中心部には「自費強化型」が集まってくる
地方の大都市の周辺にあり人口30万人を超える地方の中核都市の中心部には、大都市と同様に自費治療に強みを持つ「自費強化型歯科医院」が集まってくる傾向があります。この環境で問われるのは、特定の自費治療ニーズのシェアをどれだけ取れるかという、強者の戦略です。競合がひしめく中心部で戦うには、明確な専門性とブランドとしての差別化が不可欠になります。
「10万円のメロンが売れる地域はどこか」・・・答えは東京の銀座です。同じ商品でも、都市ブランドが強い地域ほど高い価値として受け入れられます。歯科医療も同様で、都市ブランドの恩恵は中心部に近いほど多く受けられます。だから中心部から離れた場所で開業する医院は、この立地的な不利を前提に戦略を練る必要があります。
そして、新地域医療構想の病院機能の再編において一番影響を受けるのも急性期病院が多い都市部です。病院の医療機能が変更されていく分、連携する歯科医院も影響を受けるのです。また、医師・歯科医師過剰地域では緩やかに自由開業制への規制が強化されていくと私は考えています。中核都市の中心部に近い場所で開業されている場合には保険の患者も確保していけるでしょう。そして中心部から離れるほどコンパクトシティ構想も影響して病院や商業地も少なくなり人口減少も加速しやすくなっていくのです。今後の医療圏設定では地方行政の縦割りを排除していく様ですので、更にこの傾向は強まると私は見ています。
周辺部の医院は「わざわざ通いたくなる理由」をつくる
中心部から離れた立地でも、ブランド力と広告戦略次第で自費ニーズを掴むことは可能です。しかし都市ブランドの恩恵を受けにくい分、「わざわざ通いたくなる理由」を意図的に設計することが必要になります。院長やドクターチームの治療技術の症例実績や専門医・認定医資格、医療設備の充実度、歯科の標榜がある大きな病院や歯科大病院との連携実績など、「品質」と「総合力」は治療を受ける患者に安心感を与え、選択肢の上位に入ることに繋がるのです。
他にも、駅前立地でない医院であれば、車での来院を前提とした環境整備が重要です。駐車場の台数を多めに確保する、待合室やキッズスペースを広く取る、地域によっては送迎サービスを提供する。こうした工夫は、利便性の劣勢を体験価値で補う手段になります。中心部より通いにくくても、その不便さを上回る価値を感じてもらえるかどうかが勝負の分かれ目です。
「治療コンテンツの選択」は地域環境で決まる
どのような治療コンテンツを強化すべきかは、開業している地域の環境によって異なります。中心部の競合状況、周辺住民の所得層や年齢構成、地域に既に存在する専門性の空白—これらを踏まえた上で、自院がどの領域でシェアを取りにいくかを決める必要があります。
地方の中核都市は、しばらくは周辺の過疎地域から人口が流入してくる時期が続くと考えられます(一方で進学や就職のタイミングで若者が東京や大都市に流出)。この人口の動きも踏まえながら、中長期的な治療コンテンツの方向性を判断することが重要です。
自院の立地を正確に評価する
先生の医院は、地方の中核都市の中心部にありますか、それとも周辺部にありますか。中心部であれば、競合の中でどう差別化するかが課題になります。周辺部であれば、「わざわざ通いたくなる理由」を何で作るかが課題になります。 立地の有利・不利は変えられませんが、その立地に合わせた戦略の精度は院長の判断で変えられます。次回は、横浜・名古屋・大阪・福岡といった大都市部で開業する院長がとるべき経営対策を論じます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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