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中規模歯科医院の事業展開の正解を見つける【第3回】三つの選択肢をどう判断するか—規模拡大・ブランド強化・縮小強化  [2026年08月26日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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選択肢は三つ。しかし「正解」は医院によって違う

前回まで、中規模歯科医院が陥りやすい間違った対策について論じてきました。では正しい方向はどこにあるのか。中規模医院の院長が取り得る選択肢は、大きく三つに絞られます。更なる規模の拡大、特定分野のブランド力強化、そして収益性を高めながら段階的に縮小強化していく道です。

この三つのどれが正解かは、医院によって異なります。他院の成功事例を見て「自分もこの方向で」と決めることが、前回述べた間違いの入口になります。正解を見つけるには、三つの判断軸を自院に当てはめることが必要です。

判断軸① 経営環境—地域は「攻める」ことが可能な環境か

最初に確認すべきは、開業している地域の経営環境です。人口動態、需要構造、競合の状況、採用環境・・・。これらが事業展開の可能性を規定します。

高齢者人口でさえも減少期に入っている地域では、経営力が高い院長であっても選べる選択肢は限られます。規模拡大を選んでも、担う患者数が地域の需要を超えれば投資は回収できません。一方、都市部や人口が増加している地域では、攻める余地が大きい。地域の経営環境が「攻める環境か」「守る環境か」を正確に見ることが、判断の出発点です。

判断軸② 経営資源—「攻める」ための弾はあるか

経営環境が良好であっても、経営資源が不足していれば成果は出せません。資金力、人材の質と量、組織の成熟度、治療コンテンツのブランド力。これらを見て「攻められる状態か」を決めます。

中規模医院でよく見られる状態は、環境は悪くないが経営資源が足りないというものです。ユニットを増設したくても担う歯科衛生士がいない、新しい診療コンテンツに参入したくても、それを担う人材がいない。そして教育の仕組みが未整備なら成果を出せる人材が育っておらず、多角化にも制限がかかるのです。だから経営資源の棚卸しをせずに方向性だけ決めると、動き出した後に必ず壁にぶつかります。また、前回のブログで書いた「投資期」と「回収期」が機能しているのかも重要です。正しい投資判断が出来なければ次に攻めるための資金が蓄えられない。医院拡大において「投資期」には一時的に経営が苦しくなりがちですので、そこをしっかりとカバーする資金のダムを築ける院長であるのかが問われるのです。

判断軸③ 院長の器—どこまでのステージを目指せるか

三つの判断軸の中で、最も正直に向き合うことが難しいのがこれです。院長の経営力、すなわち「器」によって、たどり着けるステージが変わります。

組織をまとめる力、経営判断の大胆さと撤退判断の速さ、情報収集力、外部ブレインの構築力、経営環境変化への適応力、医院ブランド構築力、マーケティング脳のレベル、人材を育てる姿勢。これらが高い院長は、経営環境と経営資源が整えば規模拡大やブランド強化という大きな選択肢を取ることができます。しかし器がそこに届いていない段階で拡大路線を選ぶと、組織は混乱し、投資は空回りします。

院長の器で実現できる経営スタイルを選ぶことが、現実的かつ持続可能な事業展開の正解です。これは院長を制限する話ではありません。器は成長します。今の器で取り組める選択肢を選びながら、経営力を高めていく。その積み重ねが、次のステージへの道を開きます。

三つの掛け合わせで、選択肢を絞る

経営環境・経営資源・院長の器。この三つを掛け合わせることで、自院に合った選択肢が見えてきます。

三つがすべて高水準であれば、規模拡大が有力な選択肢になります。経営環境は良いが経営資源と器がまだ不足しているなら、特定分野のブランド強化に経営資源を集中させることが現実的です。経営環境が厳しく、経営資源と器にも限界があるなら、収益性を高めながら段階的に縮小強化していく道が、医院を守る正解になります。

すべての医院に共通して言えることは、前年と同じことをしていても経営コストは毎年増えていくということです。だから、売上と収益性が前年と同じなら利益は確実に圧縮される。そういう意味では拡大路線をとれる医院よりも中規模に留まる医院の方が難易度の高い経営判断を求められるのです。

先生の医院は、この三つの軸でどう見えますか。次回は、自院の選択肢を決めた後に「強い柱を一本つくる」ための具体的な進め方を論じます。

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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