おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科医院経営では一般のお店と同様に規模とブランド力によって経営戦略が変わります。
だから先ず、歯科医院を開業されるドクターは将来的にどういう収益モデル、どれ位の規模で歯科医院を経営していくのかを考える必要があるのです。
とは言っても実際には開業資金が限られたり居抜きで拡張性がなかったりして、ユニット3台での戦略を考えざるを得ない院長も多いかもしれません。
では、ユニット3台で拡張性がない開業で院長はどんな戦略を取れば良いのでしょうか?
少し考えてみましょう。
先ず注目するべきは、
・借入金返済
・固定費
です。
銀行融資に使う事業計画しか作成していない場合には役に立ちませんので、現実を考慮した「①借入金返済」「②固定費支払い」のプランが必要なのです。
まず、この両者の違いは①が税引き後資金で返済し、②は売上から変動費を支払った残りの資金で支払うことです。
キャッシュフローで書くとややこしいので今回はストラック図的に書きますが、
・院長生活費+院長プライベートでのローン返済等
・事業での返済資金
・貯蓄
・減価償却費相当額(次期設備投資用)
を税金を支払った後で確保する必要がありますので、上記の資金がいくらになるのかを計算する必要があります。
そして、それらのお金を確保するのに必要な「税引き前利益」も分かっている必要がありますし、その利益を確保する為にどういう収益モデルと戦略でスタートする必要があるのかを考えなければいけないのです。
次に考える必要があるのはユニット3台分の医院スペースで可能な収益モデルです。
勤務ドクターが開業までに高められる治療技術には限界がありますが大きな方向として「自由診療」なのか「保険ベース」なのかを決める必要があります。
どちらを選ぶかで開業前にモデリングする歯科医院も医院設計、戦略も違いますので、経営者として決断していただかなければならないのです。
今回は「保険ベース」での戦略について考えてみたいと思います。
ユニット数が最大で3台と限られる場合には「ユニット外収益」と「治療単価」「固定費」がポイントになります。
「固定費」に焦点をあてる場合には「超効率化経営」が必要ですし、治療単価に焦点を当てるならば「自費売上」と「歯科衛生士枠の生産性」が重要になります。
そしてユニット外収益で考えるならば「訪問歯科」等において収益を増やす必要があるのです。
三つとも医院の経営資源や開業立地を考慮しながら取れる戦略を考える必要がありますし、戦略によって強化していく分野も変わるのです。
ユニット3台で保険ベースの院長が取る戦略は「弱者の戦略」ですので大きな歯科医院の真似はしてはいけませんし、とにかく「ニッチで空いている患者ニーズ」を探し続けてポジショニングを決定する必要がある。
その為に「やらないこと」「お金を使わない事」「集中して強化する1つの事」を決めることが大切です。
大学の同期が開業して導入した設備などを見ると欲しくなるお気持ちは分かりますが、ご自分が決定した戦略からブレないことが何よりも大切です。
「保険ベース」による経営の安定感はあるものの、今後は保険診療の経営環境は超大型歯科医院しか対応できない方向に動きますので、小規模歯科医院にとっては厳しい時代になっていく。そして、保険ベースでユニット台数が少ない歯科医院は人材採用で圧倒的に不利なのです。
そんな中で「税引き前利益を最大化する方法」を先生が所有される経営資源と開業地の経営環境、地域の歯科医療需要、競合の戦略等を考慮して決める必要がある。
同じユニット3台でも院長ごとに取るべき経営戦略は違う。
そう感じています。
Posted at 05:00