歯科医院経営コーチの森脇康博です。
スタッフとの関係、マネジメントで悩んでおられる院長は多いと思います。
男性の院長であれば、女性心理や若い世代の心理を理解するのに苦労される。
必要以上にスタッフに気を使って言いたい事が言えなかったり、院長が感情をコントロールできずに怒ってしまったり・・・。
すべての人間は成長過程なので、迷い、そして悩みます。
例えば「スタッフがなかなか成長しない」というお悩みがあります。
院長から見ると求めていることは簡単なことであり、指示を理解して実行できるスタッフもいる。
なのに・・・
「どうして出来ないの?」「やる気がないのでは・・・」
と院長がイライラしだすと危険信号です。
院長にとっては簡単なこと・・・。しかし院長が今できていることが、スタッフの年齢の時にも出来ていたと考えるのは脳の機能による錯覚かもしれません。人間は「今できることは昔もできていた」と錯覚しやすいのです。
「スタッフが思う様に動かない」と考え出すと、「コントロールしたい」という意識がドンドン高まり、逆に院長の理想通りには進まなくなります。
逆の場合もあります。
院長がスタッフに実行して欲しいことを言えないのです。
やって欲しいことをお願いできても「忙しいので、現在のスタッフでやるのは無理です。やるなら人を増やしてください」と言われて諦めてしまう。
すると院長の理想と、ビジョンが前に進まないと言う現実とのギャップに院長のストレスがどんどん蓄積していきます。
どちらの場合も院長が理想とする歯科医療の実現には向かわない。
だから院長の考え方とアプローチを変える必要があります。
そんな難しいスタッフマネジメントですが、どんな院長でも必ずやらなくてはいけない役割があります。
それは、スタッフが自分自身の未来から逃げている時の声掛けです。
人間の感情は一定ではなく、定期的に浮き沈みします。
元気に見える人ほど実は悩んでいたり、感情を表には出さないけれど、実はモチベーションが高かったりします。
スタッフの機嫌や態度が悪くても放っておけば戻る場合も多いのですが、放置してはいけない場合もあるのです。
それは、「叱って欲しいサイン」です。
スタッフの自己重要感が下がり、自分ではどうしようもない時、周りに「助けて欲しい」と言えないことも多いのです。
そんな時には、自分でも良くないと分かっていながら、不適切な態度を取ります。なぜなら、自分に関心を持って欲しいからです。
スタッフが不適切な態度を取っているのに放置していると、「自分は必要ないんだ」と思ってしまうのです。
こんな時には個人面談をしてスタッフの話を聴いてあげる必要があります。
ただ、注意することがあります。
決して患者視点やチームの視点でスタッフを注意してはいけないのです。
「そんな態度を取っていたら患者さんやチームに迷惑でしょう」と言ってはいけないのです。
まず、スタッフの話を十分聴いてあげます。この段階ではスタッフの言い訳も間違った認識も否定してはいけません。
次に現在の態度を改めて欲しいことを伝えます。
そして、
「悩むことは多いだろうが、そんな気持ちのままでいることが、あなたにとって良いことだとは思えないこと」
「あなたはチームにとって必要な人なので、サポートするから困難から逃げないで成長して欲しいこと」
を伝えるのです。
スタッフは成長の過程でいろんな壁にぶつかります。
一人で乗り越えられるスタッフもいますが、院長が与える負荷を乗越えられないで悩むスタッフも多いのです。
それがスタッフの表情に出て、態度に出る。かならずサインがあるのです。
そういったスタッフが壁を乗り越えられるよう導けないとチームとしての成長はありえません。
スタッフひとり一人の未来を信じ、どれだけ正面から関わっていけるか。
それだけです。
私が歯科医院のスタッフと関わる時も同じです。
マネジメントや心理学の知識があっても、テクニックで人の心は動かないのです。
楽な方法なんて存在しません。
テーマ:スタッフ育成、チームビルディング
Posted at 17:00