おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科医院の経営者は当たり前ですが院長でありほとんどの権限は経営者である院長にある。
そしてスタッフは雇用されている立場であり権限はないことが多い。
実際には権限を委譲したスタッフの判断を院長が覆す(二重権限)ことが日常的に起こる医院もあり、結局はスタッフが院長の判断を仰ぐ医院が多いのです。
この事が歯科医院経営における様々な局面や組織づくりにおいて影響します。
例えば創業理念である院長の理想は院長のものであってスタッフのものではなく、スタッフは自分の価値観から見て共感できないものを自分から進んでやろうとはしない。
そういう状況が続くと院長はリーダーとして自分が尊敬されていない、自分の考えに共感してもらっていないと感じ、自己肯定感を上げる為に経営者という立場を使ってスタッフを動かそうとするのです。
当然、院長の意向にそぐわない行動や考え方は注意されますので、スタッフは段々と怒られる可能性がある行動はしなくなり「指示されたことだけをやる」様になるのです。
もちろん、スタッフにも感情がありますので院長に対して様々な感情を抱きますし、患者や歯科医療に対する自分の理想の実現は諦めるようになっていく。
そんなスタッフが個人面談の時にいう言葉が「ここは院長の医院ですから・・・」です。
スタッフが、
「患者の為にこうしてあげる必要があるんだけどな・・・」「でも余計なことを言って院長に叱られるのは嫌だから言わないでおこう」
「院長の患者対応で患者が不満そうだったな・・・」「でも院長は患者の質が悪いって前も言っていたし言わないでおこう」
「スタッフのAさんが院長との関係で悩んで退職するかもしれない・・・」「でも、院長は考え方を変えないだろうし言わないでおこう」
と考え出すと危険信号なのですが、その危険信号は院長には届きません。
そして同時期に院長はスタッフに対して不満を抱いていることが多いのです。
権限は院長にあり、院長の価値観だけに基づいて医院の「正しい」「間違い」が決められていく医院では心理的安全性を確立することは出来ません。
でも院長が歯科医療、経営、人の扱い方、組織づくりのすべてにおいて100点の判断を出来る人であれば良いのですが、私も含めてそんな人は存在しませんので院長が間違った判断をしてスタッフがその事に気づいていても指摘されることはない。
「何でも忌憚なく意見を言ってね」という院長の言葉が罠であることをスタッフは過去の経験から学んでいるのです。
人は自分の理想を明確にしてその理想に向かう努力をして結果を出せる様になることで内発的モチベーションが高まる。
だから院長の理想だけでビジョンを描いてもスタッフの遣り甲斐は生まれませんし行動を続ける為のモチベーションも高まりません。
権限が院長に集中して指示によって動いていれば尚更なのです。
ただ、院長がスタッフに権限を渡す為にはスタッフをティーチングとコーティングによって鍛えあげ技術だけでなく人間性も高める必要があります。
成長度が低い人が権限をもつほど下の人にとって迷惑なことはなく、そういう組織では有能な人財は逃げ出してしまうからです。
スタッフを鍛え成長したら権限を渡すのですが、その時に院長の影響をどれだけ排除して自由にさせてあげるのかが大切なのです。
多くの医院では権限を渡せるまで鍛えるということをしていませんし、スタッフが成長してチーフに選んでも実際には権限を渡していない。
開業当初や医院が小さい間はトップダウンで進めるのが正解であっても、スタッフの人数が10人を超えて医院レベルが上がってくるとトップダウンの弊害が出始めます。
それでもスタッフを育ててこなかったのならトップダウンでスタッフを動かすしかないですし、すべてを自分で判断して責任を背負うしかなくなるのです。
組織づくりやスタッフマネジメントは「人間と言う生き物」を扱いますので理論通りにはいきません。
しかし、失敗を重ねながらも身につけてきた実学があってこそ先生の医院のメンバーを輝かせることは出来ますし、権限を委譲しながら院長の負担を減らすことに繋がるのです。
私が個性診断によって医院のスタッフひとり一人を理解しようとするのは理論や院長の価値観だけで人を扱っても上手くいかないことを知っているからです。
スタッフひとり一人を理解して輝かせようとするからチームが輝き医院全体が輝く。
そのことによって結果的に院長の理想も実現していくのに・・・院長は本当に不器用だなあと感じるのです。
先生は自分で自分を孤独な存在に追い込んでいませんか。
※歯科医療には真摯に取り組まれるが経営と人の扱いは苦手にされる院長が多い。だから私がサポートしていきたいと思っています。
もっと具体的に話しを聞きたい場合は有料の経営相談にお申込みください。
Posted at 05:00