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◆歯科医院経営ブログ

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ドラッカーが歯科医院院長に語りかけるとしたら、何を言うだろうか  [2026年04月01日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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 「缶の製造」か、「容器の製造」か
 

ピーター・ドラッカーは「マネジメントの父」と呼ばれる経営学者です。

20世紀に書かれた言葉でありながら、今なお世界中の経営者に読まれ続けている。

その理由は、ドラッカーが技術やトレンドではなく「人間と組織の本質」を語っているからだと私は思っています。

ドラッカーがコンサルタントとして企業を支援していたとき、こんな逸話が残っています。

「あなたの会社の事業は何ですか」と問うと、ある社長が「缶の製造です」と答えた。ドラッカーは静かにこう返したといいます。

「容器の製造ではないのですか」。その一言でコンサルティングはほぼ終わった、と。

缶を作っているのか、容器を提供しているのか。この違いは小さいようで、事業の方向性を根本から変えます。

「缶」に固執すれば、素材の変化や代替品の登場で事業は行き詰まる。

しかし「容器」を提供していると定義すれば、プラスチックでも袋でも、顧客の課題を解くあらゆる選択肢が視野に入ってくる。

では、歯科医院の院長である先生の事業は何でしょうか。

 

「われわれの事業は何か」この問いがトップの最大の責任

ドラッカーは著書『マネジメント』の中でこう述べています。

「我々の事業は何か」を問い続けることこそ、トップマネジメントの最も重要な責任と役割である。この問いの欠如が、企業衰退の最大の原因である。

院長として日々の診療をこなしながら、「自分の医院は何のために存在しているのか」を問い続けている院長は、どのくらいいるでしょうか。

「口腔内の問題を解決する医院です」と即答できるかもしれません。しかしドラッカーならこう問い返すでしょう。「それは先生が売りたいものですか。それとも患者が買いたいものですか」と。

歯科治療を必要とする患者が、本当に求めているもの、それは「むし歯や歯周病が治ること」ではなく、「おいしく食べられること」「人前で笑えること」「健康に長く生きること」ではないでしょうか。

治療はその手段であって、目的ではない。この視点の転換が、歯科医院経営の可能性を大きく広げます。

 

「顧客は誰か」この問いに、正直に向き合う

ドラッカーはさらにこう問います。

「顧客は誰か」との問いこそ、個々の企業の使命を定義するうえで、もっとも重要な問いである。

歯科医院の顧客は患者です。

しかしその患者は具体的に「誰」なのかを、明確に定義できている院長は意外と少ない。

今まで来院している患者は誰でしょうか。年代は、来院のきっかけは、どんな生活をしている人たちでしょうか。そして、先生の医院が本当に支えたいと思っている患者層は誰でしょうか。

特に中規模以上の医院では、この問いへの答えが「組織として何を大切にするか」に直結します。

スタッフ全員が「うちの患者さんはこういう人たちで、こういう価値を求めている」と共有できている医院と、それが曖昧なままの医院では、日常の患者対応の質に大きな差が出てきます。

先生の医院のスタッフは、「うちの患者さんとはどんな人か」「どんな価値を求めて来院しているのか」を共通認識として持っていますか?

 

「顧客が価値と感じるものは何か」患者は「治療」を買っていない

ドラッカーの言葉の中で、私が歯科医院経営に最も直結すると感じるのがこれです。

「企業が自ら生み出していると考えるものが、重要なのではない。顧客が買っていると考えるもの、価値が高いと考えるものが重要である。

それらのものが、事業が何であり、何を生み出すかを規定し、事業が成功するか否かを決定する。」(『現代の経営』)

院長は「治療の質」を提供していると考えているかもしれません。しかし患者が買っているのは「安心」「信頼」「自分の健康への投資」です。

この視点から見ると、歯科医院が提供すべき価値は「点の治療」ではなく「健康な生活の継続支援」になります。

つまり、患者と医院の関係は「病気になったら来る」という一過性のものではなく、「健康でいる限り一緒に歩む」という生涯にわたる関係として設計されるべきだということです。

これはまさに、私がお伝えしてきたトライアル型収益(新患獲得中心)からリピート型収益(長期管理・長期関係構築)への転換と、完全に重なります。

ドラッカーが数十年前に問い続けた「顧客が価値と感じるもの」を突き詰めると、歯科医院はリピート型に向かうのが自然な答えなのです。

 

「忙しい人は、やめても問題ないことを何故か続けている」

もう一つ、院長に届けたいドラッカーの言葉があります。

「忙しい人達が、やめても問題ないことをいかに多くしているかは驚くほどである。なすべきことは、自分自身、自らの組織、他の組織に何ら貢献しない仕事に対しては、ノーと言うことである。」

院長が忙しくなるほど医院が停滞するという構図は、以前の記事でもお伝えしました。

院長が本来集中すべきは、経営の方向性を定めること、スタッフが育つ環境を整えること、地域との関係を深めること。

つまり「院長にしかできない仕事」です。

ドラッカーはこれを「貢献しない仕事を手放すこと」と言い換えています。

組織化・権限委譲とは、まさにこのことです。院長が「やめても問題ない仕事」を特定し、それをスタッフに渡していく。

そこから初めて、院長は経営者として機能し始めます。

 

まとめ~問い続けることが、経営者の仕事

ドラッカーが残した問いを、歯科医院経営に当てはめると、こうなります。

「われわれの事業は何か」→ 治療を提供しているのか、患者の健康な生活を支えているのか。

「顧客は誰か」→ 自院が本当に支えたい患者層を、スタッフ全員で共有できているか。

「顧客が価値と感じるものは何か」→ 患者は「治療」ではなく「安心・信頼・健康の継続」を買っていないか。

これらの問いに向き合うことは、診療の忙しさの中では後回しになりがちです。

しかしドラッカーが言うように、この問いを持ち続けることこそがトップの最大の責任です。

先生の医院の「事業の定義」を、ぜひ一度ゆっくり考えてみてください。

そしてその問いを一緒に深めたいと感じた院長は、ぜひご相談いただければと思います。

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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