「接遇は完璧なのに、患者が定着しない」という医院
スタッフの言葉遣いも丁寧で、笑顔も自然。接遇研修も定期的に実施している。それでも患者の継続来院率が伸びない・・・こうした医院が存在します。接客接遇スキルが身についていることは、医療人として当然の土台です。しかしそれだけでは、患者は医院に定着しません。
ホスピタリティには三層の構造があります。基礎的な接客接遇スキル、医療面接における各種スキル、そしてSHOW(患者体験を演出する企画)です。この三層が揃うことで患者は居心地の良さを感じ継続来院に繋がるのです。ただ、多くの医院は一層目で止まっています。だから先ずは二層目に進めるかどうかが、患者の定着とLTVを大きく左右します。
接遇マナーだけでは届かないもの
患者の多くは、医院を訪れる際に治療に関する不安を抱えています。痛みへの恐怖、治療費への懸念、自分の口腔状態がどうなっているのか分からない不安・・・。こうしたマイナス感情を抱えたまま診療室に入ってきます。基礎的な接客接遇は、この不安を和らげる第一歩にはなります。しかしそれだけでは、患者理解と寄り添いにはなりません。患者を「安心安全環境」に導くには、接遇マナーの先にある、医療面接という専門的なスキルが必要になります。
医療面接のスキルが「行動変容」を生む
医療面接には様々なアプローチがあります。ムントテラピー、ナラティブアプローチ、動機づけ面接など。そして患者の不安に対応する系統的脱感作法、TSD法、その他各種心理的な手法。これらの中から、患者一人ひとりに合ったアプローチを選び取ることが必要です。
これらのスキルに共通する本質は、患者が「自分を否定されることなく、そのまま受け入れられている」と感じられる関わりをつくることです。この感覚が患者の中に生まれたとき、初めて「視点変換」と「行動変容」への道が開かれます。「治療を受けなさい」と言われて動く患者は少数ですが、「自分の状態や不安感情を理解してもらえた」と感じた患者は、自ら治療に向き合い始めます。
数値に現れる、二つの医院の決定的な差
接客接遇スキルにとどまっている医院と、医療面接のスキルを身につけ患者自身が治療と管理を受け入れるようファシリテートできる医院とでは、患者が持つ健康維持への内発的動機がまったく異なります。前者では患者は「必要だと言われたからやる」状態にとどまり、後者では治療が「自分ごと」になります。
この違いは、感覚論では終わりません。治療計画完了率、SPT移行率、1年後継続来院率、紹介患者数、患者単価・・・。これらの数値に明確に現れます。長期管理型歯科医院にどれだけ近づけているかという経営の根幹の数値が、接遇の先にある医療面接スキルの有無によって左右されるのです。
接客接遇の先へ進む決断
先生の医院のスタッフは、接客接遇スキルの先にある医療面接のスキルを身につける機会を持っていますか。「感じの良い医院」で終わるのか、「患者の行動変容を支える医院」になれるのかは、この一段の違いで決まります。次回は、この医療面接スキルという土台の上に、さらに患者体験を高める「SHOW」という要素をどう設計するかを論じます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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