スタッフの「不愛想」は、本当にスタッフの問題なのか?
院長もスタッフも不愛想。院内には私語が飛び交っている。お決まりの定型文がスタッフから投げかけられ、患者との会話があまりない。スタッフが忙しそうで質問したくてもできない。待たされているのに、あとどれくらい待つのかの説明もない・・・。患者が我慢してきたこれらの問題は、長期管理型の時代には離脱の引き金になります。
こうした医院で多くの院長は「うちのスタッフは愛想や患者への配慮が足りない」と考えます。しかし現場を見ていると、原因はスタッフの資質ではなく、別のところにあることがほとんどです。
院内の空気は、院長の姿勢で決まる
歯科医院の院内が、患者との会話や十分な配慮で満ちているのか、それとも効率重視でスタッフがバタバタと動いているのか。その違いを決めているのは、院長の姿勢です。
たとえばコミュニケーション能力の高いスタッフがいたとします。しかし院長の考えが「1分、1秒無駄なくアポを回す」であれば、そのスタッフは院長に逆らって患者との関わりを増やすことはできません。患者に声をかけたい、不安を取り除いてあげたいと思っていても、動けないのです。
反対に、患者コミュニケーションや丁寧な治療説明を大切にし実践する院長のもとでは、スタッフも丁寧な説明や案内を大切にします。院長の考え方が、そのままコミュニケーションとオペレーションの質になり易いのです。
「そんなこと必要ない」の一言が、スタッフの思いを封じる
でも、冒頭で院長は、スタッフの「患者への配慮が足りない」ことを嘆いていますよね。であるなら、なぜ、院内のホスピタリティは向上しないのでしょう。その答えは、スタッフは「ダブルバインド状態」にあるからです。院長はホスピタリティの低さを嘆いていても、実際の診療においてはスタッフに効率化を求める発言をすることが多い。つまり、アポを一分一秒でも早く回すことを求める院長の姿を見続けるだけで、スタッフは「ここでは患者の不安を取り除く会話は求められていない」と学習し、「本当に求められているのは効率化」だと気づくのです。治療後の患者への声掛けよりも次の予約患者を早く導入することが求められる。その結果、目的意識が失われ、予約キャンセルなどで時間が生まれると私語が増え、愛想が消え、患者は「人」としてではなく「処理すべき予約枠」として扱われるようになっていく。チームが追いかけているのは「目的」ではなく「手段」なので、突然、時間が生まれたとしてもその時間を患者の為に使おうとはならないのです。
情報共有の欠如も、同じ根から生まれる
前回の治療時に患者が感じていた不安や疑問に対する説明が十分にされないのも、院長の姿勢と無関係ではありません。患者との会話の内容を丁寧に記録し、チームで共有する時間は、効率優先の医院では真っ先に削られます。そして、スタッフが患者から丁寧にヒアリングしてカルテに書いても、ドクターが事前にカルテ内容を読んでいないということも実際に起こっているのです。そして、前回スタッフに質問されて話した事と同じ質問がドクターから繰り返される・・・。
もちろん、保険診療においては効率化は避けられないことは事実です。しかし、だからと言って患者への声掛けや配慮、不安の聴き取りが出来ないかと言えばそれも違う。実際に生産性とホスピタリティの両立が出来ている歯科医院は存在し、治療においても経営においても成果を上げておられる。だから、チームでどんな「目的」を追うのか?というマインドセットの問題だと思うのです。そして、その土台にあるのは、院長の「姿勢」そのものなのです。次回は、言葉にしなくても患者に伝わってしまう、院内の環境と清潔感の問題を取り上げます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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