おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
中央最低賃金審議会が最低賃金引き上げの目安を31円としました。審議会では景気は緩やかに回復しているとし、連合加盟労働組合の春季賃上げ妥結額や有効求人倍率の推移等を見て判断された様です。
しかし、本当に苦しんでいるのはその下の小規模零細企業・・・。コロナ融資などがなければ倒産している企業は全体の10%程度あると言われていますので今後の国の政策次第では小規模企業の倒産が大幅に増えそうです。
さて、今日は歯科医院を開業してから3~5年の歯科医院です。
開業してからガムシャラに経営の安定を図ってきた。そして経営面が安定し出してきた時に院長が陥りやすい罠があります。
それは「次の目標が明確ではない」院長が多いことです。
ガムシャラに経営の安定を図ってきた場合には目標の達成がある程度見えてきた段階で院長に「もうこれ位で大丈夫かな?」という心理が働くのです。
ここが開業時から理想の医院像が明確な院長と明確になっていなかった院長との違いです。
理想の医院像が明確な院長はゴールはまだまだ遠いので経営の安定は通過点の一つなのですが、理想の医院像が不明確な場合には目標を見失いがちなのです。
だったら開業前に理念やビジョンを明確にしたらいいと思われるかもしれませんが、「概念的思考」は高度なスキルなので、院長が歯科医師として経営者として一定レベルまで到達していないと考えても出てこないのです。
ここで次の目標を見つけられずにいる院長が多いのです。
日本の歯科医院(個人)の平均売上は4600万円、法人で1億円程度です。
個人経営の歯科医院がどうして低い売上で止まっているのかについては保険売上5000万円以下の優遇税制も要因の一つと私は考えていますが、保険売上5000万円以下の歯科医院がどんな治療をしているのかを考えればこれから経営的には厳しくなっていくと思うのです。
もちろん、5000万円以下でも生き残る戦略はありますが、多くの院長は戦略なしでそこに止まっている。
だから次の目標を見つけられない院長は経営的なリスクが高いのです。
開業から経営が安定するまでが第一ステージ、そして私が「保険診療の壁」と呼んでいる売上5000万円を早期に突破し医療法人化を検討するまでが第二ステージです。
大きな歯科医院の院長はこの辺りのステージは意識しなくてもアッと言う間に通過されていますのでピンとこないと仰るのですが、なかなか5000万円を超えられない院長が多いのが日本の歯科界の課題なのです。
問題は国が医療機関や介護施設の大規模化を推進している中で多くの歯科医院が低い売上に止まっていること。
しかし戦略的に5000万円以下で効率経営をすることを選択された院長以外は5000万円以下に止まっていてはいけないのです。
この辺りに止まっている院長の共通点は「他の医院との差別化ポイント」がないこと。
つまり、定期管理の仕組みが作れておらず治療技術面でも際立ったものがない為に診療圏が狭く、保険の補綴の患者が多い為に収益性が低い。
近年の歯科診療報酬改定の傾向にありますように、既存の点数はあまり上がらず金属価格の高騰の影響を受ける状況では保険のう蝕治療中心の医院は苦戦していく。
租税特別措置法26条だっていつまで続くのか分からない時代に入っているのです。
保険診療の壁を突破できない院長に必要なのは、どんな経営資源を磨いて患者に選ばれる様になるのかということです。
歯科医院経営がわかっていない院長はここで誤ってアライナー矯正を始めそうですが、アライナー矯正は保険診療の壁を越えられない院長が扱いきれるコンテンツではありません。
だから早くにこのエリア(売上5000万円前後)を突破して医院のブランドを確立するステージに向かう必要があるのです。
医院ごと院長ごとに理想や所有する経営資源が違いますので具体的には書けませんが、このステージなら「密着軸」のマーケティング戦略が使えますので、医院を拡大していくノウハウがないのならば「患者への寄り添い方」を磨く方が良いと思うのです。
開業して1~3年の間に第二ステージを突破する為の準備を念入りに行う。
これからは開業初年度に1億円を突破する強い競合も増えてきますので若手の院長には十分な戦略を練っていただきたいと思います。
もっと具体的に話しを聞きたい場合は有料の経営相談にお申込みください。
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00