分院を出すと、医院は院長の目が、すべての現場に届くことはなくなります。
法人売上30億円を超える超大型の規模になると、数値管理もマネジメントも、大手の一般企業のやり方に近くなります。これまで院長の手腕で伸ばしてきた医院が、院長が関与しなくても成果を出し続ける組織に変われるかどうかが、問われるのです。
全6回のシリーズの最終回となる今回は、分院展開をする超大型の医院の姿と、院長が考えておきたいことを論じます。
超大型の医院の特徴とは?
本シリーズでは、分院展開をしている医院のうち、法人全体の売上が30億円を超え、さらに拡大を続けている医院を超大型としています。
特徴は、ひとつひとつの分院の売上規模が大きい都市部型広域法人であることが多いのです。小さな分院が一定の地域にいくつも並んでいるのではなく、それぞれの分院が大きな規模を持ち、法人全体として伸び続けているのです。
規模が大きくなると、何が優位になる?
法人の規模的な優位性によって、収益面での優位を築くことができます。それだけではありません。人材の採用面での優位性、設備面での優位性も築いていくことができます。
小規模の分院を数医院出すだけで、この先は大丈夫?
私の考えですが、今後、小規模の分院を数医院展開している医院は、採用面で更に苦戦していくと思います(特に勤務ドクター、分院長)。
だからこそ、分院展開をするなら、圧倒的な優位性を築けるかどうかが問われます。見栄を張って分院を出すこと自体が目的になってしまうと、手段の目的化に陥ります。分院を出す前に、その規模で何の優位性を築くのかを、はっきりさせておきたいところです。
分院を出すと、院長の管理はどうなる?
分院を出すと、院長の管理は届きにくくなります(というか、この規模の法人の院長は臨床に入らず理事長職で全体を統括することが多い)。だからこそ、院長が注視しなくても成果を出せる分院の経営面及びマネジメント面の管理者を、育てる必要があります。
ちなみに、分院の管理者(届け出る管理者とは別)は、分院長だとは限りません。大切なのは肩書きではなく、その分院で成果を出すことに責任を持てる人がいるかどうかです。
専門部門の管理者には、何が求められる?
また、分院だけでなく、専門部門(人事、経営管理、分院立上げ、マーケティン他)にも、自律して求められる成果を出せる管理者が必要です。法人全体の経営方針に基づき、専門部門や分院の管理者が成果を出すことに責任を持つ形です。
大企業の社長が、一部門のマネジメントなどに関与しないのと同じです。院長が関与しなくても、部門や分院が自律して成果を出せる組織を構築することが求められます。
つまり管理部門が機能して経営面と採用を含むマネジメント面を手厚くカバーし、各分院を今年度目標と中期計画の達成に導く必要があるのです。何故なら、各分院の分院長は分院の経営者としては未熟であり、有能な人材は独立開業していく。超大型法人や大型法人への勤務経験は自分が開業を目指す為の登竜門となっている側面もあり、分院長のチームマネジメントだけでは心もとないのです。
成果を出せる環境を整えるのは、誰の役割?
もちろん、規模が大きくなるメリットはありますが、同時に経営リスクも大きくなることを忘れてなりません。経営資源はいつも不足しています。そのなかで、法人全体と分院が成果を出し続け、管理者が成果を出せる経営環境を整えるのは、法人の理事長の役割ですが現実はたやすくはありません。そしてこの規模を目指せる才覚を持つ院長は限られるということも併せてお伝えします。
分院展開をご検討の先生へ
先生の法人では、分院を出す前に、規模の優位性を築けるかを検討していますか。人材の採用面は大丈夫でしょうか。そして、院長が関与しなくても成果を出せる管理者は、育っているでしょうか。
零細規模から超大型まで、規模が変わるたびに、経営分析で扱える範囲も、院長の役割も変わります。そして、どの規模になっても経営とマネジメントの苦労は伴います。
だから分院を出すことが「医療」「経営」における成果だとは限らないのです。先生はどの規模で頑張るのが歯科医師として満たされますか?
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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