歯科医院を経営する中で「理念」と「行動」のズレを感じることはありませんか?日々の診療やスタッフ育成に追われ、理想を掲げながらも現場では理想通りに進まない。そのような時こそ、先人の言葉に立ち返ることで、自院の経営の軸を再確認できることがあります。
今回ご紹介するのは、世界的な企業・本田技研工業を創業した本田宗一郎氏の名言と、それを歯科医院経営に活かすヒントです。
「チャレンジして失敗することを恐れるよりも、何もしないことを恐れろ」
本田宗一郎氏の代表的な言葉の一つです。これは歯科医院にも当てはまります。患者数の減少、人材不足、保険制度改革…。厳しい環境にある今だからこそ、変化を恐れて現状維持にとどまるのではなく、小さくても新しい一歩を踏み出す勇気が求められています。
例えば、「自費治療の説明方法を視覚的に変えてみる」「1on1面談を月1回始める」「受付業務をデジタル化する」など、小さな改善がやがて大きな医院の進化につながります。
では、先生の医院のスタッフは自主的にこれらの小さなチャレンジを積み重ねているでしょうか?
いま、「うちのスタッフには積極性が足りない、物足りない」と思われた先生、そう貴方です。それはスタッフの問題ではなく先生のスタッフとの関わり方とアプローチ、評価に問題があるのです。
「成功は99%の失敗に支えられている」
新たな取り組みは必ずしもすぐに成果が出るわけではありません。しかし、失敗や停滞にこそ学びがあり、次の改善に活かせます。PDCAサイクルを根気強く回し、スタッフとともに改善する風土をつくることが医院の持続的成長には不可欠です。
院長自身が「失敗を許す姿勢」を見せることで、スタッフは挑戦に対する心理的安全性を感じ、主体的に動けるようになります。
院長は失敗しても責められないのにスタッフの失敗には厳しい、という院長が多い気がします(幹部スタッフも)。もちろん、医療なのでインシデントを減らす努力は必要なのですが、失敗を糧にできない医院はスタッフを萎縮させ能力を引き出せないのにと思うのです。
「人のまねをするな。人のやらないことをやれ」
周囲の歯科医院の成功事例を真似することも有効な手段ですが、最終的には「自院にしかできない価値」をどのように築くかが問われます。
地域の患者層、立地、スタッフの強みは医院ごとに異なります。患者やスタッフの声に耳を傾け、自院独自の強みを明確にし、それを打ち出していくことが競争の激しいエリアでも選ばれる歯科医院となる秘訣です。
例えばデンチャーの患者では、決められた時間内に何人の患者を診れるか(高速回転型)という発想では駄目です。
私なら以下の様な妄想をします。
しっかりと患者の口腔内を診断し、口腔内の状況をツールを使って分かり易く説明し、十分に調整とトレーニングをすることによって患者の満足度を高め、結果として治療単価を上げる。「患者満足度」と「医院収益」の両方を成立させる方が収益の安定性を保てるのです。
私ならデンチャーのカウンセリングを60分取りますし、専門のカウンセラーを育てます(もちろんドクターの治療技術も高めます)。体験型コミュニティも立ち上げ、訪問診療にも出かけ「一生噛める入れ歯」をコンセプトにし、患者の「健康に美味しく食べる」に寄り添い続けます。
その取組みに共感してくれる技工所(院内ラボも)にも参加してもらうことで、技工所にも十分な報酬を支払える様になり、WinWinな関係を築けるのです。
スタッフの創造性を活かすならスタッフにも自由な妄想ができる環境が必要。
そしてスタッフが患者の為に実行してみたいアイデアを話してきた時がチャンスです。くれぐれもスタッフのアイデアを「うちでは無理」「誰がやるの」と潰さない様にしてくださいね。
「評価するよりやってみよう」という医院文化が歯科医院の未来を切り拓くのです。
まとめ:先人の思考に学び、医院の未来を切り拓く
本田宗一郎氏の名言は、単なるビジネス哲学ではなく、現場で奮闘する歯科院長にとって実践的な経営のヒントとなります。
●変化を恐れず、新しい取り組みに挑戦する
●失敗を許容し、そこから学ぶ文化を育てる
●自院の強みを活かした独自価値を築く
先生の医院では、「挑戦する文化」は根付いていますか?スタッフが安心して提案し、改善を積み重ねる体制はできていますか?
歯科医院経営にこそ、本田宗一郎氏の精神を取り入れる価値があります。自院の未来に向けた一歩を、今日から踏み出してみませんか?
スタッフマネジメントでお困りの場合にはご相談ください。