患者は、清潔感の欠如をしっかり「見て」います
院内の床、棚、スリッパ、トイレ、窓枠、待合椅子、ユニット周りなどの汚れ。整理整頓されていない棚や器具。患者の視線に入り患者を不安にさせる器具の配置。よれたユニフォーム、伸びた爪、整っていない髪、不快な匂い(臭い)・・・。患者はこうした院内の清潔感の欠如などをしっかり見ています。そして多くの場合、医院メンバーには何も言わずに「この医院に治療を任せて大丈夫だろうか」という不安を抱え、次の来院を迷い始めます。
清潔感の欠如を、多くの院長は「掃除が行き届いていない」という問題として捉えます。しかし現場を見ていると、これは掃除の指示をすれば終わる問題ではないことがわかる。院内環境の整備状況と清潔感の維持は、院長の姿勢とスタッフへの教育レベルを、同時に映し出す鏡だからです。
歯科医院は「医療」を扱っている
歯科医院は、街の小売店とは違い、医療を扱う場です。医療事故やヒヤリハットを防ぎ、感染予防を徹底した上で、質の高い治療と管理をチームで提供していく責任があります。そのためには、弛まぬ学習と、事故や感染を起こさない仕組みの構築、そしてドクターとスタッフのレベルアップが欠かせません。
清潔、ルール順守、就業規定の順守、患者への配慮、仲間への配慮。これらの基礎的な姿勢は、院長の姿勢と、スタッフへの基礎教育のレベルがそのまま表れます。そして院長の姿勢と基礎教育のレベルは、スタッフの仕事への姿勢をつくり、その後の成長を左右する。つまり「妥協」は許されないし、妥協してしまうと将来的に組織は土台から崩れるのです。
清潔感を見れば、教育の質が見える
清潔感の乱れは、掃除以外の乱れと同じ根から生まれます。ルールが守られていない、仲間への配慮が薄い、患者への配慮が行き届かない・・・。こうした状態は、掃除の場面だけに現れるわけではありません。感染予防の質、タービンなどの器具の扱い、記録の正確さ、治療品質といった、患者からは見えない場面にも同じレベルで現れるのです。
患者はそのすべてを知っているわけではありません。しかし目に見える清潔感から、目に見えない部分の質を無意識に推測します。清潔感が保たれていれば「ここなら安心できる」、乱れていれば「見えない部分も同じではないか」という不安が生まれます。
在り方教育と基礎的教育を徹底して実行し、院長を含めて例外を許さない医院ではチームメンバーが育ち応用レベルの組織課題も乗り越えていける。しかし、土台をしっかり作らないで増築をした建物はもろく、ベテランスタッフの退職などで簡単に崩れ始めるのです。
長期管理型を目指すなら、「基本のキ」を疎かにできない
長期管理型歯科医院が実現されるまでの流れは、次の通りです。徹底的な在り方教育と基礎的教育を受けたスタッフによって院内が清潔に保たれ、患者が安心して治療を受けられる。その安心が患者からの信頼獲得につながり患者コミュニケーションが活性化する。そしてその信頼が患者の継続来院につながり患者の健康が保たれる。長期管理型医院の実現は、この積み重ねの先にあります。
この流れを逆から見れば、長期管理型歯科医院を目指す医院にとって、掃除という「基本のキ」で患者の信頼を損なうことは、あってはならないことだと分かります。派手なホスピタリティ施策を重ねても、基礎のところで信頼を失っていれば、すべてが土台から揺らぎます。
院長がまず見るべきもの
スタッフの清潔感の欠如を指摘する前に、院長が確認しておくべきことがあります。清潔や身だしなみ、ルール順守について、基準を明確に示し、基礎的教育を行っているかどうかです。基準を示さないまま「清潔感がない」と嘆いても、スタッフは何を直せばよいのか分かりません。あと、スタッフへの教育をしっかり行っても院長と勤務ドクターが実践出来ていなければ説得力に欠けます。例外をつくらないことが大切なのです。
院内環境の整備状況は、院長の姿勢の通知表です。先生の医院は、患者目線で合格点を取れていますか。次回は、患者の期待と現実との落差が患者の信頼を壊す、という問題を取り上げます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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