「緊張」が患者の本音を閉ざす
医療面接に慣れていないスタッフが患者と接すると、スタッフ自身が緊張します。その緊張は患者にも伝わり、結果として患者を緊張させてしまいます。緊張した患者からは、本音や本当の感情が出てきません。
だからこそ、医療面接を担当するスタッフは誰でもよいわけではありません。比較的コミュニケーションスキルが高いスタッフを選び、ロールプレイングなどを通じてアイスブレイクや医療面接の練習を積んでもらうことが、質の高いカウンセリングの前提条件になります。
医療面接の基本は「傾聴」と「質問」
医療面接のスキルと聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本はシンプルな傾聴と質問のスキルです。質問によって患者に話してもらい、その話を要約して返し、そこに共感の一言を加える。この三段階の型が土台になります。
たとえば患者が「歯が痛くて昨夜はあまり眠れなかったんです」と話したとします。そこで「歯の痛みで眠れなかったんですね。それはお辛いですね」と返す。この一言だけで、患者は「話を聴いてもらえている」という感覚を持ちます。要約は患者の言葉を正確に受け止めていることの証明になり、共感の一言はその感情に寄り添っていることを伝えます。
スキルは「一つずつ」練習する
傾聴と質問、要約、共感。これらのスキルを一度にすべて身につけようとすると、かえって現場で使えなくなります。一つずつ練習を重ね、実際のカウンセリングの場面で使えるようにしていくことが、着実な育成の方法です。ロールプレイングでは、実際に患者役とスタッフ役に分かれ、具体的な会話のやり取りを繰り返し練習します。「患者がこう言ったら、どう返すか」を型として体に染み込ませることで、緊張する場面でも自然に言葉が出るようになります。
基礎的なスキルを使える様になれば、動機づけ面接やナラティブアプローチなどのスキルを学び更に患者に寄り添える存在を目指す。顧客維持活動が重視されるリピート型経営において、患者の信頼を得ながら健康に導くためのこれらのスキルの習得は、必要不可欠になってきているのです。
教えるだけでは終わらない—「使っているか」の確認
ただ、スキルを教えただけでは、現場で実際に使わないスタッフも出てきます。育成のプロセスで重要なのは、学んだ後に、実際のカウンセリングの場でそのスキルが使われているかを確認することです。
幹部スタッフが実際のカウンセリングに同席する、あるいは録音や記録をもとに振り返りの機会を持つ。今の時代であればAIによる評価も良いかもしれません。こうした確認のプロセスがあって初めて、教えたスキルが現場に定着します。教えることと、定着させることは、別の取り組みとして設計する必要があります。
「患者が理解されている」という感覚は、こうして積み上げられる
患者が「自分を否定されることなく、そのまま受け入れられている」と感じる瞬間は、特別な技術ではなく、傾聴・質問・要約・共感という基本スキルの積み重ねから生まれます。だからそれらの基礎的スキルを身に着けること。そして、担当スタッフに「患者の不安に寄り添い解消してあげたい」という思いがあること。そして仕組みを構築したら、それを運用できるスタッフを、医院として意図的に育てていくことが、ホスピタリティの二層目を実現する道です。
先生の医院では、医療面接のスキルを教える機会と、実際に使われているか確認する機会の両方がありますか。次回は、この土台の上にさらに患者体験を高める「SHOW」の設計を論じます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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