今日は歯科医院の成長に必要な「マーケティング視点(集患・認知・ブランディング))」。
1.オペレーション視点(業務効率化)
2.患者視点(サービス向上)
3.歯科医療としての視点(医療の質)
4.5S視点+安全視点(職場環境・感染対策)
5.マーケティング視点(集患・認知・ブランディング)
なぜ今、「ペルソナ設定と訴求軸の整理」が必要なのか
令和8年度の診療報酬改定では、「訪問診療・在宅・予防・ICT活用」「地域包括ケアにおける連携強化」に更に踏み込んでくると予想されます。
この流れは単に報酬体系の問題にとどまらず、患者との関係性の構築や、医院のブランディング戦略の再設計を迫るものです。
とくに都市近郊〜郊外に位置する中規模の歯科医院では、競合が激化する中で「誰に・何を・どう届けるのか」を明確にしなければ、医院の個性が埋もれてしまいます。ここで重要となるのが「ペルソナ設定」と「訴求軸の整理」です。
ペルソナとは、患者の“顔”を描くこと
「ペルソナ設定」とは、ターゲット患者像を具体的に描くことです。たとえば、「40代女性・近隣の介護職・歯科に恐怖心がある・予防には関心がある」といったように、年齢、職業、生活習慣、価値観まで具体化します。
郊外のある医院では、自費補綴の売上が伸び悩んでいたため、カウンセリング内容を再設計。ペルソナを「老後の口腔機能維持を重視する50~60歳の女性」と定め、初診時トークもその層に合わせた内容で丁寧な説明、パンフレットのデザインも文字を大きく図や写真を中心の内容に刷新したところ、補綴の自費率が2割向上しました。
先生の医院では、患者像をスタッフと共有し、サービス設計に反映していますか?
訴求軸は「価値をどう伝えるか」の戦略
ペルソナが明確になったら、次に行うのは訴求軸の整理です。これは「医院の強み」や「患者に届けたい価値」を言語化し、統一された形で伝える準備をすることです。
例えば:
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小児中心の医院:「子どもの成長とお母さんの悩みに寄り添うパートナー」
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高齢者中心の在宅対応型医院:「人生の最後まで口から食べる支援を私たちは届けたい」
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審美補綴が強みの医院:「機能と美しさを保ち続ける為の精密補綴」
重要なのは、「差別化」ではなく「共感」。
国が推進する「かかりつけ歯科医機能」や「地域包括ケア」との親和性を意識しながら、住民の日常や将来への不安に寄り添った言葉選びをすることが信頼につながります。
設計すべきは「サービス体験の一貫性」
マーケティングは、単に集患施策の話ではありません。「誰に、何を、どう届けるか」という戦略は、実際のサービス体験と一致していなければ、患者の期待を裏切ることになります。
ある医院では「予防に力を入れている」と打ち出しながらも、歯科衛生士の担当制が曖昧で、初診時の説明も属人的でした。その結果、リピート率は伸び悩んでいました。そこで、ペルソナに合わせて受付トーク、初診カウンセリング、定期管理スケジュールを統一的に設計し直したところ、半年で歯科衛生士枠のリピート率が27%改善しました。
このように、ペルソナと訴求軸をベースに「体験の設計」ができると、患者の納得感が高まり、価格(自費治療)や時間(定期来院)への心理的抵抗が減少します。
スタッフ巻き込み型のブランディングが鍵
最後に大切なのは、院長一人でマーケティング設計を行わないことです。むしろ、「現場で接しているスタッフが“誰に何を届けているか”を理解している状態」が、真のブランディングの基盤になります。
スタッフミーティングで「当院に来るべき人はどんな人か?」「どんな気持ちで帰ってもらいたいか?」と問いかけてみてください。その対話こそが、医院の方向性を内側から整える第一歩です。
チームメンバーのベクトルは一致している?
先生の医院では、「この地域の、どんな人に、どんな価値を提供する医院」であると、スタッフ全員が明確に説明できますか?