こんにちは
歯科医院経営コンサルタントの森脇康博です。
前々回は平成30年歯科の診療報酬改定について書きました。基本方針は出されていますが、細かい所はこれから決められていきます。
感染防止対策の施設基準がどうなるか?基準をクリア出来るかが歯科医院経営に大きな影響を与えそうです。
来年には医療法の広告規定の改訂も決まっています。ホームページだけでなく、ランキングサイト・口コミサイトの活用やFacebook、Twitter、インスタグラムなどの投稿、院内ツールも注意が必要になってきます。
そうそう、最近レセプトの返戻や減点も増えていませんか?
これから平成32年にかけてレセプト審査が厳しくなっていきます。
それにつれて診療側委員の見解も反映されにくくなりますので、注意が必要です。
今年中に経営戦略を立てる
院長先生は今年中にこれからの経営戦略を明確にすることをお勧め致します。
医院規模と経営体力によって取るべき戦略はまったく違います。ここでは小規模の歯科医院(チェアー3~5台)を中心に書いてみます。
治療中心で頑張るのか、さらに治療コンテンツを増やすのか、衛生士中心で歯周病ケアを強化するのか、地域包括ケアに参入するのか、歯科医療に関わる新規事業を始めるのか。
治療メニューなど、直接、診療報酬に結びつくことだけの対策では不十分です。
ニーズに合致するコンテンツを患者に提案し、他の歯科医院よりも満足感を得てもらう必要があります。
”歯の痛み”が来院の動機づけになりにくい時代、何をフックにして歯科医院に来院してもらうかの対策が不可欠になっているのです。
これから3年間で何を変え、何を実現していくのかをスタッフにも患者にも明確に伝えて、スタッフと共に改善していくのです。
歯科医院数は微増で推移していますが、う蝕治療のパイは確実に減少しています。だから、そのまま対策しないでいると”保険収入”は確実に減っていくのです。
歯科医療ニーズがどう変わっていくのかを読んで対策をし、これから3年間で医院収入の柱を確立していくことが必要なのです。
自費治療割合が高く、広告費、設備費、人件費などの固定費負担が大きい中規模歯科医院では経営リスクが高まっています。自費治療による収益は変動が大きいと言えます。高い固定費を賄う為の利益を安定的に確保する方策がなければ、治療法へのバッシング等で資金が回らない可能性もあるのです。
昔起こったNHKショックで大きな歯科医院が倒産したことを記憶されている先生も多いでしょう。
今後の経営リスクを考え、収益の柱を増やしておくことも重要になります。
あと経営環境は東京などの大都市部と地方都市で大きく変わりますので、地域状況を読むことが大切です。
一方、小規模な歯科医院では近隣に開業する中規模医院や他業種によって患者が奪われるリスクが高まります。医院に”患者に選ばれる特徴”がないと患者は興味を持ってくれないのです。
最近増えている予防重視のファミリー歯科も地域によっては飽和状態で、他医院との差別化には弱いと感じています。
院長がおこなう経営対策では
”「売上アップ!」とスタッフに頻繁に話す”
”既存患者の治療単価を上げる(1治療→2治療など)”
”検査を増やす”
”補綴のやり直しを勧める”
”キャンセル患者に厳しく対応する”
”インプラントや自費治療を強く勧める”
”増患目的で高額の治療機器を導入する”
”治療時間を短縮してアポ枠を増やす”
”診療時間を経営の為に延ばす”
”人件費(賞与など)を減らす”
”積極的に急患を受入れる(予約患者を待たせる)”
なんて間違った対策は取らないでくださいね。
短期的には効果が出ても、長期的には患者やスタッフの不信感に繋がりますので売上は下がっていきますしスタッフの退職にも繋がります。
真正面から来てくれる患者を増やす
実際にう蝕患者のパイは減っていますが、医院によってはキュアの患者もケアの患者も増えています。
患者は従来の治療スタイルの歯科医院から、ニーズに合致したコンテンツを提案する施設に移りつつあるのです。その施設では患者の潜在的ニーズも引出し、そこから治療に繋げているのです。
経営対策では当面の対策を考えるだけではなく、最近の患者ニーズに合致したコンテンツを提案するという根本的な対策が必要なのです。
もし、先生が選択される医院経営の方向が「歯周病ケア」「予防」「地域包括ケア」であるなら、患者ニーズに合致したコンテンツを考える前に歯科衛生士の採用対策が何よりも重要です。
歯科衛生士確保が厳しいのは以前からですが、平成30年以降はさらに厳しさが増しそうです。何故なら採用競争は他業界にまで拡大しているからです。
歯科医院に衛生士学校から研修にきている生徒に聞いても「従来の歯科医院ではなく〇〇をやっている所で働きたい」という希望を持っていました。
もし今、先生がハローワークに募集を出していて応募がないと嘆かれているなら、それは鳥取砂丘に埋まっているコイン1枚を探しているのと同じです。
”ハローワークに出しただけで応募があった”なんて場合もありますが、求職中の衛生士の目に触れる確率から考えると奇跡に近いからです。
真剣に探すなら募集広告の量、業者選択、内容、雇用条件、アプローチ法の見直しなどが必要になります。「どういった衛生士を採用したいのか」を明確にしてメッセージを書くことも必要です。いままでの経験で、応募してきた衛生士さんは「〇〇に書いていた〇〇が〇〇だと感じたから応募した」と言うことが多いからです。
5Sはスタッフを成長させる根幹
そして経営対策として結構重要なのが院内の清潔度。
他科ですが、先日、コンタクトレンズの処方で眼科を訪れた時、測定機器のレンズの周りが埃だらけで驚いてしまいました。
患者調査を見ても院内清潔度の重要性が高まっている事を感じます。治療じゃない部分が原因で患者の信頼を失うのは馬鹿らしいと思うのです。
意外ですがクリーンスタッフを採用している歯科医院で、クリーンスタッフの担当部分は綺麗でもスタッフが担当する部分の5Sに問題がある事も多いのです。
勘違いされている事が多いのですが5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)では前の4Sよりも最後の”躾”が重要なのです。診療を見学していて感じるのですが、5Sを実践しようとするスタッフの意識は患者対応にも表れます。だから、”躾”が出来ている歯科医院ではクリーンスタッフだけでなく他のスタッフも5Sへの意識が高く、それが患者対応にも表れているのです。
意識が高いスタッフが一人いるだけで、患者を増やすことも出来るのです。だから採用だけでなく、スタッフを育てることも立派な経営戦略なのです。
まずは院長の身だしなみから!
ヨレヨレの診察衣、無精ひげ、髪型、メガネの汚れ・・患者は全部見ています。
まずは院長が手本を示しましょう。
年末は患者目線で清掃し、年初に5Sについて根本的に見直されることをお勧め致します。
院長がおこなうべき対策のほんの一部ですがご紹介させていただきました。
私がブログに書くことを信じて対策を進めるのか、信じないで何もしないのか、結果は5年後には出るでしょう。
三方よしビジョン達成サポートではスタッフ育成や組織診断もおこなっていますので、ぜひご相談ください。
歯科の2025年問題は
少子高齢化だけではなかった!
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Posted at 07:50