幹部を育てる前に、院長が変わる必要がある
幹部を育てられない院長は、多くの場合、「幹部の力が足りない」と感じています。しかし、このシリーズで見てきたとおり、院長は人を育てることを学ばないまま経営者になります。チームメンバーへの指導の方法も、幹部候補の育て方も、自分の経験と価値観だけに頼っているのが実情です。
最終回は、幹部が育つための出発点を考えます。
幹部は、院長の関わり方から学ぶ
院長が様々な組織理論や心理学を学び、試行錯誤しながら実践を続ける。すると、幹部は、院長が自分にどう関わってくるかを、体感します。
だから院長は、「指示で動かす」「教えながら任せる」「任せきる」というステップを、幹部の成長度合いを見ながら進めなければいけないのです。院長が正しいステップを省かなければ、幹部を育てる過程で、院長のマネジメントのスキルは、自然と幹部に伝わっていきます。
逆に、院長が幹部に役割を丸投げすれば、うまくいきません。丸投げでは、幹部は何も体感できないからです。だからまず変えるべきは、院長のアプローチです。
一番難しいのは、「教える」の部分
幹部を成長に導く三つの段階のうち、院長にとって最も難しいのは、「教えながら任せる」の「教える」の部分です。
本来、教えるとは、相手が教えたことを理解し、実践で成果を出せるようになることです。そこまで至らなければ、「教えた」ではなく、ただ「言った」で終わります。
そのためには、相手の行動特性に合わせてその人が得意とするスタイルで成果を出せるように教えなければなりません。第3回で見たように、リーダーの得意な領域は人によって違います。だから、院長が自分のやり方をそのまま指導する幹部に当てはめても、形だけ「幹部」を指名していても、うまくいかないのは当然です。
「時間ができたら学ぶ」では、時間は生まれない
院長が学び、実践し、幹部と話し合う。そのための時間は、「第二象限」の時間です。緊急ではないけれど重要なことであり、現実には、最も後回しにされやすい時間です。
しかし、実際には院長と幹部が対等に話し合う時間こそが幹部を一番成長させるのです。院長は幹部との話し合いで幹部を成長に導くための質問をし幹部に考えさせる必要があるのですが、それをやるのとやらないのとでは幹部の成長スピードが驚くほど変わるのです。
院長が「時間ができたらマネジメントスキルについても学ぼう」と考えている限り、その時間は確保できません。日々の診療や経営の緊急事項が、いつも先に入ってしまうからです。
成果を出している院長は、先に予定を入れています。学ぶ時間、幹部と実践について話し合う時間を、先にスケジュールに入れて、「アポを切る」。それを実践できているのです。
「忙しいのにマネジメントまで学んでられない」と思われましたか?いえいえその逆です。院長が様々な役割を幹部やスタッフに任せ、院長にしかできない役割に集中できる状態を作るには、医院規模に応じた組織化が欠かせない。いま、先生がスタッフから質問されて、「そんな事ぐらい自分たちで考えて・・」と感じておられるなら、そこから解放される効果的な方法が組織化なのです。
シリーズを振り返る
このシリーズでは、リーダーが学んで育つことを、四つの角度から論じてきました。第1回では、院長が人を育てることを学ばないまま経営者になること。第2回では、「能力が低い」と評価する前に、教え方を見直すこと。第3回では、リーダーのタイプは一つではないこと。そして今回は、幹部が育つのは、院長が学び、実践したときであること、でした。
理論がすべてに当てはまるわけではありません。また、医院ごとに合う理論が変わります。そして実学の積み上げは欠かせません。何故ならメンバー構成、メンバーの個性や成長度が医院ごとに違うからです。
それでも、先人が研究し、実践し、体系化した理論を土台にするかどうかで、成果は大きく変わります。先生は、今月、自分が学ぶ時間と、幹部と実践について話し合う時間を、スケジュールに入れておられますか。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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