歯科医院経営コンサルタントの森脇康博です。
今回は歯科医院の診療圏について書きます。
一般的に診療圏調査では、一次診療圏を500m二次診療圏を1000mとして、その範囲から何人の患者が見込めるか?という予測がされます(会社によりバラつきあり)。
開業時に調査を依頼したり、売上の伸びが止まった時に調査を依頼したりされていますが無料の調査以外は私はお勧めしていません。
何故なら、経営相談時に院長から調査内容を見せて頂いて「データが役に立つ」と感じたことがないからです。
当たり前ですが調査会社は「どうやってターゲット層にアプローチしたら良いか」を教えてはくれません。何に使う目的でどんなデータを集めるのか?そしてそのデータをどう活用するのかが大切なのです。
またそれ以前に、診療圏の広さは自分で決めることが出来るのです。
地域と診療内容によって診療圏の広さは変わる
実際には地域によって診療圏の広さは違います。生活動線やインフラ、ハザード位置、地域慣習によって診療圏はかなり影響を受けるのです。だから、診療圏が500mや1000mという決めつけをしてはいけません。
また、治療のコンテンツによっても診療圏の広さが違います。診療圏が広い治療コンテンツもあれば狭い治療コンテンツもあるのです。
そして診療圏を拡げる最大の方法、それは患者への「見せ方」です。
治療コンテンツや付属サービスを「どう見せるのか」によっても診療圏の広さを変える事ができます。ただ、患者が「遠くても行ってみたい」と感じる見せ方をする前に、まず患者のインサイト(隠されたニーズ)を把握して、患者が来たくなる魅力的なコンテンツや世界観を創る必要があるのです。
※実際の内容が伴っていないと患者はすぐに離れていきます。
最近では一般企業が歯科医療に参入してきていますので、従来の歯科医院との「治療コンテンツと付属サービス」の創り方、見せ方の差は大きいと感じています。
地域環境の変化に合せた対策が必要
例えば、開業している地域の人口減少や高齢化の進行が早い場合、今のうちから対策をしていく必要があります(増患)。
対策としては
①現在の診療圏から来院する患者の比率を増やす。
②現在患者が来院している診療圏を拡げて、いままでよりも広い地域から患者に来院してもらう。
③訪問歯科を始める
などがあります。
①の対策を広告対策の強化でおこなっている院長は多いと思います。
広告対策は不可欠です。でも広告対策の限界を感じていませんか?
何よりも歯科医院の広告費負担は右肩上がりで増えています。
次に利便性による患者の獲得を重視してきた場合です。
電車の駅近くにマンションや大型商業施設ができる。すると人が集まり競合歯科医院が開業します。逆に医院近くの商業施設が撤退すると地域住民の生活動線が変わりますので、診療時間内に医院の前を通る人が減り患者の減少に繋がります。
患者が歯科医院を選ぶ理由の上位である「利便性」ですが、以前は患者にとって利便性が良かった歯科医院なのに地域環境が変わって患者にとっての利便性が悪くなった為に患者が減った、ということが各地で起こっているのです。
歯科医院の開業場所で患者の利便性が大切なことは間違いのない事実ですが、それだけに頼っていると地域環境が変わると患者が減り、売上が下がっていくことになります。
歯科医院の診療圏はやり方次第で変えることが出来るのです。ただし、「どこで買っても同じ物」を売っていては遠くから患者を集めることは出来ません。
治療技術や治療システムの質を向上させることが重要ですし、口コミ紹介を生む為には患者満足度を高める仕組みも必要です。
魅力的に表現されたホームページなどの広告で来院した患者が、実際の医院でガッカリする様では歯科医院経営を安定化させることは出来ないのです。
経営に関するご相談は
Posted at 07:25