おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
世間でいうゴールデンウィークは私にとっては「経営環境変化（マクロとミクロ）」「日本経済・財政の現状と未来」「世界経済の動き」「国の政策」「人口動態」「労働市場の変化」「医療福祉の現状と未来」「プラットフォーマーの戦略」などについて調べられる大切な時間です。
歯科医院は日本社会のそれも国が制度設計した保険医療制度に足場を置いている場合が多い為、上記の影響を色濃く受けていくからです。
医療政策において言えることを一部ご紹介すると
・社会保障制度構造改革と財務省と保険者の圧力により、診療報酬の総額は今後、高齢化分の増額でさえ難しくなっていくこと
・歯科医療においても今後、医療供給体制の再構築が進み、対応できない歯科医院は受け取れる報酬が減っていくこと
・診療報酬改定は既存の点数を削って予算を確保し、国が求める役割を果たした医療機関に増点する時代に入ったこと
・診療報酬支払基金に2021年９月に２種類のＡＩシステムが導入され、支部間の審査基準の統一やコンピュータチェック比率の向上（導入２年後に９０％）が進んでいること。
・これから患者の保険料負担や一部負担金が重くなり、一定の受診抑制効果が働くこと
があります。
日本の保険医療は原則的には「社会保険方式」ですが、実態は多くの税金が投入されています。
そして、今後は高齢化によって徴収した保険料の不足分をカバーする税金が大幅に増加することが懸念されており、国は「持続可能な社会保障制度」への転換を目指しているのです。
実際にはこの改革は大きく遅れており、ＰＢ（プライマリバランス）の黒字化の先送りと同様に遅れると予測される。
しかし、遅れたとしても改革は少しづつ進んでいく・・・。
そして多くの保険医療機関の経営にマイナスの影響を与えていくのです。
問題は、多くの小規模零細医療機関が予測される改革に対応できておらず、少しづつ、しかし確実に経営的困窮に追い込まれていっていることです。
経営の体力がない歯科医院はこれからの歯科医院経営に求められる
・長期管理と連携への対応
・専門性向上と治療カバー率の向上
・勤務ドクターとスタッフの長期雇用と賃上げ
・歯科医療のデジタル化への対応
・収益構造の改革による収益性アップ
を実現することができずに、低い収益性とマンパワー不足によって経営的に困窮していく。
補綴需要の減少とデジタル化、マンパワー不足によって技工所の経営が厳しくなっていますが、経営的な対策を怠れば残念ながら歯科医院も同様の道をたどることになるのです。
基本的に小規模零細歯科医院は保険の金属を使ったう蝕治療が医院の治療全体に占める割合が高い。それにより収益性が低く変動費率が高くなる為、経営にとって不可欠な投資（人材も含む）ができていない。
そこに冒頭の経営環境変化による影響が加わってきますので、歯科技工所のように少しづつ追い込まれていくのです。
これからの５年で歯科医療のデジタル化がキャズムを超えれば、これらの歯科医院はジリ貧が加速する。
その後のシェアを埋めていくのが、今後増えていくであろう広域医療法人です（過疎地には進出しないので歯科医療の確保が困難に）。
歯科業界においてその圧倒的な経営規模は「投資」「採用」「多角化」「デジタル化」「集患」などにおいて圧倒的な優位なポジションを得ることができますので、歯科医院間の経営の二極化は更に進むことになる。
もちろん、いつも書くように開業されている地域と所有する経営資源によってこれから５年の変化による影響は変わるのです。
中規模歯科医院、大規模歯科医院は残念ながら過酷な競争に巻き込まれていきますので、収益性を高め、マンパワーの確保と育成に全力を尽くしながら急激な経営環境変化を乗り越えていってくださいね。
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Posted at 05:00
