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◆歯科医院経営ブログ

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口腔機能管理はキャズムを超えられるか ~ 補綴治療モデルから継続管理モデルへ、経営の根幹を変える覚悟 ~  [2026年03月18日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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令和8年度の診療報酬改定の答申を読み解くと、国が歯科医療の役割を「形態の回復」から「機能の管理」へ、より鮮明にシフトさせようとしている意図が伝わってきます。

特に小児の口腔機能発達不全症や、中年~高齢者の口腔機能低下症に対する評価の拡充は、その象徴と言えるでしょう。

しかし、現場を預かる院長先生の本音は、期待よりも不安の方が大きいのではないでしょうか。

 

口腔機能管理の導入を阻む4つの高い壁

口腔機能管理の重要性は理解できても、いざ臨床に落とし込もうとすると、そこには4つの大きな壁が立ちはだかります。

1つ目は、歯科衛生士や診療スタッフ、管理栄養士の知識レベル向上の壁です。むし歯や歯周病といった細菌学的なアプローチとは異なり、機能学的な視点でのアプローチには専門的な学び直しが必要です。

2つ目は、コンサルの仕組み構築の壁です。患者さんは「痛み」がない中で、なぜ長期にわたる管理と機能の訓練が必要なのかを理解し、納得しなければなりません。

3つ目は、複雑なオペレーションへの落とし込みの壁です。日々の忙しい診療の中で、評価、検査、指導、再評価を誰がどのタイミングで行うのか、その設計は容易ではありません。

そして4つ目が、収益化の壁です。これら全てのコストをかけた上で、医院の経営として成り立つだけの生産性を確保できるのか。この難題に、多くの医院が足踏みをしています。

 

歯科界が直面するキャズムという断絶

マーケティング理論に「キャズム」という言葉があります。新しい製品やサービスが一部の熱心な層だけの支持を超えて、一般層に浸透する際に直面する深い溝のことです。

現在の口腔機能管理は、まさにこのキャズムの手前にいます。一部の先進的な医院が成果を上げているものの、患者さんの頭に「口腔機能を健全に発達させ維持しなければ」というニーズを持つ人は限られる。

だから、多くの医院ではまだ「手間がかかる割に報われないもの」という認識に留まっているかもしれません。

しかし、この溝を超え、口腔機能管理が歯科医療の主要な「プロダクト」として成長期に入るためには、多くの歯科医院が実践と啓蒙を積み重ねるしかありません。

患者さんが自ら動機づけられ、継続的に管理を受けるための仕組み。

それは単なる口腔機能についての説明ではなく、患者さんが生活の一部として機能トレーニングを組み込むための伴走者としての役割です。

 

令和8年度改定が突きつける経営者へのメッセージ

なぜ、国はこれほどまでに口腔機能の管理を重視しているのでしょうか。

それは、口腔機能の維持・向上が全身疾患の予防や健康寿命の延伸に直結(厚労省)し、結果として国全体の医療費抑制に繋がる(財務省)という確固たる戦略があるからです。

今回の令和8年度改定では、その評価が大幅に強化されました。特に注目すべきは、小児口腔機能管理料の体系が「190点)」と「250点)」の2段階へ再編された点です。

これまでは算定要件に届かなかった2項目の該当症例であっても、新たに「管理料2」として評価されるようになりました。対象範囲の実質的な拡大は、より広い層への早期介入を求める国からの強い要請です。

口腔機能低下症に関しても同様です。口腔機能の低下が起点となり嚥下機能障害、栄養不良や誤嚥性肺炎、サルコペニア、精神・心理的フレイル、社会的フレイル、要介護に繋がっていく。

だから国民のQOLを保つ為にも口腔機能の低下を防いでいく健康施策が必要なのです。

国は補綴中心の治療モデルから、患者と生涯にわたって向き合う継続管理モデルへの移行を、保険制度という形で強力に誘導しています。

今回の改定では国は「アメ」を使って対象を拡げてきました。口腔機能低下症の患者への管理と指導への取組みが特に進んでいなかったからです。

しかし、令和10年の改定に向け診療報酬算定の結果検証がおこなわれ、結果、口腔機能管理が思う様に進んでいなければ国は「ムチ」を使う可能性が高いのです。

 

仕組み作りこそが院長の最大の仕事である

スタッフの教育、仕組みの構築、収益モデルの確立。これらはどれも簡単ではありません。しかし、だからこそ今、取り組む価値があります。

口腔機能管理を「プラスアルファの仕事」と捉えるのではなく、医院の経営戦略の「中心」に据えること。

スタッフが誇りを持って口腔機能管理の必要性を患者さんに語り、患者さんが自分の未来のために楽しんでトレーニングに通う。

そんな光景を自院のスタンダードにするための設計図を描くのが、院長である先生の仕事です。

キャズムを超えるのは、個別のテクニックではありません。院長先生の「この道で行く」という強い決意と、それを支える泥臭いオペレーションの積み重ねです。

それによって臨床データが集まり、改善を重ねることで管理と指導の質が向上してエビデンスとなる。

今は多くの歯科医院が口腔機能管理に参加し、国民への啓蒙を進め、データを集めながら検証と改善を進めるステージなのです。

 

だから国から歯科医院に提案された新たな役割に是非ご参加いただき、患者の未来を救って頂きたいと願っています。

 

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