歯科医院経営にとって「売上を伸ばす」ことは重要ですが、多くの院長が抱える悩みの一つに「スタッフのやる気を引き出すのが苦手」というものがあります。その背景には、院長の中で「患者のためになること」と「収益アップ」が別物として扱われているケースが少なくありません。
しかし実際には、患者にとって必要な、最善の医療提供ができる体制と診療品質を整えることが、結果的にはスタッフの動機づけとなり、継続的な自費率・収益アップにつながります。今回の記事では、売上だけを追いかけるのではなく、「スタッフが納得し、やる気を持って動く仕組み」を構築する方法を考えていきます。
Q1.「人件費率と生産性」はどう両立すればいいのか?
歯科医院の収益構造を健全に保つには、人件費率(給与・賞与の比率)と生産性(スタッフ1人あたり売上)のバランスが重要です。
例えば、治療コーディネーターが適切な治療説明スキルを身につけることで、患者の納得が深まり、自費治療の選択率が自然と上がります。「自費ありき」ではなく「医療として必要な提案」を中心に置いた体制こそが、スタッフのやる気と医院の収益を両立させる秘訣です。
Q2.心理的安全性+スキル評価制度で“伸びる職場”をつくる
スタッフが意欲的に動く職場には、以下の2つが不可欠です:
1.心理的安全性の担保
・小さな疑問でも相談しやすい雰囲気
・失敗を責めず、改善に向けたフォロー体制
2.目標達成のスキル評価制度
・「治療コーディネーター説明テスト」や「SPT品質評価」「規格性のある口腔内写真」などの具体的目標
・試験やフィードバックを通じて、“できた実感”を積み上げる
結果としてスタッフは、「やればできる」「認められる」を実感し、やる気が継続するサイクルが生まれます。
Q3.院長は「指示者」「伴走者」「刺激者」をどう使い分けるか?
院長が自分のリーダー役割を使い分けられるかも、スタッフのモチベーションに直結します。
役割 | 主な場面 | 行動例 |
---|---|---|
指示者 | 未経験業務の導入や緊急時 | 目的や手順を明示し、根拠と指示を伝える |
伴走者 | 育成中スタッフの支援や挑戦課題 | 一緒に考え、進捗をフォローする |
刺激者 | チームの成熟期や品質向上を狙う際 | 事例共有や成果発表で刺激し、視野を広げる |
これを意識して切り替えることで、スタッフは「任されている感」「成長している感覚」「院長に認められている安心感」を持ち、心地よく働くことができます。
そして組織が大きくなってくると、この役割は徐々に幹部へと移っていきます。
Q4.売上評価だけでは動かない。医療マインドを育む土台を
多くの院長は「売上アップ=評価制度+目標管理制度」に頼りがちですが、これではスタッフは“売上のために働いている”と感じ、罪悪感やストレスにつながる可能性があります。
一方、「患者の健康を最優先に考え、スタッフが納得できる診療品質を追求できている」医院では、自費売上も自然と伸びていきます。やる気のあるスタッフは、真摯な医療姿勢を土台に、自ら動くようになるのです。
チームマネジメントで“やる気×収益”のサイクルをつくる
これらの問いがあることで、組織は「感覚」ではない、本当の強みを育てるチームに変わります。
歯科医療として正しいことをすれば収益面でも成立する組織にしたい
しかし、どうすれば良いのかが分からずスタッフに売上の話をしてやる気を下げてしまっている。または、売上アップで悩んでいるが患者の為にと頑張るスタッフに言えない・・・。そうお悩みの院長はぜひご相談ください。