべきなのかを決めることが院長の重要な仕事なのです。
経営の面だけで見れば、一日のうち歯科医師や衛生士がユニットで患者を診ている時間の割合が多ければ売上に繋がり、時間当りで上げる点数を意識して増やせば生産性が向上します。
しかし、そこは医療なのでインフォームドコンセント等に必要な時間や質の高い治療を提供する為の間接作業時間は省くことが出来ないのです。
経営の原則原理から考えれば、提供するサービスの質が向上すれば患者からいただく対価は上げていくことが必要です。しかし、保険医療ではそれが出来ませんので医院の利益は圧縮されるのです。
”保険医療であっても良質の歯科医療を提供したい”
多くの院長が考えておられることを実現するには、保険医療でも自費治療でも投下した資源に対するリターンを考えることが必要になるのです。
例えば”訪問歯科”
国が在宅医療を推進し”か強診”の基準に訪問歯科の基準が設けられているからといって中途半端に訪問歯科に取組んでも、それは少ない経営資源を分散させる効果しか生みません。
ご存じの様に訪問歯科は「訪問歯科を始めました」と案内するだけでは増えません。だから、手間と時間とお金をかける必要があるのです。
院長は貴重な経営資源を訪問歯科に投下するかどうかを判断することが必要です。他にも中途半端になっていて生産性の低い医療サービスから撤退して、患者が喜び費用対効果の高い医療サービスへ再投下する判断も院長には必要なのです。
他にも口腔内スキャナーやレーザー、CAD/CAMプリンターなど、月に数件しかない需要の為に導入している院長がいますが、経営の体力がない場合には「導入しない」という決断も必要なのです。
経営資源のマネジメントで失敗する院長の共通点は「資源投下によって発生する売上しかみていない」ことです。その前に導入した高額機器がキャッシュフローにどれだけの悪影響を与えるのかを全く考えていないのです。
経営資源を投資効果が低い医療サービスに分散させていませんか?
何を優先して強化するのかが明確になっていますでしょうか。
保険医療の収益性の悪化をカバーするには、保険医療も自費治療も資源の投下の優先順位を決めることが大切です。
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00