院長先生にとって、採用はもっとも頭の痛いことの一つではないでしょうか。
面接ではすごく感じが良くて、やる気も満点に見えたのに、いざ採用してみたら指示待ち人間だった。あるいは、すぐに周囲と衝突して辞めてしまったなど。そんな経験を一度もしたことがない院長は、おそらく一人もいないでしょう。
面接という短い時間で、相手の本当の能力、特に自ら考えて動く自律型スタッフかどうかを見抜くには、少しだけ心理学の知見を借りたテクニックが必要です。
心理学と行動経済学を応用した見抜く技術
相手は面接のために準備をしてきます。つまり、化けの皮を被ってやってくるのです。その皮を剥がし、素の姿を見るためのアプローチをご紹介します。
まずは、面接が始まる前のアイスブレイクに、行動経済学のプライミング効果を活用します。
いきなり質問攻めにするのではなく、当院が大切にしている価値観や、スタッフが自立して楽しそうに働いているエピソードを雑談の中に散りばめます。これにより、相手の脳に自律というキーワードを先行刺激として与え、その後の質問に対して本音が引き出しやすい状態を作ります。
過去の行動を深掘りするSTAR技法
自律型かどうかを見抜くために最も有効なのが、STAR技法です。
Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字をとったもので、もしもの話ではなく、過去に実際にどう動いたかを聞く手法です。
自律型スタッフを一瞬で見抜くための5つの質問を挙げます。
1.前の職場で、誰にも指示されずに自分自身で決めて始めたことはありますか。
2.仕事で大きな失敗をした際、それをどのようにリカバーし、何を学びましたか。
3.なぜ、その時に他の選択肢ではなく、その行動を選んだのですか。
4.医院の仕組みを改善するために、院長や先輩に提案したことはありますか。
5.今、ご自身で課題だと感じて取り組んでいる勉強や習慣はありますか。
相手の本音を引き出す沈黙のコントロール
これらの質問を投げた後、重要になるのが沈黙のコントロールという技術です。
相手が答えに詰まったとき、つい助け舟を出したくなるのが院長の優しさですが、そこはグッと堪えてください。心理学的に、沈黙の時間は相手が自分の中の深い部分を探っている時間です。
沈黙の後にポロッと出た言葉こそが、用意された回答ではない、その人の本当の価値観です。そこで何を語るか。それが、自ら考えて動く素養があるかどうかの最大の判定基準になります。
優秀な種を蒔いても土壌が悪ければ枯れてしまう
さて、ここまでテクニックの話をしてきましたが、ここからが今日一番お伝えしたい本質の話です。
どれほど心理学を駆使して、一瞬で能力を見抜く魔法の質問を投げ、最高に優秀な自律型のスタッフを採用できたとしても、それだけで問題が解決するわけではありません。
せっかく優秀な人(種)を採っても、医院という環境(土壌)が悪ければ、そのスタッフは育たない(枯れてしまう)か、あるいはもっと良い土壌を求めて去っていきます。
自律型スタッフは、自ら考え、判断し、行動できる環境を求めます。もし院長が結局は自分の思い通りに動かしたいという支配的な空気を持っていたり、評価の基準が曖昧だったりすれば、彼らの自律性は失われてしまいます。
採用の成功は選ぶ基準より理念の浸透度に比例する
結局のところ、採用の成功確率は、選ぶテクニックよりも、医院の理念がどれだけ組織に浸透しているかに比例します。
理念という明確な北極星があるからこそ、スタッフは指示を待たずに自分で判断できるようになります。自律型スタッフを見抜く力も大切ですが、それ以上に、自律型スタッフがこの場所で働きたい、ここで貢献したいと思える組織文化を地道に創り上げることの方が、はるかに重要です。
テクニックで一時的に優秀な人を集めることはできても、土壌が悪ければ去ってしまう。院長と医院の器の大きさに合う人材しか定着しないのです。
長期的に成長し続ける組織を創るのは、院長の誠実な姿勢と、日々積み重ねるスタッフとの対話、成長の仕組みです。
まずは、院長自身の想いを言語化し、それを共有し続けること。その地道な取り組みこそが、最高の採用戦略なのです。
チームビルディングでお悩みならば個別の経営相談(有料)にお申込みくださいね。医院規模や医院の現状に合わせた解決方法をご提案させて頂きます。
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