新人スタッフを採用した際、多くの院長先生が願うのは「短期間で即戦力になってほしい」「辞めないで欲しい」ということではないでしょうか。
実際、業務を徹底的に標準化し、マニュアルと教育カリキュラムを整備すれば、マニュアル通りに動けるスタッフを短期間で育てることは可能です。
行動経済学や心理学のテクニックを使えば、スタッフを外発的に動機づけ、機嫌よく働いてもらうこともできるでしょう。
実際に、一般企業では短期間で標準化レベルに引き上げるということが行われており、標準化レベルの教育システムの構築はそんなに難しいものではないのです。
①標準化オペレーション品質を明確にし、教育カリキュラムとマニュアルを準備
②育成担当スタッフへの教育を重視(正しい教え方を学ぶ)
③中間GOALを設定し教育ステップに応じた教育時間を確保
この3つのアプローチさえ実行出来れば、殆どのスタッフは標準化レベルをクリアしてくれるのです。
しかし新人が入ってきた時に院長が先輩スタッフに「教育をよろしく」と丸投げする医院では組織が成長できない。
しっかりと教育カリキュラムとマニュアルを作成し、OJTとOFFJTを実践できる時間を確保することが必要です。
先輩スタッフも「カリキュラムとマニュアル無し」「じっくり教える時間無し」で教えろと言われても困ってしまうのです。
結局、先輩スタッフは自分が教わってきたことの範囲で新人を教育することになります。
教育カリキュラムとマニュアルも整備し、OJTとOFFJTを実践できる時間も確保した。
しかし、多くの院長先生が直面するのは、その標準化レベルで多くのスタッフの成長が止まってしまうという壁です(自律型スタッフを除く)。
マニュアル通りに動くスタッフで満足できますか
標準化は、医院のオペレーションレベルを一定に保つために欠かせない土台です。
しかし、院長先生がスタッフの動きを見て「もっと自分で考えて動いてほしい」と不満を感じているなら、それは組織が標準化の段階で停滞している証拠です。
テクニックで動かせるのは、あくまで表面的な行動までです。スタッフが本当に自律的に動き出すためには、スタッフ自身の体験、つまり失敗と成功の積み重ねが必要不可欠。
人間は、自らの体験を通じてしか自己効力感を高めることはできません(集団的効力感を含む)。成功体験によって内発的な動機が形成されて初めて、人はマニュアルを超えた動きをし始めるのです。
また、このステップではアクティブラーニングなどの要素も取り入れる必要があります。診療の現場ではマニュアルでは処理できない出来事が日常的に発生するからです。
1年という期間は育成の通過点に過ぎない
今回のテーマである「1年で戦力に変える」という目標は、標準型レベルをゴールとするならば達成可能です。しかし、真の意味で自律して医院を支える人材を育てるには、もっと長いスパンでの視点が必要です。
個々のスタッフの育成は、3年後、5年後の未来から逆算して設計されるべきもの。
だから長期的な育成視点を持つ院長先生ほど、必殺の教育テクニックには反応しない。なぜなら、スタッフ個々の特性に合わせた継続的な関わりこそが、成長の本質であることを知っているからです。
標準化から自律型組織へ転換するための鍵
では、標準化された組織をどうやって自律型に変えていくのか。そのステップを理解できずに悩んでいる院長先生は少なくありません。
最も大切なのは、スタッフ本人の同意に基づいた継続的な育成アプローチです。
本人の適性やキャリアビジョンを無視して、一律の教育を押し付けても、内発的な動機は生まれません。一人ひとりの特性を見極め、それぞれの成長スピードに合わせた課題を与え、小さな成功体験を積ませていく。
その過程で、徐々に権限を委譲していくことが、自律型組織への唯一の近道なのです。
権限委譲が内発的動機を呼び起こす
スタッフが「自分で決めた」と感じられる範囲を少しずつ広げていくこと。それが、スタッフの当事者意識を育てます。
院長が全ての正解を出すのではなく、失敗を許容できる範囲でスタッフに判断を任せてみる。その経験こそが、スタッフにとって最高の教育になります。
1年で形を整え、5年で中身を熟成させ、10年で自走する組織を作る。この時間軸を共有できている院長のもとでは、スタッフは安心して成長の階段を登ることができます。
目先のテクニックに惑わされることなく、スタッフ一人ひとりの人生に寄り添うような長期的な育成設計を描いてみませんか。
その地道な取り組みの先にこそ、院長先生が心から信頼して多くの役割を任せられる自律型組織が待っています。
先生が自律型組織づくりにチャレンジしたいとお考えなら、個別の経営相談(有料)にお申込みくださいね。
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