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◆歯科医院経営ブログ

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患者目線で見る歯科医院の重箱の隅【第4回】患者の前でスタッフを叱る院長は、何を失っているのか  [2026年10月08日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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医院のなかにある深刻な「ギャップ」とは

ホームページを見ると患者に対して温かい医院に見えるのに、いざ通院してみると印象が大きくマイナスに変わる。そんな広告と実際とのギャップが大きい医院があります。患者の遅刻やキャンセルには厳しいのに、医院側の遅れには何の説明もない。「患者様を笑顔に」と謳っているのに受付もドクターも不愛想・・・等々。

そんな医院ではホームページを見て期待値が上がった分だけ、患者の印象は悪くなるのです。今回はそんな「ギャップ」について考えます。患者の信頼を壊す「ギャップ」にはいくつかの種類があります。その中でも最も深刻なのが、院長が患者の前でスタッフを叱る光景です。

ここで一つお尋ねします。先生は、患者の前でスタッフを叱ったことがありますか。

患者の前で叱ると、誰にとっても得がありません

院長が患者の前でスタッフを叱るという行為は、院長が自分の感情をコントロールできていないことを示しています。そして、誰にとっても利益がありません。

まず患者です。目の前で叱責の場面を見せられた患者は、不快で不安な気持ちになります。「自分の治療は大丈夫だろうか」「自分も同じように責められるのではないか」と感じても不思議ではありません。

次にスタッフです。感情的に叱られたスタッフは萎縮します。萎縮したスタッフは、患者への声かけや気づきが減り、ミスを報告できなくなります。そしてスタッフの行動の基準は「院長に怒られないこと」になっていく。つまり、院長が望む「患者に配慮できるスタッフ」とは正反対の状態を院長が生み出すのです。

そして患者です。患者は家に帰って医院であったシーンを家族に話します。「○○歯科の院長が、私の前でスタッフに怒っていたのよ」「なんか私も怒られている気分になって・・・」。このエピソードは家族から周りの人へ伝わる可能性があります。治療の質とは関係なく、医院の評判が傷つく。つまり、医院経営にとってもプラスにはなりません。

スタッフが定着しない医院は、レベルが上がらない

院長がスタッフを感情的に叱る医院には、もう一つの結果が待っています。スタッフが定着しないことです。叱責が日常になっている医院では、意欲のあるスタッフから去っていきます。残るのは、院長のやり方に慣れたベテランスタッフと、入ったばかりの新人スタッフという構成になりやすくなります。ライフイベントで中堅層が抜けやすい歯科医院において、それ以外の理由でスタッフの退職が続くのです。

中堅層が育たない組織では、医院全体のレベルを上げていくことが難しくなります。採用コストをかけて新人を迎えても、育ったころに辞めていく。院長の叱責が、採用と育成への投資を自ら無駄にしているのです。

ミスの修正は「行動の修正」であるべき

スタッフのミスを正すことは、院長や幹部スタッフの大切な役割です。しかしそれはあくまでも「行動の修正」であるべきです。何がどう違っていたのか、次はどうすればよいのかを、事実に基づき、理由を添えて伝える。それが修正です。

そこにマイナスの感情を乗せる、スタッフの人格を否定する、過去のミスまで持ち出す・・・。こうした叱り方は、修正ではなく人格攻撃です。スタッフの行動を変える力にならないばかりか、信頼関係を壊し、院長が自分で自分の首を絞めることにつながります。ミスを指摘するときは、患者のいない場所で、行動に焦点を当てて伝える。この一線を守ることが、院長に求められる最低限の姿勢です。

ちなみに「叱る」と「怒る」は違うと言う主張がありますが、スタッフが院長の関心を自分にひこうと、無意識的にダメダメ行動をした時の対処法などの例外を除きどちらも同じ。

「叱る」が成立するのは相手がそれを「愛情」であると受け取った場合だけなのです。

シリーズを振り返る—重箱の隅は、院長の姿勢の鏡

このシリーズでは、患者目線で歯科医院の「重箱の隅」を四つの角度から見てきました。第1回では、治療の説明責任を省くことが信頼を失わせること、第2回では、患者を「人」として見ない空気は院長の姿勢が生むこと、第3回では、清潔感の欠如が院長の姿勢とスタッフ教育を映す鏡であることを論じました。

そして第4回の今回、患者の前でスタッフを叱ることが、患者・スタッフ・経営のすべてに損失を生むことを述べました。これらはすべて、院長の姿勢という同じ根から生まれています。「初診から技工物セット」の間隔を短時間で回す昭和型経営の時代は終わり、いまは患者と長く向き合う長期管理の時代です。

スタッフはライフイベントを終えて復帰しキャリアを積み、患者は経験豊富なスタッフに伴走されて継続的に医院に通う。そうした院内環境を築いていくべきなのに実際の院内には旧式の慣習が多く残り、組織レベルではオレンジからレッドの間の医院も多いのです。

人材難が叫ばれ、大手企業は対策をどんどん進めるなかで歯科界はどう変化し魅力を発信していくのか?が問われている。そう感じます。

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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