「初診から技工物セットまで」を短時間で回す時代は終わった
初診で主訴を確認し、短時間で治療を進め、技工物をセットして終える・・・。このサイクルを効率よく回すことが経営的に評価された時代がありました。しかし長期管理型経営の時代において、このザ昭和型のサイクルは通用しなくなっています(歯冠修復及び欠損補綴の平均点数の低下)。治療においては継続管理と連携、経営においては新患獲得から顧客維持活動へと軸が移る中で、患者が離脱する歯科医院では医院経営では成り立たない時代になっています。
今回のシリーズでは、患者目線で厳しく見たときに浮かび上がる歯科医院の「重箱の隅」を、四つのカテゴリーに分けて取り上げます。第1回は、説明責任の欠如です。
「主訴以外の歯」を治療する前に、説明できていますか
「痛くない歯を削られた・・・」。治療の必要性からときどき患者が痛みを訴えていない歯の治療から始める医院があります。
ただ、正当な理由があって主訴以外の治療から始めるなら、「この歯を治療することが、主訴の治療結果を良好にするために必要不可欠である」という説明ができなければなりません。診断から治療計画を立て、それを患者に丁寧に説明をしいて納得を得てから治療を開始しないのは、インフォームドコンセントに反することになります。そして患者の同意なく治療の優先順位を医院側だけで決めてしまうことは、患者の信頼を根底から損なう。
もし、先生が昭和型の治療説明方法から抜け出せていれないなら、これからの歯科医院経営で苦戦される確率が高い。それ位、患者への丁寧な治療説明と、患者の納得が重要な時代になっているのです。
治療終了時の「不安確認」を省いていないか
治療前の説明と同じくらい重要なのが、治療終了時のコミュニケーションです。患者に不安や疑問が残っていないかを確認することは、医療接遇において本来は常識とされています。しかし、この確認を省いてしまう医院が存在します。
「今日の治療はこれで終わりです」で終わるのか、「今日の治療で何か聞いておきたい事はありませんか」と一言添えるのか。この差は小さく見えて、患者が抱える不安を放置するかどうかという大きな違いを生みます。治療が終わった瞬間に患者をそのまま見送る医院と、最後まで患者の状態を気遣う医院・・・。どちらが長く患者に選ばれ続けるかは明らかです。
なぜ「省いてはいけない言葉」が省かれるのか
治療前の説明も、治療後の不安確認も、本来は省いてはいけないコミュニケーションです。それでも省かれてしまう背景には、生産性向上への過度な偏重があります。
以前のシリーズでも論じたように、生産性とホスピタリティは仕組みによって本来両立させるべきものです。しかし多くの医院でこの両立させる為の仕組みがが構築できずに、生産性向上の「犠牲」として、患者への丁寧な説明が削られていきます。効率を優先するあまり、患者の信頼を失うという本末転倒な結果を招いているのです。このままでは、「治療+継続管理+連携」も「顧客維持活動の強化」も実現しない。つまり令和型の経営には移行できずに経営で苦戦するのです。
先生の医院では、治療を始める前の「患者が納得する治療説明」と、「治療終了時の不安確認」が、仕組みとして組み込まれていますか。次回は、患者とのコミュニケーションそのものが不在になっている医院の問題を取り上げます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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