「2040年の話」をしても、院長には響かないが・・・
人口減少と少子高齢化については、多くの院長が漠然と理解しています。しかし2028年度までに各都道府県が策定する「新たな地域医療構想」によって、開業している地域の医療提供体制がどう変えられていくのかを具体的に知っている院長は一部にとどまります。そして2040年という遠い未来の話をしても、日々の診療に追われる院長には響かないことも私は知っているのです。しかし、2040年型医療提供体制がどうなるのかの大枠はすでに決まっており、そこに向けて地域医療構想策定や診療報酬改定が進められていく。だから保険医療機関の院長はその変化に対応できなければジリ貧に追い込まれることも事実なのです。だから、今回のシリーズでは3年後5年後までに歯科医院の院長が対応を考えておくべきことについて書いていきたいと思います。
それはいま、先生の医院ががどんな施設基準を取得し、実際に算定して治療と管理における成果を出せるようになっているかということです。国の医療政策は診療報酬体系に表れますので、診療報酬改定の対応力と医療機能の取得状況を見れば、未来を切り拓ける医院かジリ貧に追い込まれる医院かを私は見分けることが出来るのです。
「どこでも提供している治療」は評価されなくなる
新たな地域医療構想では、人口20万人規模を基準とした地域医療圏の設計が進められています。この構想が進むと、どこの歯科医院でも提供している治療と医療サービスは重視されなくなり、国が重視する治療と管理に対応できている医院が評価される構造が強まっていきます。
2028年を目途に病院の機能が5つに分類された後は、開業保険医のレベルでも、医療機能に対する規制が緩やかに強化されていく可能性があります。特に医師・歯科医師が過剰と指定されている地域では、地域医療圏が求める医療機能に対応しない医院に対して、将来的に何らかの制限がかかる可能性は十分に考えられる。だから地域の医療計画において必要とされる役割を果たせる医院を目指すことが、これからの歯科医院経営の前提条件になっていきます。
「地域」は行政区分では測れない
経営環境を考える上で重要な視点があります。地域医療圏は行政単位では無くなっていくということです。例えば東京と一言でいっても、中心部・下町・多摩地域・島しょ部では状況がまったく異なります。だから、地域に合わせて人口20万人規模の医療圏が設定される様になっていきます。これは全国どの地域にも当てはまる原則です。開業している地域の現在の経営環境と、今後の未来予測を合わせて考える必要があります。
この視点を踏まえて、次回以降のシリーズでは「過疎地域」「地方都市」「大都市部」「東京中心部」という4つの類型に分けて、それぞれの経営対策を論じていきます。ただし、これらの分類はあくまで大枠であり、同じ分類の中でも中心部から離れるほど過疎地域と同様の状況に近づいていくという構造がどの地域にも共通しています。
大切なのは開業されている地域の医療計画にいて、これから重視されていく役割を担うこと。どこの医院でもやっていることは「供給過剰」と判定され重視されませんので、地域のニーズが十分ある中で「空いている」ポジションを見つけられるかが問われるのです。
院長が今知っておくべきこと
国の医療政策の全体像を細かく把握する必要はありません。しかし、自院が開業している地域が将来どのような医療提供体制の中に位置づけられていくのか、そしてそこで求められる医療機能に自院が対応できているのかは、経営者として押さえておくべき前提です。
先生の医院は、地域の医療計画が求める役割にどれだけ対応できていますか。次回から、地域の類型ごとに経営対策を論じていきます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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