おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
私が開業医団体に入局したのが39年前、その頃にはまだう蝕の患者が多かった気がします。
8020運動が始まったのが約30年前、それから「予防型歯科医院」が増えていったのです。
長年の取組みによって若年者のう蝕は驚くほど減っています。
これはう蝕治療はプロダクトライフサイクルにおいて、若年者は「成熟期⇒衰退期」と進んでいることを示しているのです。
もちろん、65歳以上ではう蝕はまだ増えています(地域差が大きい)。だから需要が無くなる訳ではない。
ただ、歯科医院はう蝕治療主体の歯科医院から定期管理型歯科医院に移行していく必要がありますし最終的に長期管理型歯科医院を目指す必要があります。
しかし、ここで大きな課題が立ちふさがるのです。
それは、患者のうちで「歯周病治療」や「定期管理」についての知識を持ち、必要性を感じている層が限られることです。
「学習の5段階レベル」から考えると、まだ「意識的無能」と「無意識的無能」の比率が高い気がします。
「無意識的有能」である患者は院内が綺麗で歯科衛生士が多い歯科医院を選ぶ傾向があります。美容院でも美意識が高い女性ほど有名なお店に行く傾向があるのと同じです。
う蝕治療では「痛み」「腫れ」「出血」「ダツリ」など、患者に自覚症状があり、問題解決への動機が患者側に存在した。
しかし、静かに進行して自覚症状が出にくい歯周病や、多くの患者にはまだ動機が存在しない定期管理患者は今までと同じアプローチでは駄目なのです。
収益モデルも「トライアル型(狩猟型)」から「リピート型(農耕型)」に移りますので院長の頭を切り替えなければならないのです。
う蝕治療に訪れた患者に歯周病の所見があれば、検査をして治療の必要性を患者に説明する。
この当たり前のことが仕組化できていない歯科医院が多い。
だからう蝕治療患者で歯周病に罹患している患者を動機づけて基本治療からSPTに移行させることが出来ないのです。
この初期のステップで止まっている歯科医院はだいたい、
・最初に歯周病検査をしない(動機づけない)
・予防が大切だから「定期検診」を受けましょうと言い、リコールハガキを出す
・「歯周病」という言葉より「予防」という言葉を使う
・患者負担は3000円程度に抑えている
・SPTを算定していない
・歯科衛生士に研修を受けさせていない
・カウンセリングとコンサルの仕組みが無いまたは弱い
・再評価をしない
等の特徴があります。
小規模歯科医院に止まると決断した院長であっても歯周病治療を治療の柱に据えなければならない医院は多いでしょうから、患者を動機づけてSPTに移行し患者が離脱せずに定期管理に通う仕組みは作る必要があるのです。
医院規模を拡大すると決めた院長は「患者が離脱しない仕組み」の構築と、歯科衛生士教育について時間を使う必要があります。
何故なら、上記にも書いた通り「健康観の高い患者」は上質な空間と健康と美容につながる医療サービスを望んでおり、常に他医院の品質と比べられるからです。
先日書きました様に、日本の中間層の所得は25年間で130万円/年も下がっています。
だから、定期管理で通える患者の割合は一定以上からは増えにくいのです。
健康観が高い患者が「この医院とても居心地が良い」「人気だしドクターやスタッフの対応も良い」「治療技術も高そうだし」と感じてもらう為に先生は何に取り組まれますか?
もっと具体的に話しを聞きたい場合は有料の経営相談にお申込みください。
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00