おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
スタッフに長く遣り甲斐をもって働いて欲しい。
そう願っておられる院長は多いでしょう。
でも、実際には様々な要因でスタッフは退職します。
スタッフが退職する要因を大まかに分類すると、
・院内の人間関係
・医院理念や業務の魅力(理想と現実の乖離)
・院長やリーダーの人格や扱い方(承認方法など)
・雇用条件
・職場環境の急激な変化
・個人的資質や抱えている悩み、自尊感情の低下
・成長環境(育成プラン、サポート体制、歯科医療の質、キャリアプラン)
・目的と目標の欠如
・人員不足による即実践
・業務量の多さや難しさ
・業務への適性、基礎的能力の低さ
・ライフイベント(結婚、出産、介護、パートナーの転勤)
・ライフプラン
・青い鳥症候群
・採用時の判断間違い
などがあります。
大きな歯科医院ほど上記の要因による退職問題を解決できる体制を整えていますがリーダーに権限移譲していく過程であることが多く、その場合にはリーダー対スタッフの関係になりますのでリーダーの能力も問われることになります(結局、小集団での維持力が問われる)。
組織には「目標達成力」と「集団維持力」が必要ですが、このバランスを取ることが実は難しい。
例えば核になっているスタッフ一人の退職によっても、集団維持力を大きく超える業務の負荷によっても両者のバランスは崩れます。
スタッフひとり一人が担っている目に見える業務とは別にスタッフひとり一人が集団維持の為に果たしている目に見えない役割があるのですが、その役割を果たしているスタッフが退職することで集団維持力は低下してしまうのです。
組織内のパワーバランスも変わって人間関係の問題が発生したりもします。
小規模な医院の時には敏感に感じていた集団維持力のレベルが組織が大きくなると見えにくくなってしまう。
そのことによって色んな所で問題が発生することになるのですが、権限を委譲されたリーダーは対症療法しかできませんのでいつまで経っても火種がくすぶり続ける場合もあるのです。
これらの問題を解決するには組織を俯瞰的に診断して組織を構築している仕組みを見直していくことが大切です。
私はモチベーションに関する資格も取って組織づくりについても学んできましたが、結局は組織を構成するメンバーによってチーム内のバランスは決まりチームの作り方が違うという事を実学によって学びました。
そして人が出入りすることによってそのバランスは変化しますので、その変化を把握して対処できているかということが問われるのです。
院長にはこの「集団維持力」が見えていない場合が多い。
院長が院内の状況を知る為には先ずは色々なスタッフから情報を集めます。
幹部よりも成長過程のスタッフの方が院内の変化を敏感に感じていますので、じっくりと話を聴いてみることが大切だと思います。
色々な組織論を提唱する人がいますが、私は「どこの組織にも当てはまる理論は存在しない」と考えています。
チームの成長度やチームメンバーの状況、医院の経営状況や環境によってリーダーシップも変わりますし組織によってメンバー構成が違う以上、メンバー構成に合わせた組織づくりを進めるしかないのです。
歯科医院でも他の組織や医院に憧れ真似をしてリーダーを決めたり組織化したがる院長がおられますが、大体はパフォーマンスを低下させるか退職者を増やすことの結果しか生みません。
もっとスタッフひとり一人の話を聴いてやり勇気づける方が院長が望む方向に進むのに・・・と残念に思います。
一度、院長やリーダーのスタッフ個々とのコミュニケーション時間を測定(1カ月間)してみてください。
きっと不足していますし偏っているはずです。
目標達成力に長けていても集団維持を怠れば組織から人は離れていく。
組織は生きて変化しているのです。
Posted at 05:00