令和時代の採用競争で勝つ医院の条件
物価の上昇が続き国民生活が厳しくなる中で、子育てが落ち着いた女性が再び働く流れが加速しています。だから産休・育休を取得し、復帰して活躍できる歯科医院は、採用市場で確実に有利になる。スタッフも新しい環境で働くよりも、慣れ親しんだ職場に復帰できる方が安心感があるのです。逆を言えば、ライフイベントへの対応ができない医院は、採用競争で不利になり続けるのです。
令和において、退職者が出てもすぐに歯科衛生士を採用できる自信がある院長は限られます。だからこそ、今いるスタッフが長く働き続けられる環境をつくることが、採用力そのものになります。
「先輩の姿」が後輩の未来を決める
また、ライフイベントへの対応が機能している医院と機能していない医院の間で、最も際立つ違いがあります。それは子育てをしながら意欲的に働く先輩スタッフの存在です。
後輩スタッフは、先輩の姿を見て自分の未来を想像します。「この医院なら産休と育休を取っても戻れる」「先輩のように子育てしながらキャリアを積める」。その確信が、医院への帰属意識と長期的な定着につながります。逆に、育休を取ったスタッフが戻ってこない医院、あるいは復帰後に活躍の場がない医院では、後輩スタッフは「自分もいずれ辞めることになる」と感じます。
だからこそ、院内で最初に産休・育休を取るスタッフへのサポートが特別に重要です。「育休を取った後は復帰して、無理をしない範囲で診療に関わって欲しい。そして子どもが大きくなったらまた第一線で働き、キャリアを積んで患者を健康に導いてほしい」「その為のサポート体制を整えていくから、要望があれば遠慮せずに言って欲しい」という思いを院長がスタッフに直接伝えること。そして、実際に子育てをするスタッフが働きやすい環境を整備していく必要があるのです。
「二軍で育てて一軍に送り出す」仕組みの設計
ライフイベントへの対応を組織として機能させるには、採用と育成の仕組みが整っていることが前提になります。
歯科衛生士の担当枠がフルで5列ある医院を例にすると、その枠を担う歯科衛生士がライフイベントで抜ける時期を事前に想定し、抜けた枠を担う歯科衛生士を育てておく必要があります。野球に例えれば、新人が入ったらまず二軍で基礎からしっかり育て、一軍デビューのタイミングが来たら送り出す。そして育休を終えたスタッフがそのうち戻ってくる。この流れが設計されている医院では、退職者が増えない限り歯科衛生士の数は着実に増えていきます。
また、この仕組みが機能するには、歯科衛生士の年齢層にある程度の幅があることも重要です。年齢差が少ない場合、同じ時期にライフイベントが重なりやすい。年齢バランスを見ながら採用し、治療品質を維持することが、組織の安定につながります。
規模拡大がライフイベント対応を可能にする
小規模医院でライフイベントに対応しようとすると、余剰人員を常に抱えることが必要になります。ただ、経営コストが増加している時代に、それを維持できる医院は限られています。院長の自費売上がかなり高い場合を除けば、構造的に難しいと感じます。
一方、医院の規模が拡大し収益の柱が複数あれば、ライフイベントで一時的にマンパワーが減少しても、組織として吸収できる余力が生まれます。診療時間の時短も進め、有給が取得できる環境を整え、賃上げも続けていく。その為には経営の体力をつけていくことが必要不可欠なのです。近年では、超大型歯科医院や大型歯科医院が採用面で有利になりつつあります。経営の体力がある医院はライフイベントに対応でき、復帰後の活躍の場も準備できる。この好循環を院内に築くことが、医院を中規模から大規模へと進化させる土台になります。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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