中心部から離れるほど、医療提供体制は変わっていく
今回は「過疎地域」について書きます。
過疎地域では、地域の中心部から離れた場所ほどプライマリケアの維持が難しくなっていきます。人口20万人規模の中心部(市街化地域)に中核機能病院や商業地、各種インフラが集約されていく流れの中で、中心部から離れた地域で開業されている保険医の院長がリタイアすると、その後はオンライン診療、巡回診療所、巡回診療車といった形でカバーされていく可能性が高いと考えられます。
重要なのは、過疎地の隅々に今までの様な医療圏が再構築されることは無いという事実を受け止めて戦略を立てることです。医師・歯科医師数も減少していきますし、これから医科大の定員も2040年サイズを基準に減らされていく。巡回診療車に乗っているのは医師ではなく更なる研鑽を積んだ診療看護師。オンラインで繋がりながら医師と連携し必要があると判断すれば病院に来てもらう。そんな過疎地医療はもう始まっているのです。
また、そうした地域ではすでに10年以上、新規開業がないことが多い。一般的な歯科医療需要は減少していき先生の医院の保険診療圏も縮小していきますので、経営対策を実行しなければジリ貧を避けられないのです。
では次にどんな対策があるのかを見てみましょう。
四つの選択肢—どれが正解かは地域と状況次第
過疎地域で開業する院長が取り得る選択肢は、大きく四つあります。「移転」「地域連携強化と訪問診療による診療圏拡大」「自費ブランド強化による診療圏拡大」「そして院長の年齢によっては戦略的縮小」です。
移転は、それまで投資してきた資金の未回収分に、新たな医院を開設する資金が上乗せされる決断です。地域での認知も再構築が必要になるため、収益面で明確な勝算がある場合にのみ選択肢に入ります。地域連携の強化による訪問診療圏の拡大や、自費診療の強化による診療圏拡大も、いずれも連携力と経営力がある院長でなければ成立しにくい選択肢です。
院長が55歳以上で、リタイア後の資金がすでに準備できているなら、戦略的に医院の規模を縮小しながら収益性を高めていくという選択肢も現実的な判断になります。どの選択肢が正解かは、院長の年齢、地域への思い入れ、経営資源、院長の経営力、そして地域の状況によって大きく変わります。そして院長の覚悟と行動なければ改革プランは絵に描いた餅で、終わるのです。
小さなマーケットでは「シェア」の発想が重要になる
過疎地域は人材採用力も低いため、拡大戦略を取れる地域と取れない地域があります(過疎地でも距離的に近い場所に大きな都市があるのかは重要)。マーケット規模そのものが小さい以上、そのマーケットの中で圧倒的なシェアを取れる需要は何かを見極めることが重要です。それが高齢者なら高齢者需要のどこにフォーカスするかという視点です(ただし、高齢者需要が減少を続ける地域では厳しい)。
小さな市場で全方位的に対応しようとするより、その地域の高齢者が本当に必要としている医療サービスに経営資源を集中させる方が、限られた需要の中で確実に選ばれる医院になれます。
承継は「地域ぐるみ」で考える時代へ
過疎地域における最大の課題の一つが、医院を引き継ぎたいという後継者が現れるかどうかです。単独の医院として承継先を探すことが難しい地域で地域行政や多職種との連携が密な院長であれば、地域全体が協力して次世代の歯科医療を確保する動きにつながっていく可能性があります。ただ、一般的には医院継承はかなり厳しいのが現実です。
さて、先生の医院がある地域は、経営対策の四つの選択肢のうちどれが現実的でしょうか。また、地域との連携は、将来の承継に向けた土台になっていますか。次回は、地方都市部で開業する院長がとるべき経営対策を論じます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
![]() |
|
![]() |
|
![]() |

















