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院長が備えておくべき経営リスク【第1回】2040年に向けて、歯科医院の院長が注視すべき経営リスクは?  [2026年10月30日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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高齢者人口まで減少を始める2042年頃まで、あと16年です。今年開業した医院が、開業17年目を迎える頃にあたります。遠い未来の話ではなく、いまの経営判断の延長線上にある時期です。

その前までに国は「2040年型医療提供体制」を確立すると宣言している。つまり、あと16年は診療される院長には「施設基準の新設・変更」「医療DX化」「診療データと経営データの丸裸化」「レセプト審査のAIによる厳格化」「診療報酬改定」「保険医療の縮小」「国が望む役割を果たしたデータがある医療機関だけを優遇」などの変化が起こり、ある医院には「チャンス」となりある医院では「経営リスク」となるのです。

歯科医院の経営には、備えるべきリスクが数多くあります。すべてに備えようとすれば、院長の時間も資金も足りなくなります。だからこそ、院長が特に注視すべきものを絞り込む必要があります。本シリーズでは全5回で重点リスクを論じ、第1回の今回は、その全体の地図を描きます。

2040年に向けて、社会は何が変わるの?

現状を調べたところ、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、総人口は2020年の約1億2,615万人から、2040年には約1億1,284万人に減る見通しです。65歳以上の割合は、28.6%から34.8%へ上がります。

注目したいのは、患者の数だけではありません。働く世代の人口も減ります。15歳から64歳の人口は、2020年の約7,500万人から、2040年には2割近く減る見通しです。患者が減る以上に、働き手が減る影響が、医院の採用に重くのしかかります。働き手が確保できない場所では医院は発展できず、一般企業や商業モールの撤退は更なる働き手の流出を招きます。一方、これからは人口の社会的流出(流入)も加速します。東京は以前は2030年代に人口減少が始まると言われていましたが、ストロー効果が強くなり2050年ごろまでは2020年比で人口増加が続くとの予測もあります。

国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」では、現在の居住地域の約2割が、2050年には無居住化する見通しが示されています。地域によっては、診療圏そのものが縮んで地域中心部への集約化が加速していく可能性があります。

医療政策は、どちらを向いているの?

今年7月に閣議決定された骨太の方針2026では、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」という方針のもと、給付と負担の改革を続けるとされています。2040年に向けて、医療機関の連携・再編・集約化を進める方向も示されました。

歯科に関しては、歯科専門職の偏在や離職への対策、国民皆歯科健診の具体化、オーラルフレイル対策などが盛り込まれています。口腔の健康管理が重視される流れは、続いています。

令和8年度の歯科診療報酬改定は、本体で+3.09%のプラス改定でした。物価や賃金の上昇への対応が盛り込まれています。ただし、骨太の方針には、経済や物価が見通しから大きく外れた場合に、2027年度の予算編成で追加調整を行うとも書かれています。現時点の予測ですが、財務省の反撃も予想され、改定のたびに報酬が上がり続けると考えるのは、危うい前提です。

経済環境の変化は、院長の経営にどう響くの?

物価や賃金の上昇が続く局面では、材料費、人件費、家賃、金利といった費用が、次々と上がります。一方で、現時点では診療報酬は原則として2年に一度の改定で、費用の上昇を後から追う形になります。

現状からの予測してみると、費用の上昇が先に来て、経営対策を入念におこなって収入がそれに追いつくまでの間に、医院の体力が試される場面が増えます。この時間差を耐えられる収益構造かどうかが、2040年に向けた分かれ目になります。もちろん、効果的な経営対策を行わなかった歯科医院では持ち出しばかりが増え、医院の純利益を圧縮させます。

数あるリスクのなかで、院長が注視すべきものは?

ここまでの社会構造、医療政策、経済環境の変化を踏まえて、院長が特に注視すべきリスクを、次の4つに絞ります。

・診療圏の縮小と、2040年型の医療提供体制への対応(第2回)
・採用で選ばれなくなるリスク(第3回)
・賃上げの原資を生み出せないリスク(第4回)
・保険で守られる範囲が狭まるなかでの、収益構造のリスク(第5回)

他にも経営リスクは多くあるのですが、今回は4つに絞りたいと思います。

医院の規模によって、備え方はどう変わるの?

備えるべきリスクは同じでも、医院の規模によって、打つ手は変わります。零細規模や小規模の医院では、院長の目が届くからこそ、狭い診療圏、人材定着、収益改善の3つを院長自身が直接守る形になります。中規模の医院では、採用の担当者や評価制度、個人別の数値管理といった仕組みが、リスクへの備えの中心になります。大規模以上の医院では、法人としてのブランド力、採用力、賃金体系、立地の判断を強化することが問われます。第2回以降で、具体的に示します。

先生の医院は、2040年にどんな姿でありたいでしょうか。そのために、いま備えておくべきリスクはどれだと感じていますか。

次回は、診療圏の縮小と2040年型の医療提供体制を論じます。

 

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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